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11 兄嫁〈ニコラスside〉
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レティシアが私と子作りに励み出してから、あっという間にひと月が経った。
最初こそ躊躇っていたレティシアも、このごろは私の好む方法に慣れてきたようだ。
品行方正に育てられた兄は閨でも紳士だったらしく、正常位しかレティシアは知らなかった。
だがそれも過去のこと。
今では限られた時間内で着衣のまま、みだらな行為をすることや、人に見られるかもしれないスリル溢れる場所での行為も快感に繋げられているようで、多少破廉恥なことをしても上手にイケるようになってきた。
これなら兄上の希望も、もうすぐ叶えてあげられるかもしれない。
だから私の日課である兄上のお見舞いの時に、今日こそはその話をしたいと思っていた。
「兄上、お加減はどうですか?」
「うん、最近はだいぶ調子が良くてね。もしかするとニコラス、お前のお陰かもしれない」
そう言って兄上は朗らかに笑った。
実際このところ兄上の容態は安定していて、医師からも少しなら書類仕事をしても良いと許可が出ている。
それでも周囲が止めているので仕事はしていないが、まだ少し残っていた領主の引き継ぎなどを進めてもらえるようになった。
「もともと跡取りのことは気がかりだったが、それはお前にこうして頼める。だが、レティーは別だと思っていたからな」
「兄上はレティシアをとても愛していますから、さぞかし心配だったのでしょうけど、私は初めから彼女を最後まで引き受けるつもりでいましたよ?」
「そうか。……しかし、今のような形で引き受けようとは、夢にも思っていなかったろう?」
「それは……まぁ」
意味深な眼差しで兄上に見詰められると少し恥ずかしく、それを誤魔化したくて話の方向を変える。
「兄上のお加減もよろしいのなら、もうそろそろレティシアも仕上がってきていますし、近い内に計画を実行に移せるかもしれません」
「そうか。この病がいつ悪化するとも分からんからな。私は早い方が良い」
「それでは近日中に……」
「あ、いや。今はダメだった」
何か思い出したように兄上が遮る。
どうしたのかと目で問いかけると、私を気の毒そうな目で見るので、思わず首を傾げてしまった。
「先ほどレティーからの伝言で『月の穢れがきた』と……」
「……そうですか」
「……残念だったな」
「まだ、ひと月ですよ?」
「いや、そうでは無くて。その……七日ほどはできないだろう? 我慢させてしまうと思ってな」
兄上は私をどんな風に見ているのだろう?
そんなに好き者だと思われているのだろうか?
「七日くらい、普通に我慢できます」
「そうか? 今までは夜会へ三日と空けずに出かけていただろう? しかも最近はレティシアと毎日シていたのだから、一人寝はつらいだろうと思ってな」
「兄上! 私はそんな節操なしではありません。月の穢れを待つくらい、どうということはありません」
「そうか。でも、たまには別の令嬢と羽を伸ばしても構わんぞ?」
「いえ。万が一にもレティシアに変な病気を感染すわけにはいきませんから」
兄上の最愛の人を抱くのに、自分の身が清くなければ申し訳が立たない。
それにレティシアを抱かせてもらえるのなら、ほかの女など必要ないのだから。
七日と言わず、もしレティシアが私の子を産んだ時は、次に子作りが再開できるまで、何ヶ月でも待つ覚悟もしている。
しかしそれを兄上には言いたくはない。
そんな、兄上がいなくなるかもしれない未来の話など……。
「ハハハ……。お前が女に対して、そんなに真面目だったとは知らなかった」
兄上の少し弱々しい笑い声で己の思考から引き戻された。
多少元気に見えても、やはり余命は少ないのだと思い知らされるような、そんな笑いだった。
兄上が喜ぶことは何でもしたい。
それがレティシアの嫌がるであろうことでも。
「私は兄上のことなら──いや、レティシアのこともかも知れませんが、それだけは誠心誠意を持って、対応させてもらいます」
「ニコラス、お前が私の弟で良かった。嬉しいよ」
「それでは、七日ですか? その間に準備しておきます。そして、兄上の望みを叶えて見せましょう」
「楽しみにしている」
兄上の望み。
それは、私がレティシアを犯す所をその目で見ることだ。
多分、目の前でお見せするのはまだ難しいだろう。
しかし隠し部屋が存在する『初夜の間』であれば、私たちの行為を比較的間近で覗き見ることが可能だ。
その昔。
新妻が処女なのか?
新婚の二人が本当に夫婦生活を営めるのか?
そういったことを神官と当主が──その場合な大抵が花嫁にとっての舅だが、彼らが一部始終観察するために作られた部屋が『初夜の間』である。
隠し部屋ならば、ソファに座って特等席からレティシアが犯される様子を見る事が可能で、花嫁の中に花婿のナニが挿入れられる様子をしっかりと見ることが可能な配置になっている。
きっと見られている視線は感じるだろうし、見ている者の気配も分かるだろう。
それは同時にコチラからの卑猥な音や喘ぎ声も全部聞こえてしまうということで、レティシアがそれに気が付けば今までの比ではないほどの羞恥を感じるはずだ。
以前なら嫌がって泣き出すところだが、徐々に恥ずかしい行為を慣らしてきた、今のレティシアならば、少しくらいの違和感は過剰反応せずに、気持ち良くヨガってくれると思う。
兄上はレティシアを閨房教育通り──正常位でしか抱かなかったようだから、今の彼女を見たらどう思うだろう?
イヤらしい体になったと喜ぶか?
淫乱に調教されたと嘆くか?
そこは少し不安が残るが、最初は作法通りに抱いて、徐々に私の好きに抱くようにすれば兄上だってきっと満足してくれると思う。
本当は兄上の子を孕んだレティシアを嫁にもらいたいと思っていたが、兄上の下半身が思うように動かない今、それはもう叶うことは無いと諦める。
だから兄上には、レティシアの腹に私の子が宿るところを見ていてもらいたい。
私が兄上の妻を心から大切にして愛せることを信じてもらい、レティシアはこの先ずっと何不自由なしに暮らせると安心してもらうのだ。
でも、最近はそれだけでは無い。
私は兄上の妻だからという以外でも、レティシアを好ましいと感じ始めている。
それが何なのか?
レティシアを抱き続ける内に分かるようになるだろうか?
最初こそ躊躇っていたレティシアも、このごろは私の好む方法に慣れてきたようだ。
品行方正に育てられた兄は閨でも紳士だったらしく、正常位しかレティシアは知らなかった。
だがそれも過去のこと。
今では限られた時間内で着衣のまま、みだらな行為をすることや、人に見られるかもしれないスリル溢れる場所での行為も快感に繋げられているようで、多少破廉恥なことをしても上手にイケるようになってきた。
これなら兄上の希望も、もうすぐ叶えてあげられるかもしれない。
だから私の日課である兄上のお見舞いの時に、今日こそはその話をしたいと思っていた。
「兄上、お加減はどうですか?」
「うん、最近はだいぶ調子が良くてね。もしかするとニコラス、お前のお陰かもしれない」
そう言って兄上は朗らかに笑った。
実際このところ兄上の容態は安定していて、医師からも少しなら書類仕事をしても良いと許可が出ている。
それでも周囲が止めているので仕事はしていないが、まだ少し残っていた領主の引き継ぎなどを進めてもらえるようになった。
「もともと跡取りのことは気がかりだったが、それはお前にこうして頼める。だが、レティーは別だと思っていたからな」
「兄上はレティシアをとても愛していますから、さぞかし心配だったのでしょうけど、私は初めから彼女を最後まで引き受けるつもりでいましたよ?」
「そうか。……しかし、今のような形で引き受けようとは、夢にも思っていなかったろう?」
「それは……まぁ」
意味深な眼差しで兄上に見詰められると少し恥ずかしく、それを誤魔化したくて話の方向を変える。
「兄上のお加減もよろしいのなら、もうそろそろレティシアも仕上がってきていますし、近い内に計画を実行に移せるかもしれません」
「そうか。この病がいつ悪化するとも分からんからな。私は早い方が良い」
「それでは近日中に……」
「あ、いや。今はダメだった」
何か思い出したように兄上が遮る。
どうしたのかと目で問いかけると、私を気の毒そうな目で見るので、思わず首を傾げてしまった。
「先ほどレティーからの伝言で『月の穢れがきた』と……」
「……そうですか」
「……残念だったな」
「まだ、ひと月ですよ?」
「いや、そうでは無くて。その……七日ほどはできないだろう? 我慢させてしまうと思ってな」
兄上は私をどんな風に見ているのだろう?
そんなに好き者だと思われているのだろうか?
「七日くらい、普通に我慢できます」
「そうか? 今までは夜会へ三日と空けずに出かけていただろう? しかも最近はレティシアと毎日シていたのだから、一人寝はつらいだろうと思ってな」
「兄上! 私はそんな節操なしではありません。月の穢れを待つくらい、どうということはありません」
「そうか。でも、たまには別の令嬢と羽を伸ばしても構わんぞ?」
「いえ。万が一にもレティシアに変な病気を感染すわけにはいきませんから」
兄上の最愛の人を抱くのに、自分の身が清くなければ申し訳が立たない。
それにレティシアを抱かせてもらえるのなら、ほかの女など必要ないのだから。
七日と言わず、もしレティシアが私の子を産んだ時は、次に子作りが再開できるまで、何ヶ月でも待つ覚悟もしている。
しかしそれを兄上には言いたくはない。
そんな、兄上がいなくなるかもしれない未来の話など……。
「ハハハ……。お前が女に対して、そんなに真面目だったとは知らなかった」
兄上の少し弱々しい笑い声で己の思考から引き戻された。
多少元気に見えても、やはり余命は少ないのだと思い知らされるような、そんな笑いだった。
兄上が喜ぶことは何でもしたい。
それがレティシアの嫌がるであろうことでも。
「私は兄上のことなら──いや、レティシアのこともかも知れませんが、それだけは誠心誠意を持って、対応させてもらいます」
「ニコラス、お前が私の弟で良かった。嬉しいよ」
「それでは、七日ですか? その間に準備しておきます。そして、兄上の望みを叶えて見せましょう」
「楽しみにしている」
兄上の望み。
それは、私がレティシアを犯す所をその目で見ることだ。
多分、目の前でお見せするのはまだ難しいだろう。
しかし隠し部屋が存在する『初夜の間』であれば、私たちの行為を比較的間近で覗き見ることが可能だ。
その昔。
新妻が処女なのか?
新婚の二人が本当に夫婦生活を営めるのか?
そういったことを神官と当主が──その場合な大抵が花嫁にとっての舅だが、彼らが一部始終観察するために作られた部屋が『初夜の間』である。
隠し部屋ならば、ソファに座って特等席からレティシアが犯される様子を見る事が可能で、花嫁の中に花婿のナニが挿入れられる様子をしっかりと見ることが可能な配置になっている。
きっと見られている視線は感じるだろうし、見ている者の気配も分かるだろう。
それは同時にコチラからの卑猥な音や喘ぎ声も全部聞こえてしまうということで、レティシアがそれに気が付けば今までの比ではないほどの羞恥を感じるはずだ。
以前なら嫌がって泣き出すところだが、徐々に恥ずかしい行為を慣らしてきた、今のレティシアならば、少しくらいの違和感は過剰反応せずに、気持ち良くヨガってくれると思う。
兄上はレティシアを閨房教育通り──正常位でしか抱かなかったようだから、今の彼女を見たらどう思うだろう?
イヤらしい体になったと喜ぶか?
淫乱に調教されたと嘆くか?
そこは少し不安が残るが、最初は作法通りに抱いて、徐々に私の好きに抱くようにすれば兄上だってきっと満足してくれると思う。
本当は兄上の子を孕んだレティシアを嫁にもらいたいと思っていたが、兄上の下半身が思うように動かない今、それはもう叶うことは無いと諦める。
だから兄上には、レティシアの腹に私の子が宿るところを見ていてもらいたい。
私が兄上の妻を心から大切にして愛せることを信じてもらい、レティシアはこの先ずっと何不自由なしに暮らせると安心してもらうのだ。
でも、最近はそれだけでは無い。
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