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何でも疑う婚約者2

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週末
私はボナースに来ている。
遊びに来たんじゃなく、週2日だけ勉強を教えるため。

「ニナー!こっちで遊ぼう!!お絵描きしよー!」
「勉強してからね。」
「え~。学校行ってるから、勉強はもういいよ~。」
「学校に行っても、まだ解らないところもあるでしょう。」
「そうよ、あんた達のレベルと私達は違うんだから。」

この間から、ボナースの子達は学校に通っている。『1年間のブランクを埋めるのに学校だけでは足りないだろう』と、伯爵から派遣されたのが私。院長から『ニナがいい』って言ってくれたのかな?


マール君の教育係り
ボナースでの勉強

何かを教える仕事がしたいって思ってたから、どちらも楽しい。
エドワードの存在がなければ、ずっと続けたいくらい。


半月ほど平穏な日が続いていたけど、もちろん嫌な事だってある。


エドワードからの呼び出し…。

「マール君、ニナ、久しぶりだね。」

エドワードの姿を見てマール君が走って行った。それをかがんで受け止めるエドワードの顔は私に向けるのとは全く別人!

「ん?何か持ってきたのか?」
マール君はお気に入りの『蝶』の図鑑を取り出してニコニコしている。
昨日、何かごそごそ鞄に入れてるなぁ、とは思ってたけど。
「綺麗だな。」
マール君は嬉しそうに頷いた。

何だか、いつものエドワードじゃないわ。まさか私以外にだとそんな風に優しく笑うの?それとも子供だから?
マール君がこんなに懐くなんて、ちょっと悔しい!

『お庭に行きたい』
マール君が書いてエドワードに見せてるけど、さすがに城の庭なんて見れないよね。
「わかった。行こうか。」
「いいんですか?」
「別に庭くらい、問題ない。」

私への笑顔が胡散臭くない…マール君効果絶大だわ。

庭で2人を見ていると、クリフが側に寄ってきた。
「意外でしたか?」
「ええ。」
「ニナ様が素直であれば、王子も胡散臭くは笑いませんよ。」
「私はいつも素直ですよ。」
胡散臭いのはクリフも解ってたんだ!そりゃそうだよね。

そんなに私の事が気に入らないのかしら。


「ニナ!こっち!」
エドワードが私を呼んだ。
ニコニコしているマール君の手には虫が…
これは、いつものように『あげる』って渡される展開だわ。
「なぁに、マール君。これくれるの?」
満面の笑みで頷かれると、『いらない』だなんて言えない!覚悟をきめるのよ!!


…ニナの顔が真っ青だ。苦手なら受け取らなければいいのに…。まぁ、この笑顔で渡されれば断れないか。仕方ない…

「マール君、それは俺にくれる?ニナは後でクッキーをあげるし、俺にはこれを。」

その虫はエドワードの手の中に収まった。


……。
私が嫌がってるの気付いたからだよね。きっと恩を売ってるんだわ。純粋な優しさなはずないもの。

「ニナ、行くよ。」
「はい。」
素直に信じない私も、度量が狭いよね。

右手は私、左手はエドワード。
マール君は手を繋いで終始ご機嫌だった。
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