【完結】女好きプロゲーマーが恋愛ごっこを卒業するまで

ソラ太郎

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Lv.7-3

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 先に口を開いたのはシロサイだった。

「ムジンフリーリィ」
「……そうですが」
「こないだから何で何も言わないのよ」

 普段からこういう喋り方なのかな。
 友だち居なさそう。

「何か怒ってる?」
「怒ってないわよ」

 トーンが完全に怒ってるじゃん。
 意味の分からん絡まれ方してるので誰か助けてください。おまわりさぁん。

「私、同級生だった白井しらい采花さいかなんだけど」
「へ……ぇ?」
「白井采花! 覚えてないの??」
「覚えて……なぃです」

 ちょっとショックそうな顔をしたが、覚えてないものは覚えてない。

 するとシロサイは徐にメガネを取り出し、かけて見せた。

「この顔、覚えてない?」

 やばい、覚えてない。
 やばい、覚えてなさすぎる。
 やばい、思い出せそうにもない。

「ぁ……ぁぁ、白井さんだよね」
「覚えてないなら覚えてないって言いなよ」
「覚えてない」
「ぅ……ぐ」

 言っていいと言われたのに、何かショックを与えてしまったようで軽く睨まれた。

「すんません。それじゃ」
「同級生だよ? クラスメイトだよ?」
「覚えてなくてすんません」
「私学級委員長だったんだけど」
「分かんないんすよね……そういうの」

 歩き出した俺にシロサイがついてくる。
 RPGのフィールド上を歩く勇者にぴったりついて歩く仲間のようだ。

 いやいや、仲間じゃねーし。
 アンチ小娘だし。

「私ずっと勝ちたくて練習してきたのよ」
「またまだっすね」
「格闘ゲームは負けないと思ってたのに」
「詰めが甘いっす」
「ハメ技は決まったわ」
「1回だけね。でも2度と受けない自信がある」
「最初は本気じゃなかったなんてウソよね?」
「ナメてたことは認めるけど」

 何故か会話が成立してしまう。
 ついてくるのを辞めないのは、駅についても電車に乗っても最寄駅についても家についても同じだった。

「あの……ここ俺んちなんすけど」
「知ってるわ」
「じゃあもう帰ってください」

 鍵を開けて扉を開くと、たまたま麻央が居た。

「おかえり、たっちゃん。あらお友達?」
「お邪魔します」
「お邪魔すんなよ」
「あらっ? 采花ちゃんじゃない? 久しぶり!」
「麻央さんお久しぶりです!」
「はん?」

 シロサイと麻央が知り合いなのが意外すぎて、二人の顔を見比べてしまった。

「うちに来るのなんて、何年ぶり?」
「多分4~5年経ってると思います」
「そうよね」
「え、シロサイうちに来たことあるの?」

 よくよく聞けば、高校時代にシロサイがうちに遊びに来たことがあるらしい。遊びにというより、用事を片付けにだ。
 麻央が言うなら間違いないだろうけど……。

「メガネじゃないから分からなかったけど、随分大人っぽくなって。気づかなかったわ」
「そうですよね。ちょっと痩せましたし」

 メガネでもっと太らせたシロサイを思い描く。
 ………………ん、少し思い出せそう。

「委員長?」
「そうだってば」
「えっ委員長?」
「やっと思い出した?」

 あれは俺がプロゲーマーのチームに入るかどうかの瀬戸際の頃。
 風邪を引いて体調も悪く、ゲームの練習もやらねばならんと意気込んで居て、学校に行けなかった時期があった。

 そこで見舞いを兼ねて学級委員長が訪ねてきたことがあったような、なかったような。

「寝込んでるたっちゃんの部屋まで、ちゃんとお見舞いに来てくれたのよね」
「麻央さんの方が覚えててくれたなんて。あの時は美味しいケーキごちそうさまでした」

 両親が再婚したてでまだ、麻央ともそんなに仲良くなかったなあ。そしてその頃から麻央を女として見てたなあ……。

「あの頃よりもっと、たっちゃんの部屋に電化製品が増えちゃったのよ。テレビがいっぱい!」
「テレビ? あ、モニターですね。そうだろうなとは思ってました。今やプロゲーマーですもんね」
「采花ちゃんも知ってるのね! ゲームもするの?」
「僭越ながら。プロじゃないですけど」
「じゃあ興味あるんじゃない? ほんとにすごいの」


 押し切られる形で部屋にまで上がり込ませてしまったが、油断してはいけない。
 こいつはアンチ小娘なのだ。
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