【完結】女好きプロゲーマーが恋愛ごっこを卒業するまで

ソラ太郎

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 部屋に入った瞬間から、シロサイは俺のパソコン周辺機器に並々ならぬ興味を見せた。

「これ自作?」
「んにゃ既製品」
「既製品で間に合うの?」
「グラボとメモリ増設だけはしたけど」
「あーそうだよね」

 聞かれたことに丁寧に答えてしまう俺。

「多画面とは思ってたけど、3つもあるの?」
「ひとつは配信画面の確認用」
「コントローラは? キーボードなの?」
「どっちも使えるようにここに」
「すごい、収納上手だね。参考になる」

 だってこだわってる場所をこんなに褒めてくれる人、今まで皆無だったんだ。
 自慢できる時にさせてくれよ。

「うわ懐かしいこのタイトル」
「未だにそれだけは売れない」
「私もこのゲーム好きなんだよね」
「へえやったことあるんだ」
「高山くんが教えてくれたんだけど」
「……ほう?」

 このゲームを勧めたことがあると聞いて、また新たな記憶の扉が開く。なんとなく思い出せてきた。

 寝込んでる時に訪ねて来た誰かが俺のお気に入りのゲームに興味を持ったように見えたから、その時にこれは名作だと豪語して体調悪いながらに熱弁した記憶が。

 それが目の前にいるシロサイだったということか。

「プロってこんなにゲーム環境しっかり整ってるのが普通なの?」
「さあ? 他の人の家とか行かないし」
「事務所にたくさんプロたちが所属してるのに?」
「知り合いは多いけど友だち居ないし」
「……ぁ」

 うん、黙るなよ。
 気を遣う場面じゃないぞ。

「彼女は?」
「居ない。今は作らない」
「ムジンフリーリィの配信とか動画で、よく女の子口説いてるって書き込みあるけど」
「ネタでしょ」
「本当はモテないの?」

 失礼なやつだな。
 しかしゲーム環境だけでなく、俺自身のことも聞きたがっているようだ。
 弱点を探そうとしても無駄だぜ。
 俺の弱点はお色気ムンムン女子だけだ。

「高山くんはゲームが好きな女の子が、好きなんだよね?」
「いや? 俺は俺に好意を持ってくれる子が好き」
「えっ? 彼女にするならゲームを理解する奴がいいってここに来た時、言ってたよ?」
「そうだったっけ?」

 高校生時代の俺が言いそうではある。
 もしそれを覚えててシロサイがゲームを理解する側に回ろうとしたなら、それはまさしく俺のためのロードである。

 逆にシロサイの弱点を握った気分で聞いてみた。

「俺に興味でも持ったぁ?」
「うん持ってるよ」
「ふぇ」
「高校時代からずっと高山くんに興味あったし、むしろずっと好きで居たんだけど。覚えてなくてちょっと悲しかったくらい」

 急にアンチ小娘が可愛いこと言い出したんだが。
 覚えてないよそんな何年も前のこと……!

「大会で初めて見かけた時から、すごく睨まれた気がするんですが?」
「睨んでないよっ? 本物前にして緊張しただけ」
「アンチコメントたくさん頂いたんですが?」
「アンチのつもりはなかったよ!」
「キモーいとか」
「あっあれは、高山くんにおっぱ!……おっぱいとか連呼させるから。コメント欄の人に向けて」

 俺に向けてると取れるコメントもタイミングも充分にあった気がするが、本人が違うと言うのならそこを追求しても仕方ない。

「えー普通に俺のファンてこと??」
「ファンっていうか、普通に、好き」
「そうだったのかー。シロサイは俺のアンチ野郎で俺のこと嫌ってんだとばかり」

 そうと分かればちゃんと、シロサイが可愛く見えてきた。どんだけ容姿が良くても、俺に好意を向けない女は可愛いと思えない。
 そんなの当たり前だろ?

「言っとくけど男としての好きだからね?」
「あそうなの?」
「そうなのって……これ、愛の告白だよ?」
「うん」
「え? 好きなんだけど」
「うん?」

 シロサイが何か求めているようだ。
 分かるけどさ。

「とりあえずゲーム環境は見せたし。質問にも答えた。もう満足した?」
「何よそれぇ」

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