4 / 14
王都
しおりを挟む
4年ぶりの王都は、もはや私が知る王都じゃなかった。
昔より栄えているし、道は全てきれいに舗装されている。見た事のないお店や邸、大きな教会、けれどその中で変わらない物が1つだけある。
都の中心部にそびえ立つ王城。
「少し散歩しませんか?」
「いいえ、王に会わせて。そこ以外に、私が行きたい所は無いから」
この腕輪の外し方を聞き出してみせる。知らないはずないもの。
「とても悪い顔になってますが、父に拷問しようと考えていませんか……?」
「そんな事はしないわよ」
「人殺しにはなりたくないんですよね?」
「死なない程度なら問題な……」
「それを拷問と言うんですよ」
「最終的に完璧に人体修復するから良いじゃない!私の幸せをぶち壊したんだから、それなりの酬いを受けるべきだわ」
これからの人生の選択肢すら奪おうとするなら、私は許さない。
「くくっ……」
「何を笑ってるの?」
「祖父に聞いていた通りの女性だと思って」
「ガスパールに?」
「無鉄砲で向こう見ず、魔力が強すぎてコントロールが下手くそ、大雑把でガサツ」
良い所が1つもない……
もしかして、私の事を嫌いだったのかな。褒めるのも嫌なくらい。
「それに、何事にもまっすぐで、優しく可愛い女性だと」
優しく可愛い……
「そんなの、ありえないわ」
「そういえば、素直じゃないとも言ってましたね」
「ガスパールの代わりに殴られたい?」
「それは遠慮します」
少し困った顔で笑うレナードは、ガスパールとそっくり……。でも、別人。私の好きな人はもういない。
「貴女は優しいですよ」
「私の何を知っててそんな事が言えるの?」
「腕輪を外す方法を聞いても、貴女は実行しなかった」
「腕輪を作った錬金術師の腕が凄いのよ。私はそれに勝てなかっただけ」
「1番簡単な方法は、俺を殺す事だと解っていたのに、それをしなかった」
「さっきも言ったでしょう。人殺しにはなりたくないの」
「俺の腕を切り落として、腕輪の効力の維持を確かめる事も出来たのに、自分の腕を切り落とそうとしたのは何故ですか?」
「無鉄砲で向こう見ずで大雑把な性格だからよ」
私自身の体なら、時間をかければ再生出来るから……なんて、言わないけどね。
「さ、王城へ行きましょう。素直に連れて行かないなら、あの脆弱な結界をやぶって強行突入するわよ」
「……今すぐお連れします」
昔より栄えているし、道は全てきれいに舗装されている。見た事のないお店や邸、大きな教会、けれどその中で変わらない物が1つだけある。
都の中心部にそびえ立つ王城。
「少し散歩しませんか?」
「いいえ、王に会わせて。そこ以外に、私が行きたい所は無いから」
この腕輪の外し方を聞き出してみせる。知らないはずないもの。
「とても悪い顔になってますが、父に拷問しようと考えていませんか……?」
「そんな事はしないわよ」
「人殺しにはなりたくないんですよね?」
「死なない程度なら問題な……」
「それを拷問と言うんですよ」
「最終的に完璧に人体修復するから良いじゃない!私の幸せをぶち壊したんだから、それなりの酬いを受けるべきだわ」
これからの人生の選択肢すら奪おうとするなら、私は許さない。
「くくっ……」
「何を笑ってるの?」
「祖父に聞いていた通りの女性だと思って」
「ガスパールに?」
「無鉄砲で向こう見ず、魔力が強すぎてコントロールが下手くそ、大雑把でガサツ」
良い所が1つもない……
もしかして、私の事を嫌いだったのかな。褒めるのも嫌なくらい。
「それに、何事にもまっすぐで、優しく可愛い女性だと」
優しく可愛い……
「そんなの、ありえないわ」
「そういえば、素直じゃないとも言ってましたね」
「ガスパールの代わりに殴られたい?」
「それは遠慮します」
少し困った顔で笑うレナードは、ガスパールとそっくり……。でも、別人。私の好きな人はもういない。
「貴女は優しいですよ」
「私の何を知っててそんな事が言えるの?」
「腕輪を外す方法を聞いても、貴女は実行しなかった」
「腕輪を作った錬金術師の腕が凄いのよ。私はそれに勝てなかっただけ」
「1番簡単な方法は、俺を殺す事だと解っていたのに、それをしなかった」
「さっきも言ったでしょう。人殺しにはなりたくないの」
「俺の腕を切り落として、腕輪の効力の維持を確かめる事も出来たのに、自分の腕を切り落とそうとしたのは何故ですか?」
「無鉄砲で向こう見ずで大雑把な性格だからよ」
私自身の体なら、時間をかければ再生出来るから……なんて、言わないけどね。
「さ、王城へ行きましょう。素直に連れて行かないなら、あの脆弱な結界をやぶって強行突入するわよ」
「……今すぐお連れします」
25
あなたにおすすめの小説
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
優しいあなたに、さようなら。二人目の婚約者は、私を殺そうとしている冷血公爵様でした
ゆきのひ
恋愛
伯爵令嬢であるディアの婚約者は、整った容姿と優しい性格で評判だった。だが、いつからか彼は、婚約者であるディアを差し置き、最近知り合った男爵令嬢を優先するようになっていく。
彼と男爵令嬢の一線を越えた振る舞いに耐え切れなくなったディアは、婚約破棄を申し出る。
そして婚約破棄が成った後、新たな婚約者として紹介されたのは、魔物を残酷に狩ることで知られる冷血公爵。その名に恐れをなして何人もの令嬢が婚約を断ったと聞いたディアだが、ある理由からその婚約を承諾する。
しかし、公爵にもディアにも秘密があった。
その秘密のせいで、ディアは命の危機を感じることになったのだ……。
※本作は「小説家になろう」さんにも投稿しています
※表紙画像はAIで作成したものです
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
【12月末日公開終了】これは裏切りですか?
たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。
だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。
そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?
【完結】留学先から戻って来た婚約者に存在を忘れられていました
山葵
恋愛
国王陛下の命により帝国に留学していた王太子に付いて行っていた婚約者のレイモンド様が帰国された。
王家主催で王太子達の帰国パーティーが執り行われる事が決まる。
レイモンド様の婚約者の私も勿論、従兄にエスコートされ出席させて頂きますわ。
3年ぶりに見るレイモンド様は、幼さもすっかり消え、美丈夫になっておりました。
将来の宰相の座も約束されており、婚約者の私も鼻高々ですわ!
「レイモンド様、お帰りなさいませ。留学中は、1度もお戻りにならず、便りも来ずで心配しておりましたのよ。元気そうで何よりで御座います」
ん?誰だっけ?みたいな顔をレイモンド様がされている?
婚約し顔を合わせでしか会っていませんけれど、まさか私を忘れているとかでは無いですよね!?
私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました
さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。
王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ
頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。
ゆるい設定です
『二流』と言われて婚約破棄されたので、ざまぁしてやります!
志熊みゅう
恋愛
「どうして君は何をやらせても『二流』なんだ!」
皇太子レイモン殿下に、公衆の面前で婚約破棄された侯爵令嬢ソフィ。皇妃の命で地味な装いに徹し、妃教育にすべてを捧げた五年間は、あっさり否定された。それでも、ソフィはくじけない。婚約破棄をきっかけに、学生生活を楽しむと決めた彼女は、一気にイメチェン、大好きだったヴァイオリンを再開し、成績も急上昇!気づけばファンクラブまでできて、学生たちの注目の的に。
そして、音楽を通して親しくなった隣国の留学生・ジョルジュの正体は、なんと……?
『二流』と蔑まれた令嬢が、“恋”と“努力”で見返す爽快逆転ストーリー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる