侯爵夫人は子育て要員でした。

シンさん

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本編後ストーリー

宣戦布告

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翌朝、私宛に手紙が届いた。
とても上質な便箋だし、貴族かどこかのお金持ちからだとは思うけど、差出人の名前に心当たりがないんだよね。

『ペトロ』ってだれなの。便箋には何も書いてないし。
人身売買の件で私に脅しの手紙かと思ったけど、下手に動いて手掛かりを残すような事はしないよね。

「……ん?」

この紙……香水の香りがする。トーマについてたのと同じ、流行りの香水。
もしかして、トーマを好きな女から私への嫌がらせかも。
『私は先日、貴方の夫と一緒にいましたよ』って、遠回しに伝えようとしてるのかもしれないわ。

もしそうなら、この手紙の差出人が、トーマに香水の香りがうつるほど接近したって事だよね。それは、ちょっと……かなり許せないわね。

コンコン

「どうぞ」
「おはよう」
「うん、おはよう」

よかった……。いつも通りのトーマだわ。口づけで気分を害してたらどうしようかと思ったけど、大丈夫みたい。

「今日は足の調子はどうだ?」
「平気よ。」

前に『曇りや雨の日は足が痛む』って言ったから、心配して来てくれてたのよね。些細な事だけど、覚えててくれるのは嬉しい。

「手紙?……友人から?」

私が手に持ってる便箋に気付いて、トーマが少し顔を曇らせた。
人身売買の件と繋がりがある手紙じゃないかって、そう考えてるよね。不安にさせたくないし、トーマには見て貰おう。

「いいえ、知らない人よ。何も書かれてなかったし。」

トーマは封筒と白紙の手紙に目を通してから、蝋燭に火をつけた。

「あぶり出し?」
「白紙だと、この手の物が多いから試してみたが、何も出てこないな。」

その手紙は香りを届けるのが目的だと思うわ。トーマは香水の香りには気が付かないのかしら。

「ルーベンが来た日の夜、トーマはどこで誰と食事をとったの?」
「フレッドとだが、何故だ?」
「あの時間帯に食事を済ませてくるのは珍しいから、聞いてみただけよ。」

この手紙の差出人と一緒にいたんじゃないかって、疑ってるのは知られたくないわ。

「今度はルーナも一緒に行こう。フレッドも喜ぶ。」
「うん」

トーマが嘘をついてるようには見えないし、この手紙の香水は無関係?ううん、そんなはずないよね。これが、どういう意味だとしても、私への宣戦布告なのは間違いないわ。
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