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卑怯者と婚約者2
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『背筋を正せ、歩幅は大きく、前を向け、
出来るだけ声をだすな、キョロキョロするな』
これがクックさんからの注意点。
その注意を守って、私達は邸を通りすぎて
30mほど先にある塔に向かった。煉瓦造りの円柱の建物。逃げられるような高さじゃないわ。
建物の入り口には見張りがいるのにズンズン進んで行くし…。堂々としすぎな気がする。
「交代だ。」
「ああ、やっとかぁ。半日何もせず立ってるのは辛い。お前らもがんばれよ。」
「ああ。お疲れさん。」
「…なぜ怪しまないの?」
「全員の顔なんて覚えてないし、夜に顔なんかハッキリ見えてない。1時間くらい早く来ても、交代したいから喜んで代わる。」
何て情けないの…。こちらとしては嬉しいけど。
ものすごく簡単に入れた…。
階段をかけ上がって様子を伺うけれど、
月明かりしか無い部屋に誰がいるのかなんてわからない…。
「おい、ランプも持たずに危ないだろ。」
後を追いかけてきたクックさんに怒られた。
「エドワード、クリフ、いる?」
「ニーナ様…?」
「クリフ?」
声のする方に明かりを照らすと、クリフと
レオンがいた。足を鎖で繋がれてるし、傷だらけじゃない!
「っ2人も一体どうしてこんな事に!レオンはこんな大ケガ…大丈夫なのっ?……ねぇ?エドワードはどこにいるの?」
「解らない…。さっきエドワードだけ連れていかれた…。」
「話し合いをしている訳ではないの?」
「我々はそのつもりで来たが、向こうはそうじゃないらしい。話など最初から聞く事もなく、いきなり閉じ込められた。エドワードを守ってレオンはこんな…」
「何か条件があったから来たんでしょう?
既に戦争の準備はしている…とか、脅されたの?」
「そうです…戦になれば侵略されて、奪われた土地に住む民が奴隷のような扱いを受ける。今までのガリシナはそうしてきた。それを許す事は出来ない。だからといって、相手の要求を全てのむわけにもいかない…。」
…軍事国家はいくつかあるけれど、全てが
同じじゃない。ガリシナが最悪なだけ。
相手は最初から話なんてする気はなかったのよ。
『話し合えばいい』なんて、何で言ったの…。何を言っても話を聞かない人や通じない人を、今までどれだけ見てきてそんな事が言えたんだろう。
このままではエドワードは殺されてしまう。ううん、絶対に殺されるわ。晒し首にでもされてしまう。
絶対にそんな事はさせないわ!
だからと言って、何か出来る力なんて私にはない…。
いいえ、そんな事はないわ!今の私はガリシナの軍服を着て兵士としているんだから。
「クックさん、この制服の持ち主、階級は何かしら。」
「そのバッジ、残念ながら二等兵だな」
「では私はサナス二等兵ね。」
「何をするつもりだ?」
「ガリシナ兵として、どうどうと邸に入るのよ。」
「ニーナ様!っ何を馬鹿な事を!」
「サナス二等兵よ。敬語もいらないわ。
不自然だもの。」
「…馬鹿な事はするな。」
「クリフ、私にはやるべき事が2つあるのよ。まず、エドワードの様子を確認、殺されそうなら救出!そして、ガリシナの坊ちゃんとエドワードを殴る。拳じゃこっちも痛いから、平手打ちで済ませるわ。」
「何を言ってるんだ…」
「あ!クリフもじゃない。私を放置するというエドワードの愚行を軌道修正しなかったのは職務怠慢よ。」
「……それは自分でも思う。」
「そう、なら後で覚悟しなさい。」
「………」
「ねぇ、待っていれば誰かが助けてくれる、世の中そんなに甘くないわよ。自分で動かない人を、誰も助けてはくれないの。この国で得た教訓よ。」
「…死ぬぞ。」
「クリフ、何もしなければ生きていられるかもしれないわ。けど話も聞かないような相手なのよ。貴方は信用できるの?このままじゃ国民全てが奴隷にされかねないわ。」
「……」
「成り行き任せなんて嫌よ。勝利は自分で
勝ち取るの。では行ってくるわ。エドワードの首が飛ぶ前にね。」
出来るだけ声をだすな、キョロキョロするな』
これがクックさんからの注意点。
その注意を守って、私達は邸を通りすぎて
30mほど先にある塔に向かった。煉瓦造りの円柱の建物。逃げられるような高さじゃないわ。
建物の入り口には見張りがいるのにズンズン進んで行くし…。堂々としすぎな気がする。
「交代だ。」
「ああ、やっとかぁ。半日何もせず立ってるのは辛い。お前らもがんばれよ。」
「ああ。お疲れさん。」
「…なぜ怪しまないの?」
「全員の顔なんて覚えてないし、夜に顔なんかハッキリ見えてない。1時間くらい早く来ても、交代したいから喜んで代わる。」
何て情けないの…。こちらとしては嬉しいけど。
ものすごく簡単に入れた…。
階段をかけ上がって様子を伺うけれど、
月明かりしか無い部屋に誰がいるのかなんてわからない…。
「おい、ランプも持たずに危ないだろ。」
後を追いかけてきたクックさんに怒られた。
「エドワード、クリフ、いる?」
「ニーナ様…?」
「クリフ?」
声のする方に明かりを照らすと、クリフと
レオンがいた。足を鎖で繋がれてるし、傷だらけじゃない!
「っ2人も一体どうしてこんな事に!レオンはこんな大ケガ…大丈夫なのっ?……ねぇ?エドワードはどこにいるの?」
「解らない…。さっきエドワードだけ連れていかれた…。」
「話し合いをしている訳ではないの?」
「我々はそのつもりで来たが、向こうはそうじゃないらしい。話など最初から聞く事もなく、いきなり閉じ込められた。エドワードを守ってレオンはこんな…」
「何か条件があったから来たんでしょう?
既に戦争の準備はしている…とか、脅されたの?」
「そうです…戦になれば侵略されて、奪われた土地に住む民が奴隷のような扱いを受ける。今までのガリシナはそうしてきた。それを許す事は出来ない。だからといって、相手の要求を全てのむわけにもいかない…。」
…軍事国家はいくつかあるけれど、全てが
同じじゃない。ガリシナが最悪なだけ。
相手は最初から話なんてする気はなかったのよ。
『話し合えばいい』なんて、何で言ったの…。何を言っても話を聞かない人や通じない人を、今までどれだけ見てきてそんな事が言えたんだろう。
このままではエドワードは殺されてしまう。ううん、絶対に殺されるわ。晒し首にでもされてしまう。
絶対にそんな事はさせないわ!
だからと言って、何か出来る力なんて私にはない…。
いいえ、そんな事はないわ!今の私はガリシナの軍服を着て兵士としているんだから。
「クックさん、この制服の持ち主、階級は何かしら。」
「そのバッジ、残念ながら二等兵だな」
「では私はサナス二等兵ね。」
「何をするつもりだ?」
「ガリシナ兵として、どうどうと邸に入るのよ。」
「ニーナ様!っ何を馬鹿な事を!」
「サナス二等兵よ。敬語もいらないわ。
不自然だもの。」
「…馬鹿な事はするな。」
「クリフ、私にはやるべき事が2つあるのよ。まず、エドワードの様子を確認、殺されそうなら救出!そして、ガリシナの坊ちゃんとエドワードを殴る。拳じゃこっちも痛いから、平手打ちで済ませるわ。」
「何を言ってるんだ…」
「あ!クリフもじゃない。私を放置するというエドワードの愚行を軌道修正しなかったのは職務怠慢よ。」
「……それは自分でも思う。」
「そう、なら後で覚悟しなさい。」
「………」
「ねぇ、待っていれば誰かが助けてくれる、世の中そんなに甘くないわよ。自分で動かない人を、誰も助けてはくれないの。この国で得た教訓よ。」
「…死ぬぞ。」
「クリフ、何もしなければ生きていられるかもしれないわ。けど話も聞かないような相手なのよ。貴方は信用できるの?このままじゃ国民全てが奴隷にされかねないわ。」
「……」
「成り行き任せなんて嫌よ。勝利は自分で
勝ち取るの。では行ってくるわ。エドワードの首が飛ぶ前にね。」
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