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場は硬直した。
時が止まったかのように、睨み合う俺と和葉。
シロサイは握った手を離そうとしない。
俺が殴りかかることを案じているのだろう。
誰も喋ろうとしないその部屋に、新しい声が時を動かした。
「ごめん、ね」
ドアの方を見ると麻央が居て、眉を八の字にして申し訳なさそうな顔で立っていた。
「和葉ちゃんがたっちゃんのこと気に入ってるのは知ってたけど……恋心だと思ってなくて」
3人の視線が麻央に集中した。
「でも、本当にしてないの。ただ、気持ちよくなる方法を教えてもらってただけなの。
圭人とのえっちが痛くて、また次も痛かったらって考えると怖くて。
たっちゃん、女の人に慣れてるみたいだったし、私の頼みは断らないでくれるし、もしかしたらお願いしてもいいのかなって。
でも本当に途中までだけで、最後までは一度もしてないのよ。たっちゃんが、それはダメって。
男の子として、力になってもらえるのたっちゃんだけだし、いいように都合よく手伝ってもらっちゃったの良くなかったよね。ごめんね。
利用したの。弟だからって無理言って、私の都合に合わせてもらったの。ごめんね」
全部、麻央の口から説明されたみたいになった。
利用されたつもりはなかったが、麻央の中ではそういう見方になってたのか。
「……ちゃだよ」
「え? 和葉ちゃん、ごめんね、聞こえなかった」
「めちゃくちゃだよ、2人とも」
当事者の供述がこれなら、もうあのことについては和葉も何も言えないはずだ。
今度こそ、和葉との縁は切れたかもな。
肩を落として帰って行った和葉を麻央は玄関まで見送ったが、何も言わなかったらしい。
空気が読めない天然なのか、心臓に毛の生えた強靭な神経の持ち主なのか。
麻央はシロサイに晩御飯を振る舞い、一生懸命に誤解を解こうと話し、さらに俺のことを推し続け1人で喋り続けた。
「本当に最後まではしてないの」
「えっちなことって考えると良くないわね。兄弟の助け合いよ。あー助かったわ!」
「今はもうそんなことしてないし、過去の話よ」
「私は圭人っていう彼氏に夢中だし、圭人のための実習だっただけなんだから」
「采花ちゃんとお似合いだと思うな」
「たっちゃんは不器用さんなの」
「好きだとか言えないけどお気に入りはすぐにわかるのよ。例えば采花ちゃんとか」
シロサイはどんな反応をすべきか戸惑いながら、うんうんと頷いていた。
「采花ちゃん、せっかくなら泊まっていけば?」
「い、いえ、そこまでは」
「えー。たっちゃんだってお泊まりして欲しいでしょ?」
「強制しないであげて」
何故か麻央がものすごくシロサイを引き留めようとするので、麻央も和葉みたいに何か勘違いしているのかと思った。
けれどそうじゃなかった。
「私、本当にたっちゃんとは兄弟だと思ってるから。ヤキモチなんて妬かないから。たっちゃんが采花ちゃんとえっちするのも見てられるよ?」
「え゛っ」
「平気よ、本当。横から盛り上げようか?」
シロサイの顔だけ見たら体温は40度を超えてる。俯いていても真っ赤であることが窺えた。
恥辱プレイかよ。
「麻央、そういうのいいから」
「えー。信じてくれてるのかな」
「信じてます、というか信じます」
言わされた感はあるが、麻央とのことは変な勘繰りは必要ないことは伝わったらしい。
戸籍上の姉と軽くそういう行為をしていたこと自体、実際どう思ってるのか分からないがわざわざ聞かないし、言わなくていい。
これでシロサイが去りたがっても、俺は引き止めもしないだろうから。
時が止まったかのように、睨み合う俺と和葉。
シロサイは握った手を離そうとしない。
俺が殴りかかることを案じているのだろう。
誰も喋ろうとしないその部屋に、新しい声が時を動かした。
「ごめん、ね」
ドアの方を見ると麻央が居て、眉を八の字にして申し訳なさそうな顔で立っていた。
「和葉ちゃんがたっちゃんのこと気に入ってるのは知ってたけど……恋心だと思ってなくて」
3人の視線が麻央に集中した。
「でも、本当にしてないの。ただ、気持ちよくなる方法を教えてもらってただけなの。
圭人とのえっちが痛くて、また次も痛かったらって考えると怖くて。
たっちゃん、女の人に慣れてるみたいだったし、私の頼みは断らないでくれるし、もしかしたらお願いしてもいいのかなって。
でも本当に途中までだけで、最後までは一度もしてないのよ。たっちゃんが、それはダメって。
男の子として、力になってもらえるのたっちゃんだけだし、いいように都合よく手伝ってもらっちゃったの良くなかったよね。ごめんね。
利用したの。弟だからって無理言って、私の都合に合わせてもらったの。ごめんね」
全部、麻央の口から説明されたみたいになった。
利用されたつもりはなかったが、麻央の中ではそういう見方になってたのか。
「……ちゃだよ」
「え? 和葉ちゃん、ごめんね、聞こえなかった」
「めちゃくちゃだよ、2人とも」
当事者の供述がこれなら、もうあのことについては和葉も何も言えないはずだ。
今度こそ、和葉との縁は切れたかもな。
肩を落として帰って行った和葉を麻央は玄関まで見送ったが、何も言わなかったらしい。
空気が読めない天然なのか、心臓に毛の生えた強靭な神経の持ち主なのか。
麻央はシロサイに晩御飯を振る舞い、一生懸命に誤解を解こうと話し、さらに俺のことを推し続け1人で喋り続けた。
「本当に最後まではしてないの」
「えっちなことって考えると良くないわね。兄弟の助け合いよ。あー助かったわ!」
「今はもうそんなことしてないし、過去の話よ」
「私は圭人っていう彼氏に夢中だし、圭人のための実習だっただけなんだから」
「采花ちゃんとお似合いだと思うな」
「たっちゃんは不器用さんなの」
「好きだとか言えないけどお気に入りはすぐにわかるのよ。例えば采花ちゃんとか」
シロサイはどんな反応をすべきか戸惑いながら、うんうんと頷いていた。
「采花ちゃん、せっかくなら泊まっていけば?」
「い、いえ、そこまでは」
「えー。たっちゃんだってお泊まりして欲しいでしょ?」
「強制しないであげて」
何故か麻央がものすごくシロサイを引き留めようとするので、麻央も和葉みたいに何か勘違いしているのかと思った。
けれどそうじゃなかった。
「私、本当にたっちゃんとは兄弟だと思ってるから。ヤキモチなんて妬かないから。たっちゃんが采花ちゃんとえっちするのも見てられるよ?」
「え゛っ」
「平気よ、本当。横から盛り上げようか?」
シロサイの顔だけ見たら体温は40度を超えてる。俯いていても真っ赤であることが窺えた。
恥辱プレイかよ。
「麻央、そういうのいいから」
「えー。信じてくれてるのかな」
「信じてます、というか信じます」
言わされた感はあるが、麻央とのことは変な勘繰りは必要ないことは伝わったらしい。
戸籍上の姉と軽くそういう行為をしていたこと自体、実際どう思ってるのか分からないがわざわざ聞かないし、言わなくていい。
これでシロサイが去りたがっても、俺は引き止めもしないだろうから。
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