The Eternity of Realms: Causal Nexus （永遠の領域: 因果の結節）

序章

第10話 - 新たなる旅立ち

序章: 第10話 - 新たなる旅立ち

ライナスは新たな力を得たが、それに伴う喪失感は未だ心に重くのしかかっていた。過去の記憶や感情の一部を失ったことで、彼は以前の自分とは異なる存在になった。だが、それでも前へ進むことを決意し、再び立ち上がった。

セレナはライナスの姿をじっと見つめていた。彼女の瞳には、ライナスがこれから直面するであろう試練や困難を見通しているかのような冷静な光が宿っていた。

「ライナス、これからの旅は決して平坦な道ではありません。あなたが得た力は強大ですが、それにふさわしい覚悟が求められます。」

「覚悟…。」

ライナスはその言葉を噛み締めながら、自分の内側にある新たな力を感じ取ろうとした。彼の体内には、かつて感じたことのないエネルギーが渦巻いていたが、それを完全に制御することはまだできなかった。

「あなたがこの力を完全に使いこなせるようになるまでには、まだ時間がかかるでしょう。しかし、それを焦る必要はありません。少しずつ、自分のペースで進めばいいのです。」

セレナの言葉には優しさがあり、ライナスの心を少しだけ軽くした。彼は彼女の助言を胸に刻み、焦らず一歩ずつ進むことを決めた。

「ありがとう、セレナ。僕はこの力をどう使うべきか、じっくりと考えてみます。」

ライナスは周囲を見回し、この場所から旅立つ準備を始めた。石碑の周りには、静かな風が吹いていた。その風は、彼がこれから向かう未知の世界へと誘うように優しく彼の頬を撫でた。

「セレナ、この先の道のりで何が待ち受けているかは分からないけれど、僕は自分を信じて進むつもりです。そして、失ったものを取り戻すのではなく、得たものを最大限に生かして生きる。」

ライナスの決意が固まったその時、セレナは静かに彼に近づき、手を差し伸べた。彼はその手を取り、セレナと共に歩み始めた。二人はこの場所を後にし、新たなる冒険の旅へと足を踏み出した。

「これから先、あなたが出会うであろう仲間や敵、そして数多くの試練。そのすべてが、あなたを成長させる糧となるでしょう。」

セレナの言葉に応えるように、ライナスは力強く頷いた。彼の心の中には、未来への期待と決意が満ち溢れていた。

「僕は、この力を使って自分の使命を果たす。そして、この世界に自分の存在を刻み込むんだ。」

そう誓ったライナスは、石碑を背に新たな道を歩き出した。彼の前には広がる大地と、遠くに見える山々が広がっていた。これから始まる冒険が、彼にどのような試練をもたらすのかは分からない。だが、ライナスはそのすべてを受け入れる覚悟を持っていた。

風が再び吹き抜け、彼の髪を揺らす。その風の中に、彼のこれからの旅の予兆が感じられた。ライナスは深呼吸をして、さらに一歩を踏み出した。

「さあ、行こう。新たな世界が僕を待っている。」

彼の目には、決して曇ることのない強い意志が宿っていた。そして、その意志は、これからの長い旅路において、彼を導く光となるであろう。