ひまわりの王様 ~友達を作りに行ってきます!~

Ignidax

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第一章:四百年、追いつく時間

三話:プラチュさんの力と、こ、これはっ?!

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 場所は変わって、ロストは近くで見つけた川にいた。
 そこで彼は川辺に腰を下ろしてずっと、そう、五人組とファーストコンタクトを取って以来一時間も同じ場所にいて深く悩んでいた。
 川辺にある平べったい丸い石を手に取って、それを川に投げてうまく何度も水の上で弾く。

「はぁ……」

 これで何度目の溜息だろう。
 彼は何度も石を拾っては川に投げて、何度も溜息を漏らす。
 あの五人組に逃げられて余程ショックだったんだ。

「これから一人になるのは嫌だなぁ。せめてこの世界のどこかに友達の作り方のマニュアルとかないだろうか?【組織】が解散する前にデータベースからいろいろと検索すればよかった」

 彼は一人ボッチになって寂しくなるのが大嫌いで怖かった。
 だからこうして彼が深く悩んで落ち込んでいるのも、一人ボッチになることを恐れて何とかできないかと考えている。
 でも彼が今日出会った人達と関わってわかったんだけど、ロストは戦う事以外全くダメだった。
 
 元の世界からも同じで、彼は極度の人見知り。
 その上もとから人脈も少なく、人と関わった経験は少ないからどう人と接して良いのか分からない。
 もっと悪く言えば今彼の周りには助言や助けてくれる人が誰もいないから、彼は誰にも助けを求める事ができない。

 彼が眠って夢の世界に現れれば、私はこれからちゃんと彼にいろいろと相談に乗ってあげなくちゃ。
 でも私ですらそれほど人と、むしろ指で数える程しか人と話していないから大した相談相手になるのもよくわからない。
 だからその場合は彼に先輩と合わせて、一緒に助けてもらおう。

 何もかも全部先輩に頼っちゃうな、私。
 でも、これはロストを支えてあげる為にやる事。
 私は、これからずっとロストの傍にいて、彼の事を支えて守ってあげたい。

 だって、彼が大好きなんだもん。

「はぁ……」
「友達さん友達さん」

 突如、誰かが彼に声を掛けた。
 彼は辺りを見渡すけどどこにも誰もいない。
 空耳だと勘違いして彼は川の方へ視線を戻すけど、彼の腰に何かがちょんちょんと突く。

 視線を下に動して、いたのはちっちゃい雪だるまのような白くてまん丸い生き物。
 六本の丸い肢体に、顔には二つの卵形の黒い目。
 その子がロストに声を掛けていた。

「これは、プラチュさん?!」

「こんにちは、トモダチさん」

 掌サイズの小さな魔物、プラチュは礼儀良く頭を下げてロストにご挨拶する。

 プラチュ、別名魔物の神様。
 寄生型の魔物でありながら危険はなく、穏和で大人しく、遊び心満載。
 遊ぶ事が大好きで他の種族や魔物とも構わず遊びたいほど。

 プラチュは特殊な能力を持っていて、自由自在に物を吸収したり放出することができる。
 例えば魔力や熱、病やウイルスでさえも。
 その為人々はプラチュを見つけ次第薬品を作ろうとしたけど全く何も作れなかった。

 彼らの吸収や放出できる量は微弱で、命の危険になるまで魔力を吸われる事はない。
 だから彼らは人々から害虫のように扱われ、史上最弱の魔物として知られている。
 でもそれは人が評価することで、プラチュは実際魔物界では神様として崇められている。

 どうしてなのかは後で説明するけど、少し気になる事がある。
 普通プラチュは団体で行動するんだけど、今ロストの所にいるのはたったの一匹。
 だから現状何でプラチュがたった一匹なのかおかしい。

 ロストはプラチュに手を差し伸べて、プラチュは彼の手に乗る。

「どうしてここに?」

 きゅ~るるる「お腹が空いたのです……」

 プラチュは辛そうな顔でお腹を摩る。
 可愛い小さなお腹の空いた音を聞いて、ロストは周囲を見渡す。
 予想通り、彼は何かプラチュに食べ物はないか探していた。

 優れた感覚を使って彼は何かを見つける。
 視線の先は茂みがあって、そこにはいろいろとベリーが生えていた。
 彼は命じて光の鳥を呼び出して、チェリー見たいなベリーを数個取ってもらう。

「ほら、どうぞ」

「ありがとうなのです、トモダチさん!」

 プラチュはロストから受け取ったベリーを美味しくロストの掌で食べ始める。
 美味しく食べている様子が微笑ましくて、彼は掌に乗っているプラチュの頭をそっと優しく撫でる。
 プラチュは撫でてくる手を嫌がらず気持ちよさそうに頭を擦りつけて、器用に頭を擦り付けながらも次々とベリーを食べていく。

「美味しいですか?」

「おいしいです!トモダチさんも、はい」

 プラチュはベリーを複数ロストへ渡すように差し出すけど、ロストは断った。

「私は大丈夫です。全部食べても良いですよ」

「お腹空いないですか?」

「いえ。私の体は飲食不要なので、食べる必要はありません」

「……人生損なのです」

 そんなプラチュのお返しにロストは苦笑するしかなかった。

 ロストはイナイカになって以来、食事や睡眠をとる必要がなくなった。
 生物としての本能や性能を失い、子供を残す事や欲を覚える事も無い。
 いわば彼は生物よりも機械のように無欲な存在になってしまった。

 |失われた世代(ロスト・ジェネレーション)に進化したからには何かが違うかもしれないけど、今の所殆どイナイカの頃と変わらないと見る。

「プラチュはどうしてここにいるのですか?」

「プラチュの皆さんと逸れたのです。迷子なのです。一人なのです……」

「……そうか。君も一人なのか」

「友達さんも一人ですか?寂しいですか?」

「ああ、寂しいよ。すっごく。どんなに鎧で身を包んでも、寒い程寂しいんだ」

 ロスト……。

 彼は両手でプラチュさん包んでお凸に近づけてつぶやく。

「自分は友達が作るのが下手でな、いろいろと一人で苦労してきたんだ。けれど、家族がいたお陰で、仲間もいたお陰で、ずっと耐えてきた。けど、もう何もかも終わって帰ってみれば、帰れる家や誰もいない事を知って、凄く、凄く寂しいんだ。いや、すまない。自分には心から大切にいる人がまだいる。生き残った仲間も。だが……こうして一人でいると、一人だった頃を思い出して怖いんだ。一人で生きるのが。……一人で、死ぬのが」

 プラチュは心配そうに彼の顔を除くけど、ヘルメットで隠れているから見えない。

「一人になるのが怖くて嫌んだ。せめて自分がもっと小さければ、そして人見知りじゃなければ、いろんな人と出会って、友達を作って、一緒に生きて、笑って、冒険して、毎日過ごしていきたい。じゃないと……し―」

「友達さん」

 プラチュは彼を途中で止めた。
 最後の言葉を言わせない為に。
 そして、プラチュは、ロストの顔にいきなり張り付いた。

「いっぱい友達作りに行くのです。願い、叶えてあげるのです!」

「プラチュさん!?一体何を?!くっ!!」

 プラチュは突然眩しく光だして、その光がロストを包んでいく。
 光はとても暖かくて、穏やかで気持ち良い。
 まるで眠りに付くようだった。

 ロストは光となったプラチュを剥がすことができず、されるがまでいた。

「大丈夫です。自分を信じてです。これからいっぱい楽しみあるです。頑張ってです、友達さん!」

 次第にロストの体に包んだ光が徐々に小さくなって消え、私は―



 ―言葉を失った。



 私が握っている万年筆が自動的に動いていなければここから記録がブランクになっていただろう。

 今、私はロストの姿を見て言葉を失っていた。
 彼の顔にはのっぺらぼうの白い仮面を付けている。
 でもそれよりもの事で私はわけがわからない事態を目の辺りにして頭が真っ白になっていた。

「何が起こった、です?これ何、です?」

 彼は顔にいつの間にか付けられた仮面を取り外す。
 すると急に弱弱しくなって彼は地面に四つん這いになる。
 泥によって彼は柔らかく地面に付いて、彼のに傷は付かない。

「あ、あれ、です?」

 鎧を着用していない自分の手、子供の小さな手を見て困惑する。
 彼はそろそろ何か気づいたようで、赤ん坊のように這いずって川の方に近付く。
 水の上に頭を浮かせると、そこには彼の顔が反射されて映っていた。

 そうしてようやく私の自動機能は終了してめちゃくちゃ書き始める。

 きゃああああああぁぁぁぁぁっ☆!!可愛いいいいいいぃぃぃぃい☆!!

 なんなの?!なんなのこれ?!
 どうしてロストが子供になっているの?!
 それもめちゃくちゃ可愛いのに?!

 さらさらな黒髪にくりッとしたまるで宝石のように輝く茶色い大きな瞳。
 可愛さのあまり私は彼を持ち上げようとするけど、残念ながら私は彼に触れることはできるけど直接彼を物理的に動かすことや影響することはできない。

 だからここは我慢して彼を抱いて、柔らかい肌とさらさらの髪をいっぱい堪能する。
 彼を自由に持ち上げて好き勝手に触れないのが悔しい!!
 でも……夢の中に来たらそのままの姿で来るのかな?

 もしもそうだったら……ぐへ、ぐへへへ、楽しみが一つ増えたよぉ、じゅる。
 待っててね、ロスト~。
 たっぷり夢の中で可愛がってあげるから。

 「ね、ねむい、の……です?」

 彼は川の水から離れて、突然の眠気に襲われて横になってしまう。
 そのままうつらうつらと瞳が閉じていき、猫のように丸まって眠り始める。
 そして数秒後、小さな寝息を立てて眠りに落ちた。

 うっしゃああああああああああああぁぁぁぁっ!!

 今から夢の中で会うから待っててね!!ロストちゃ~ん!!

◇???◇

 はぁ……。それよりも先ず彼が安全で凍えないようにしなさいよ、あのド変態が。

 メリーが夢の世界へと向かった後、私は現実世界にいるロストの体を抱えて川から離れる。そして彼が誰にも見つからないように木の上に小さな隠住居部屋を出現させてその中にロストを入れた。

 部屋の中は暖房で温めており、裸体になっている彼が凍える事はない。それでも念の為に彼の体を綺麗に拭いた後、私は力を使って服を創造させて彼に着させる。そしてフカフカな布団と毛布も創造してロストに被らせる。彼の頭に枕も。

 彼を布団の中へ寝かせたら私が創造した物を気にいって、眠ったまま笑顔で強く毛布を抱きしめた。

 喜んで嬉しいわよ、ロスト。

 これでここにいる彼は誰にも見つかることもなく、寒さで凍える事もない。
 後はこれからあのド変態の所為でアナタが悪夢を見ないようにしてくるから、ゆっくり寝ていなさい。
 彼の頭を優しく撫でてから私も夢のへと向かった。
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