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終わったらすぐ解散、の人間と同一人物とは思えないくらい、事後の原賀が甲斐甲斐しい。
今までは俺に嫌われてると思ってたから、必要以上に一緒にいないようにしてたらしい。それで俺は嫌われてると思ってたんだから、勘違いというのはひどいものだ。
あと、ゴムはしてなかった。
抜かれた後の穴から何かが伝う感覚に、生で入れてやがったって即理解した。
殴ってやりたかったけど体が動かなかったから、文句だけ言っておいた。ただ、返ってきた言葉が「お前も気持ち良かっただろ? 中に出される感覚は」だったから、何も響いてない。いや、気持ち良かったのは確かだけど。
「っ、あ……」
「我慢しろ。お前がいちばん感じるところは避けているから」
中に出された以上、それを掻き出さないといけない。広い浴室で立ったまま原賀に体を支えられながら、指を二本入れられてる。
正直、きつい。さっきまでの熱の名残りがあるから、指の動きに体が反応する。後処理で感じてしまっては堂々巡りだということを分かってるから、原賀も極力、事務的な動かし方をしてる。
さっさと終わってくれ、という願いが通じたのか、ずるりと原賀の指が抜けた。
「はぁ……っ」
「終わりだ。よく頑張ったな」
頭上から水が降り注ぐ。原賀がシャワーの栓を捻ったらしい。
体力もろくに残ってないので、甘やかしてくる原賀に身を任せる。官能を呼び起こす触り方ではなく、心地よく微睡むような優しい触れ方で全身を洗われる。
「起きろ、出るぞ」
本当に微睡んでたみたいで、気づいたときには泡も全て流され、半ば引きずられるように浴室から出た。
ぼんやりしてるうちに身支度が整えられていくのがおもしろくて、逆らわずに身を委ねる。いつの間にか服を着せられて、リビングのソファに並んで髪を拭われてる。
「んん……原賀……」
「何でその呼び方なんだ。かわいく兄ちゃんと呼んでみろ」
無意識に零れ出た名前に、原賀の手が止まり、不機嫌な声が返される。
いやでも、なあ、かわいくったって。
「さすがに、この歳でガキの頃と同じ呼び方はちょっと……」
「名字はないだろ。せめて兄貴とか名前とかで呼べ。他人行儀じゃないか」
他人であるために名字で呼んでたから、他人行儀なのは当たり前だ。
でも、そっか。他人じゃなくていいんだ。
「ん、兄貴……」
「何だ、ルカ」
名前を呼ばれて、口元が緩む。
「幸せだな、って。こうしてまた会えると思ってなかったし、会えてももう仲良くなれないと思ってたから」
「それは俺もだ。絶対に嫌われていると思っていた」
「それはねぇよ。ずっと好きだった」
「俺もお前を恨んだことなんてない。再会してからずっとお前の名前を呼びたかったし、お前に兄と呼ばれたかった。ルカ。呼ぶだけじゃなくて、俺の手の中にお前を掴めるとは、本当に……幸せだな」
どちらともなく顔を寄せる。唇を触れ合わせて、だんだん口付けを深くする。お互いに相手の口腔を貪り合って、吐息すら逃さない。
キスに熱中してると、俺の服の裾から原賀の手が侵入してきたからはたき落とす。
「……おい」
不満そうだ。そりゃそうか。
でも俺はもう一回抱かれるには体力が足りてない。
「今の俺ができると思ってんのか。別に今しなくてもいいんじゃねぇの? これからは一緒にいてくれるんだろ、兄貴」
「そうか、そうだな。ずっと一緒にいるよ、ルカ」
こうして笑い合う日が来るなんて思ってなかった。
兄と一緒に過ごす未来を語り合う日が来るなんて考えられなかった。
大好きな兄がいた。
大好きな兄は、大好きな恋人になった。
二度と会えないと思ってた兄は、将来を共にする相手になった。
幸せだよ、兄ちゃん。
今までは俺に嫌われてると思ってたから、必要以上に一緒にいないようにしてたらしい。それで俺は嫌われてると思ってたんだから、勘違いというのはひどいものだ。
あと、ゴムはしてなかった。
抜かれた後の穴から何かが伝う感覚に、生で入れてやがったって即理解した。
殴ってやりたかったけど体が動かなかったから、文句だけ言っておいた。ただ、返ってきた言葉が「お前も気持ち良かっただろ? 中に出される感覚は」だったから、何も響いてない。いや、気持ち良かったのは確かだけど。
「っ、あ……」
「我慢しろ。お前がいちばん感じるところは避けているから」
中に出された以上、それを掻き出さないといけない。広い浴室で立ったまま原賀に体を支えられながら、指を二本入れられてる。
正直、きつい。さっきまでの熱の名残りがあるから、指の動きに体が反応する。後処理で感じてしまっては堂々巡りだということを分かってるから、原賀も極力、事務的な動かし方をしてる。
さっさと終わってくれ、という願いが通じたのか、ずるりと原賀の指が抜けた。
「はぁ……っ」
「終わりだ。よく頑張ったな」
頭上から水が降り注ぐ。原賀がシャワーの栓を捻ったらしい。
体力もろくに残ってないので、甘やかしてくる原賀に身を任せる。官能を呼び起こす触り方ではなく、心地よく微睡むような優しい触れ方で全身を洗われる。
「起きろ、出るぞ」
本当に微睡んでたみたいで、気づいたときには泡も全て流され、半ば引きずられるように浴室から出た。
ぼんやりしてるうちに身支度が整えられていくのがおもしろくて、逆らわずに身を委ねる。いつの間にか服を着せられて、リビングのソファに並んで髪を拭われてる。
「んん……原賀……」
「何でその呼び方なんだ。かわいく兄ちゃんと呼んでみろ」
無意識に零れ出た名前に、原賀の手が止まり、不機嫌な声が返される。
いやでも、なあ、かわいくったって。
「さすがに、この歳でガキの頃と同じ呼び方はちょっと……」
「名字はないだろ。せめて兄貴とか名前とかで呼べ。他人行儀じゃないか」
他人であるために名字で呼んでたから、他人行儀なのは当たり前だ。
でも、そっか。他人じゃなくていいんだ。
「ん、兄貴……」
「何だ、ルカ」
名前を呼ばれて、口元が緩む。
「幸せだな、って。こうしてまた会えると思ってなかったし、会えてももう仲良くなれないと思ってたから」
「それは俺もだ。絶対に嫌われていると思っていた」
「それはねぇよ。ずっと好きだった」
「俺もお前を恨んだことなんてない。再会してからずっとお前の名前を呼びたかったし、お前に兄と呼ばれたかった。ルカ。呼ぶだけじゃなくて、俺の手の中にお前を掴めるとは、本当に……幸せだな」
どちらともなく顔を寄せる。唇を触れ合わせて、だんだん口付けを深くする。お互いに相手の口腔を貪り合って、吐息すら逃さない。
キスに熱中してると、俺の服の裾から原賀の手が侵入してきたからはたき落とす。
「……おい」
不満そうだ。そりゃそうか。
でも俺はもう一回抱かれるには体力が足りてない。
「今の俺ができると思ってんのか。別に今しなくてもいいんじゃねぇの? これからは一緒にいてくれるんだろ、兄貴」
「そうか、そうだな。ずっと一緒にいるよ、ルカ」
こうして笑い合う日が来るなんて思ってなかった。
兄と一緒に過ごす未来を語り合う日が来るなんて考えられなかった。
大好きな兄がいた。
大好きな兄は、大好きな恋人になった。
二度と会えないと思ってた兄は、将来を共にする相手になった。
幸せだよ、兄ちゃん。
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