The Eternity of Realms: Causal Nexus （永遠の領域: 因果の結節）

序章

第16話 - 守護者との激戦

序章: 第16話 - 守護者との激戦

黒い霧の中から現れた守護者は、ライナスとリナを圧倒する威圧感を漂わせていた。その姿はまるで影と炎が混じり合ったような異形の獣で、体中を覆う黒い鱗がわずかに赤く輝いている。

「こいつ…ただの獣じゃない！魔法生物だ！」

リナが剣を握りしめながら警戒を強める。守護者は低い唸り声を上げると、霧の中から巨大な爪を振り下ろしてきた。

「来るぞ！」

ライナスが声を上げると同時に、二人は散開して攻撃をかわした。爪が地面をえぐり、洞窟全体に振動が走る。

「ライナス、時間稼ぎは任せて！その間に何とかしてあのリングを手に入れて！」

リナはそう叫ぶと、守護者に向かって突進した。鋭い剣さばきで攻撃を繰り出しながら、守護者の注意を引きつける。彼女の動きは大胆で力強く、ライナスを驚かせた。

「分かった、頼む！」

ライナスはリナの援護を背に、リングが置かれている台座へと向かう。しかし、台座を覆う黒い霧が壁のように立ちはだかり、進むのを阻んだ。

「この霧…ただの幻影じゃない。守護者と繋がっているのか？」

彼は立ち止まり、冷静に状況を観察した。すると、自分の中に眠る因果律の力が微かに反応しているのを感じた。

「もしこの力が本当に使えるのなら…！」

ライナスは目を閉じ、意識を集中させた。守護者との戦いを通じて、自分に宿る力の正体を少しずつ感じ取ることができていた。それは、目に見えない因果の糸を操る力――選ばれし者だけが持つ特殊な能力だった。

一方、リナは果敢に守護者と戦い続けていた。鋭い爪や尾の攻撃をかわしながら、何度も剣を振り下ろしている。しかし、守護者の皮膚は硬く、攻撃はほとんど効いていないようだった。

「くそっ、しぶといな…！」

その時、守護者が大きく咆哮すると、洞窟全体が揺れ、地面から黒い霧の触手のようなものが湧き上がってきた。触手はリナに向かって伸び、彼女の動きを封じようとする。

「ちょっと！こんなの聞いてないよ！」

リナが叫びながら触手を剣で切り払っている間、ライナスの目がゆっくりと開いた。彼の周囲に見えない光の糸が浮かび上がり、それが守護者と台座の霧に繋がっているのを感じ取った。

「やはりこの霧は守護者と繋がっている…。なら、守護者を倒せば霧も消えるはずだ。」

ライナスは手をかざし、因果律の力を解き放った。その瞬間、彼の体を光が包み込み、黒い霧の触手が一瞬だけ怯んだように見えた。

「リナ！こいつを仕留めるぞ！」

ライナスの叫び声に、リナは力強く頷いた。

「任せなさい！」

リナは守護者の正面に立ち、意識を集中させた。彼女の剣が青白い輝きを帯び始める。

「これが私の全力だ！いくよ、ライナス！」

その瞬間、ライナスも因果律の力を操り、守護者の動きを封じるように周囲の糸を引き締めた。守護者は動きを鈍らせ、リナの剣がその胸部に深く突き刺さった。

「やった…か？」

守護者は低く唸り声を上げながら、体全体が霧と共に崩れ始めた。そして霧が完全に消え去ると、洞窟内は静寂に包まれた。

「ふぅ…危なかった。」

リナが安堵の息をつきながら、台座の上のリングを手に取った。リングは柔らかな光を放ち、どこか神秘的な魅力を持っている。

「これが『星霊のリング』…。ただの宝石じゃないみたいだね。」

ライナスはリングをじっと見つめながら、自分の因果律の力がまだ完全ではないことを実感していた。この力をもっと使いこなせるようになれば、彼らが直面するさらに大きな試練にも立ち向かえるかもしれない――そう心に刻みながら。

「さあ、この洞窟から出よう。外で星空を呼び出す実験でもしてみようか！」

リナが陽気に笑いながら先を進むと、ライナスもその後を追った。だが彼の胸中には、守護者との戦いで感じた何かが引っかかっていた。あの黒い霧――ただの洞窟の罠ではなく、もっと深い意味を持つものではないかと。

洞窟を出た二人を、さらなる冒険と謎が待ち受けている。だが今は、星霊のリングがもたらす夜の美しさを堪能する時だ。