The Eternity of Realms: Causal Nexus (永遠の領域: 因果の結節)

Ⅶ.a Works

文字の大きさ
1 / 18
序章

1話 断ち切られた運命の糸

しおりを挟む
断ち切られた運命の糸

広大な宇宙の果て、闇と光が交錯する場所に、一つの特異点が存在していた。それは、因果律の力が集まり、無数の運命の糸が絡み合う「因果の結節」と呼ばれる場所であった。無限の時空が渦を巻き、過去、現在、未来が一体となるこの地には、因果律の守護者と呼ばれる存在が静かに佇んでいた。

守護者たちは、長きにわたりこの場所を見守り続け、宇宙のバランスを保つために尽力していた。彼らの中でも特に強大な力を持つ者がいた。その名は、シェル=アルト。彼は因果律の中心に立つ存在であり、全ての運命を見渡すことができた。彼の目には、無数の運命の糸が視える。それは、まるで無限に広がる銀河のようであり、その糸の一本一本が、無数の生命体の選択と行動を象徴していた。

ある日、シェル=アルトは、運命の糸の中に不穏な影を見つけた。それは、他の糸とは異なり、漆黒の闇に包まれていた。その糸は、ゆっくりと他の糸に絡みつき、次々と断ち切っていくように見えた。シェル=アルトは眉をひそめ、糸の先をたどった。彼がたどり着いた先には、次元を超えた深淵が口を開けていた。

「これは……ブラックホールだ。」

彼は、深く沈んだ声でそう呟いた。ブラックホールは、全ての光を飲み込み、無へと帰す力を持つ存在。だが、これほど強力な因果律を乱す存在が現れるのは、異常事態であった。シェル=アルトは、事態の深刻さを理解し、直ちに行動を起こす決意をした。

「運命の鎖を使う時が来たか……。」

彼は自らの手を掲げ、空間を裂くようにして古びた鎖を引き寄せた。その鎖は、時の流れと共に色あせ、無数の戦いの痕跡を刻んでいた。鎖が彼の手元に到着すると、シェル=アルトはそれをしっかりと握り締め、次元の壁を超える力を解放した。

「この運命の歪みを正さねば、全ての次元が崩壊するだろう……。」

その時、因果の結節が激しく揺れ動き、無数の運命の糸が断ち切られ始めた。シェル=アルトは驚愕し、すぐに行動を開始したが、彼の前に漆黒の影が立ちはだかった。それは、ダークノイド族の使者であり、ブラックホールの破壊力を操る力を持つ者だった。

「シェル=アルト、貴様の時代は終わった。これからは、我々ダークノイド族が全てを支配する。」

使者は冷ややかな声でそう言い放つと、ブラックホールの力を解放し、次元を裂こうとした。シェル=アルトは、運命の鎖を振りかざし、攻撃を防ごうとしたが、使者の力は予想以上に強力だった。次元の壁が軋みを上げ、破壊が始まろうとしていた。

「全てを無に帰すわけにはいかない!」

シェル=アルトは、残された力を振り絞り、運命の鎖を次元の軸へと投げ込んだ。その瞬間、鎖が光を放ち、空間が割れるようにして広がりを見せた。だが、使者の攻撃は止まらず、シェル=アルトはその影に飲み込まれそうになった。

「まだだ……まだ終わらせるわけには……!」

彼は、最後の力を振り絞り、運命の鎖を次元の彼方へと送り出した。その鎖は、時空を超え、遥か遠い未来へと繋がっていった。そして、その先には、一人の若者が立っていた。

ライナス――彼がこの物語の主人公となる運命を背負った者だった。彼の手に運命の鎖が握られる時、全ての物語が動き出す。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜

黒城白爵
ファンタジー
 異次元から現れたモンスターが地球に侵攻してくるようになって早数十年。  魔力に目覚めた人類である覚醒者とモンスターの戦いによって、人類の生息圏は年々減少していた。  そんな中、瀕死の重体を負い、今にもモンスターに殺されようとしていた外神クロヤは、これまでの人生を悔いていた。  自らが持つ異能の真価を知るのが遅かったこと、異能を積極的に使おうとしなかったこと……そして、一部の高位覚醒者達の横暴を野放しにしてしまったことを。  後悔を胸に秘めたまま、モンスターの攻撃によってクロヤは死んだ。  そのはずだったが、目を覚ますとクロヤは自分が覚醒者となった日に戻ってきていた。  自らの異能が構築した新たな力〈システム〉と共に……。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

処理中です...