The Eternity of Realms: Causal Nexus （永遠の領域: 因果の結節）

序章

第15話 - 洞窟の罠と魔法具

序章: 第15話 - 洞窟の罠と魔法具

翌朝、ライナスとリナは快晴の空の下、近くの洞窟へと向かっていた。リナの背負う巨大な荷物には、冒険用の道具や食料、そして彼女の「お宝リスト」なるノートが入っていた。彼女はそのノートを時折取り出しては、鼻歌交じりに中身を確認している。

「この洞窟にはね、『星霊のリング』っていう魔法具が隠されてるらしいんだ。手に入れたら、一晩で星空を呼び出せるって噂だよ！」

「星空を呼び出す…？そんなものが本当に存在するのか？」

ライナスはリナの興奮に半信半疑だったが、彼女の明るさに引き込まれるように歩を進めた。しばらくすると、鬱蒼とした森の中にぽっかりと開いた洞窟の入り口が現れた。その周囲には不気味な静けさが漂っている。

「ここがその洞窟か…。」

「そうそう！この辺りに住む人たちは『霧の迷宮』って呼んでるみたい。ちょっと怖そうだけど、大丈夫！」

リナはそう言うと、ためらうことなく洞窟の中に足を踏み入れた。ライナスも彼女を追うように進む。洞窟の中は湿気が多く、壁には光を反射する結晶が無数に生えていた。その結晶が淡い青白い光を放ち、道を照らしてくれる。

「綺麗だな…。」

ライナスが呟くと、リナは笑いながら振り返った。

「そうでしょ？こういう場所にはお宝が隠れてることが多いんだから！」

しかし、その先の道が広がるにつれて、光の届かない闇が二人を包み始めた。リナは懐から小さなランタンを取り出し、灯をともす。

「これでバッチリ。さて、お宝はどこかな～？」

二人がさらに奥へ進むと、突然、リナが足を止めた。

「待って、ライナス。床に何か…模様がある。」

彼女が指差した先には、幾何学的な模様が刻まれた石板が広がっていた。それはまるで魔法陣のような形状をしている。

「罠の可能性があるな…。慎重に進もう。」

ライナスが言った矢先、リナが足元の石を踏み込んだ瞬間、洞窟全体が低く唸りを上げた。次の瞬間、石板が光を放ち、壁から無数の矢が飛び出してきた！

「伏せろ！」

ライナスはリナを抱き寄せ、床に伏せた。矢が頭上をすり抜け、洞窟の奥に突き刺さる音が響く。二人が息を整える間もなく、さらに石板が動き出し、今度は足元の床が崩れ始めた。

「走れ！」

二人は必死に走り出した。床が崩れ、背後から迫りくる穴を振り返る余裕もない。リナが背負っていた荷物を途中で投げ捨てると、何とか安定した地面に飛び込むことができた。

「はぁ、はぁ…危なかった。」

ライナスが肩で息をしながら言うと、リナは苦笑いしながら頷いた。

「ちょっと焦ったけど、無事でよかったよ！でも、あの先に絶対にお宝があるはず！」

彼女の言葉に呆れながらも、ライナスは再び歩き出した。進んだ先には、今まで以上に幻想的な空間が広がっていた。中央には台座があり、そこには美しく輝くリングが置かれている。

「これが…『星霊のリング』か。」

リナが目を輝かせながら近づこうとしたその時、台座の周囲に黒い霧が立ち込め始めた。そして霧の中から、何か巨大な影が現れた。

「守護者…か？」

影の正体は四本足の獣のような形をしており、赤い目が二人を睨みつけている。リナは剣を抜き、戦闘態勢を取った。

「どうやらこれを持ち帰るのは簡単じゃなさそうだね！」

「覚悟を決めるしかないな。」

ライナスも力を込めて構えると、自分の中に宿る因果律の力が微かに反応しているのを感じた。この洞窟での戦いが、彼に新たな力の片鱗を見せるきっかけになるかもしれない。

二人と守護者との緊張が高まる中、戦いの幕が切って落とされようとしていた。