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卑怯者と私
「クックさん、いいところに!」
探しに行こうとしたら、丁度通りかかった。
「殿下はいたか?」
「ええ。殴られた上に薬を飲まされてる。地下牢に閉じ込められてるわ。頑丈に鍵がかかってるから、それがないとどうにも…だから、スペアを取りに行ってほしいの。」
「だったら俺が残るからニーナ、お前が行け!」
「私なら大丈夫よ。帰ってくるまで何とかするから。…早く、ここで話してる時間が勿体ないわ。」
「……わかった。」
鍵はクックさんに任せるとして、帰ってくるまでどうしよう。
ギリギリまでここで待とう。
それから20分くらいたったと思う。馬鹿な高笑いが聞こえてきた。
「本当に何を考えてるんだか、さっさと国と女を渡せばいいものを。」
国?…女?
また女の事でも腹をたててるの?モテない男はいつまでも情けない!
地下室に入っていくわ…。3人のうち1人はやっぱりあの卑怯者。
つけていくとエドワードの牢の前で何か言ってる。牢の鍵をあけたのを見計らって、私は卑怯者に声をかけた。
もう直接対決しかない!!
「…いつまでたっても卑怯者は卑怯者ね。」
「だれだ…?」
「だれって、部下を見て分からないなんて、上官として如何なものかしら。」
「…ふざけていると殺すぞ。」
「はぁ…まだわからないの?テイラーの孫よ。」
「…孫、クールか?」
「クール様がこんな小さいわけないでしょう。会った事がないの?ああ、会ってもらえないのね。」
「いい加減にしろ!」
「…エドワードと卑怯者、男装した私。役者は揃ったという事よ。」
帽子をぬいで、髪をおろしてみせた。
「ニーナ・サナスか?」
「そうよ。久しぶりね。」
私が女だと判って、護衛の2人の前に出てきた。今まで後ろにしっかり隠れてたくせに。そういう所が情けないのよ。
「何をしにきた。もしかしてこいつを助けにか?」
何をするのかと思えば、わざわざ牢の中からエドワードを引きずり出してきた。
本当に馬鹿なんだわ。…この男。切り札を早くも私の目の前に出してくるなんて。
「…ナ……にげ……」
エドワードはまだあまり動けない…自力で
振り切ったりは出来ないよね。
「…助ける。というのは語弊があるかしら。忠告に来てあげただけよ。」
「何だと?」
「貴方がこの国をほしい理由はなんなの?」
「海路にきまっている。海から攻めればもっと領土を拡大できる。」
「無理ね。この国があなたの国の物になっても、海には手はつけられない。何故か言いましょうか。『カタサの族長』はお怒りだからよ。私を帰さなかったんだもの。」
「…帰さなかった?」
「欲しかったのは、この国より海路なのでしょう?それなら族長に挨拶に伺うべきだったわね。」
「何故そんな事をする必要がある。」
「そうしなければ、ガリシナは海に船を浮かべる事も出来なくなるからよ。知らない訳ではないでしょう?カタサは海賊と仲良しなのよ。」
そんなの聞いた事をないけどね!
どうどうと言い切ってこその『はったり』よ。図太い私の演技力!!
「……」
「知らないのも無理はないわね。あなたの国に海はないもの。そしてカタサとの繋がりなんて皆無ね。」
「次にカタサを攻めればいいだけだ。」
「…私の母国を攻めるですって…?いい度胸してるじゃない。やってみなさい。この国の王太子のように優しくはないわよ。」
「…っ」
「私への扱いを1つでも間違えてごらんなさい、それがどういう意味を持つのか解るわよね。」
私1人が原因で戦いになるはずないって…
さすがにこれはわかるよね。演技もここまでかな…。
「…」
…何故黙るの?
もしかして解らないの?…この人、本当に
ガリシナの総帥に言われて来たのかしら。
もう何でもいいわ。こうなったら、はったり勝負よ。
「テイラー卿もカタサの族長も何れだけの
権力をもっているか、それくらいならわかるでしょう。だから私があなたを殴っても何とかなったの。あなたのお父様でさえ手に追えない2人だという事よ。この国の後ろにひかえてるのは。」
……このまま演技をするのはいいけど、この卑怯者の頭に血が昇って、私達を殺すという行動をするかもしれない。
どうしよう…。
私は銃をもってる。エドワードに渡したのは、兵士から制服と一緒に奪った銃。私は
公爵から借りた銃。
人に向けて撃つ…なんて出来ない。
牢の鍵はもう開いてる。クックさんのスペアは必要ない。
今ここには私しかいない。
何とかするしかない!
探しに行こうとしたら、丁度通りかかった。
「殿下はいたか?」
「ええ。殴られた上に薬を飲まされてる。地下牢に閉じ込められてるわ。頑丈に鍵がかかってるから、それがないとどうにも…だから、スペアを取りに行ってほしいの。」
「だったら俺が残るからニーナ、お前が行け!」
「私なら大丈夫よ。帰ってくるまで何とかするから。…早く、ここで話してる時間が勿体ないわ。」
「……わかった。」
鍵はクックさんに任せるとして、帰ってくるまでどうしよう。
ギリギリまでここで待とう。
それから20分くらいたったと思う。馬鹿な高笑いが聞こえてきた。
「本当に何を考えてるんだか、さっさと国と女を渡せばいいものを。」
国?…女?
また女の事でも腹をたててるの?モテない男はいつまでも情けない!
地下室に入っていくわ…。3人のうち1人はやっぱりあの卑怯者。
つけていくとエドワードの牢の前で何か言ってる。牢の鍵をあけたのを見計らって、私は卑怯者に声をかけた。
もう直接対決しかない!!
「…いつまでたっても卑怯者は卑怯者ね。」
「だれだ…?」
「だれって、部下を見て分からないなんて、上官として如何なものかしら。」
「…ふざけていると殺すぞ。」
「はぁ…まだわからないの?テイラーの孫よ。」
「…孫、クールか?」
「クール様がこんな小さいわけないでしょう。会った事がないの?ああ、会ってもらえないのね。」
「いい加減にしろ!」
「…エドワードと卑怯者、男装した私。役者は揃ったという事よ。」
帽子をぬいで、髪をおろしてみせた。
「ニーナ・サナスか?」
「そうよ。久しぶりね。」
私が女だと判って、護衛の2人の前に出てきた。今まで後ろにしっかり隠れてたくせに。そういう所が情けないのよ。
「何をしにきた。もしかしてこいつを助けにか?」
何をするのかと思えば、わざわざ牢の中からエドワードを引きずり出してきた。
本当に馬鹿なんだわ。…この男。切り札を早くも私の目の前に出してくるなんて。
「…ナ……にげ……」
エドワードはまだあまり動けない…自力で
振り切ったりは出来ないよね。
「…助ける。というのは語弊があるかしら。忠告に来てあげただけよ。」
「何だと?」
「貴方がこの国をほしい理由はなんなの?」
「海路にきまっている。海から攻めればもっと領土を拡大できる。」
「無理ね。この国があなたの国の物になっても、海には手はつけられない。何故か言いましょうか。『カタサの族長』はお怒りだからよ。私を帰さなかったんだもの。」
「…帰さなかった?」
「欲しかったのは、この国より海路なのでしょう?それなら族長に挨拶に伺うべきだったわね。」
「何故そんな事をする必要がある。」
「そうしなければ、ガリシナは海に船を浮かべる事も出来なくなるからよ。知らない訳ではないでしょう?カタサは海賊と仲良しなのよ。」
そんなの聞いた事をないけどね!
どうどうと言い切ってこその『はったり』よ。図太い私の演技力!!
「……」
「知らないのも無理はないわね。あなたの国に海はないもの。そしてカタサとの繋がりなんて皆無ね。」
「次にカタサを攻めればいいだけだ。」
「…私の母国を攻めるですって…?いい度胸してるじゃない。やってみなさい。この国の王太子のように優しくはないわよ。」
「…っ」
「私への扱いを1つでも間違えてごらんなさい、それがどういう意味を持つのか解るわよね。」
私1人が原因で戦いになるはずないって…
さすがにこれはわかるよね。演技もここまでかな…。
「…」
…何故黙るの?
もしかして解らないの?…この人、本当に
ガリシナの総帥に言われて来たのかしら。
もう何でもいいわ。こうなったら、はったり勝負よ。
「テイラー卿もカタサの族長も何れだけの
権力をもっているか、それくらいならわかるでしょう。だから私があなたを殴っても何とかなったの。あなたのお父様でさえ手に追えない2人だという事よ。この国の後ろにひかえてるのは。」
……このまま演技をするのはいいけど、この卑怯者の頭に血が昇って、私達を殺すという行動をするかもしれない。
どうしよう…。
私は銃をもってる。エドワードに渡したのは、兵士から制服と一緒に奪った銃。私は
公爵から借りた銃。
人に向けて撃つ…なんて出来ない。
牢の鍵はもう開いてる。クックさんのスペアは必要ない。
今ここには私しかいない。
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