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しかし誕生日は待ってはくれない。
俺が悩み迷い続けているうちに日々は過ぎ、ついに当日を迎えることになった。
予約したケーキを取りに外出しなければいけないが、これもこっそり準備したサプライズである。
本人にバレたくないなと思っていた矢先、采花が和葉と軽く出かけるという話になった。
もちろんこれは、お節介おかん・和葉の策略的協力プレイである。
「いーい? ランチしたら解散するから、それまでに全部準備しておくのよ!」
采花を見送ると俺は急いでケーキ屋に向かった。
「ロウソクはいかがしますか?」
「これだとやっぱり熱いですか?」
「え? 火をつければ熱い……ですかね」
「すみませんください」
ロウソクと聞いて変なプレイを想像してる場合じゃなかった。お祝い用のロウソクは女王様用の安全プレイ仕様ではないのだ。
ケーキを家の冷蔵庫にしまうと、また外出する。
プレゼントの準備である。
当日まで迷いに迷って色々考えた挙句、今日、結局それを買う。
喜んでくれるだろうかと不安ながらも、采花が戻ってくるまでに整えた。
ミッション・コンプリートである。
采花が家に帰ってくる前からそわそわし始め、帰ってきてからはどうやって始めればいいのかと落ち着かなかった。
まるで実装されたばかりの新ステージのようで、自宅でありながらどう攻略すれば良いか頭を抱えた。
なのでまずは、ご飯を作らせない作戦に出た。
冷蔵庫にあるケーキに気づかせないことが目的である。
「今日の夜、ピッツァなんてどうかな」
「珍しいね。ピザ食べたいの? いいよ」
お誘いすると、采花は賛成してくれた。
これで冷蔵庫を守れたと思ったが甘かった。
「そういえば冷蔵庫に、ケーキの箱みたいなのがあるんだけど、あれ何?」
バレている。
「見た?」
「うん、冷蔵庫開けたら目の前にあったし」
「そうだよね……」
ステルス技術には自信があったのだが、ケーキ箱を擬態させる技術は持っていなかった。
箱からケーキを出すとチョコプレートに書かれている文字を采花が読み上げた。
「さいかちゃん、お誕生日おめでとう……」
「うぬ。サプライズにしたかったんだけど、ヘイト管理ミスった……」
反省である。采花の視界をコントロールし切れなかったのは確実に俺のミスだ。
思いがけないトラップを仕掛けては敵の不意をついてきた俺が、サプライズ一つできないなんてプロゲーマーとして失格である。
「サプライズは失敗したけど、味は美味しいから。
ケーキ屋さんのケーキだから」
「達也くん、私、嬉しいかも」
「それならいいけどー? サプライズできなくてー」
「これは想像してなかったよー……ふぇぇん」
「え? なんで急に泣くの?」
逆サプライズが来た。
采花が助走もなくいきなり号泣し始めたのだ。
「こんなのぉぉふぇえぇん」
「えーーなんでなんで」
「すごぃ嬉しいぃぃうぁぁあん」
「嬉しくて泣いちゃったのね!?」
「うれ~しぃぃうぁあんえぇぇん」
「あーあらあらあら采花ちゃんあらあらあらあら」
ティッシュを掴んで采花の目から流れ落ちる大量の涙を受け止めるが、1枚では全く足りなかった。
「あぁ鼻水まで垂れてきちゃったねあらあらあらーどうしたの急にぃー」
「うぇぇぇ……こんなのされたの初めてでぇえん」
「鼻水かんでーはい、チーン」
「ちーーーーん」
チーンを何度か繰り返し、かろうじて落ち着いてきた。
びっくりした。びっくりしすぎて笑えてきた。
「あっはっはっはっ。すごい顔」
「ぅぁぁ。油断したよ~」
「じゃーこういうのも初めてかぁ~い?」
俺は用意してあったプレゼントを、どこからともなくテーブルの上に出した。
俺が悩み迷い続けているうちに日々は過ぎ、ついに当日を迎えることになった。
予約したケーキを取りに外出しなければいけないが、これもこっそり準備したサプライズである。
本人にバレたくないなと思っていた矢先、采花が和葉と軽く出かけるという話になった。
もちろんこれは、お節介おかん・和葉の策略的協力プレイである。
「いーい? ランチしたら解散するから、それまでに全部準備しておくのよ!」
采花を見送ると俺は急いでケーキ屋に向かった。
「ロウソクはいかがしますか?」
「これだとやっぱり熱いですか?」
「え? 火をつければ熱い……ですかね」
「すみませんください」
ロウソクと聞いて変なプレイを想像してる場合じゃなかった。お祝い用のロウソクは女王様用の安全プレイ仕様ではないのだ。
ケーキを家の冷蔵庫にしまうと、また外出する。
プレゼントの準備である。
当日まで迷いに迷って色々考えた挙句、今日、結局それを買う。
喜んでくれるだろうかと不安ながらも、采花が戻ってくるまでに整えた。
ミッション・コンプリートである。
采花が家に帰ってくる前からそわそわし始め、帰ってきてからはどうやって始めればいいのかと落ち着かなかった。
まるで実装されたばかりの新ステージのようで、自宅でありながらどう攻略すれば良いか頭を抱えた。
なのでまずは、ご飯を作らせない作戦に出た。
冷蔵庫にあるケーキに気づかせないことが目的である。
「今日の夜、ピッツァなんてどうかな」
「珍しいね。ピザ食べたいの? いいよ」
お誘いすると、采花は賛成してくれた。
これで冷蔵庫を守れたと思ったが甘かった。
「そういえば冷蔵庫に、ケーキの箱みたいなのがあるんだけど、あれ何?」
バレている。
「見た?」
「うん、冷蔵庫開けたら目の前にあったし」
「そうだよね……」
ステルス技術には自信があったのだが、ケーキ箱を擬態させる技術は持っていなかった。
箱からケーキを出すとチョコプレートに書かれている文字を采花が読み上げた。
「さいかちゃん、お誕生日おめでとう……」
「うぬ。サプライズにしたかったんだけど、ヘイト管理ミスった……」
反省である。采花の視界をコントロールし切れなかったのは確実に俺のミスだ。
思いがけないトラップを仕掛けては敵の不意をついてきた俺が、サプライズ一つできないなんてプロゲーマーとして失格である。
「サプライズは失敗したけど、味は美味しいから。
ケーキ屋さんのケーキだから」
「達也くん、私、嬉しいかも」
「それならいいけどー? サプライズできなくてー」
「これは想像してなかったよー……ふぇぇん」
「え? なんで急に泣くの?」
逆サプライズが来た。
采花が助走もなくいきなり号泣し始めたのだ。
「こんなのぉぉふぇえぇん」
「えーーなんでなんで」
「すごぃ嬉しいぃぃうぁぁあん」
「嬉しくて泣いちゃったのね!?」
「うれ~しぃぃうぁあんえぇぇん」
「あーあらあらあら采花ちゃんあらあらあらあら」
ティッシュを掴んで采花の目から流れ落ちる大量の涙を受け止めるが、1枚では全く足りなかった。
「あぁ鼻水まで垂れてきちゃったねあらあらあらーどうしたの急にぃー」
「うぇぇぇ……こんなのされたの初めてでぇえん」
「鼻水かんでーはい、チーン」
「ちーーーーん」
チーンを何度か繰り返し、かろうじて落ち着いてきた。
びっくりした。びっくりしすぎて笑えてきた。
「あっはっはっはっ。すごい顔」
「ぅぁぁ。油断したよ~」
「じゃーこういうのも初めてかぁ~い?」
俺は用意してあったプレゼントを、どこからともなくテーブルの上に出した。
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