4 / 86
2_この国は、鬼が支配しています_前半
しおりを挟む
放心状態で、私はふらふらと街を彷徨う。
北鬼国の主都、京月は、今日も賑わっていた。
広い道の両側には、漆喰の壁に虫籠窓、紅殻格子の料亭や和菓子屋、呉服問屋などがずらりと並び、どの店も立派な看板を店先に掲げていた。
そんな垢抜けた街並みを、楽しそうに人々が闊歩していく。人々の声が寄り集まってざわめきとなり、街全体をくるんでいた。
季節は春になり、花々が咲き誇っている。道の先で桜の木々が、雪のように花弁を散らしていた。
でも、今の私には、町の賑わいが遠くの出来事のように、ぼんやりと聞こえている。まるで、自分だけが別の世界にいるような心地だ。
「ここが北鬼国の首都、京月なの? すごく賑わってるね!」
ぼんやりと桜を見上げていると、耳に女の子の高い声が飛び込んできた。
振り返ると、旅姿の母娘が立っていた。
「北鬼は栄えてるって聞いてたけど、本当だったのね。こんなに賑やかな都ははじめてだわ」
どうやらその母娘は、観光客のようだ。
「お母さん。なんでこの国は、北鬼なんていう変な名前なの?」
「それはね、この国が鬼に支配された国だからよ」
少女は、目をぱちくりさせた。
「鬼? 鬼って、何? 角が生えた、怖い怪物のこと?」
「鬼っていう言葉にはね、いろんな意味があるのよ。地獄の獄卒を鬼と呼ぶこともあるけれど、人間の姿をしているのに、人ならぬ力を持っている存在を、鬼と呼ぶこともあるの」
――――ここ、北鬼国は、その名の通り、鬼に支配された国だ。
支配といっても、人間が虐げられているわけじゃなく、人間と鬼がうまく共存している。
「鬼は、とても綺麗な顔をしているそうよ。一度見てみたいわね」
「角は生えてないの?」
「ないわよ」
「じゃ、手足の数が多いとか?」
「人間と同じよ。外見は、人間と見分けがつかないの」
「だったら、人間でしょ? どうして、鬼って呼ばれてるの?」
「人間は、何百年も生きないでしょう? 鬼は長く生きるし、身体がとっても頑丈なの。二百年、三百年、生きている鬼も珍しくないわ。それに、人間の血を吸うという邪悪な一面もあるわね」
「・・・・それ、本当?」
「本当よ。血は、鬼達の食料なの」
血を吸う、という部分に、恐怖を感じたのかもしれない。少女は、唇を噛みしめている。
「この島には、鬼が支配する国が二つあって、この国が北側にあるから、北鬼国と呼ばれているの。そして南側が、南鬼国と呼ばれるようになった」
「二つもあるの?」
「そう。数百年前に、二つに分かれたそうよ。分裂する前は、鬼国と呼ばれていたそうなの。鬼廻礎曳という人が北側の領土を奪い取り、この地に北鬼国を建国すると宣言したせいで、事実上、分裂状態になっちゃったのよ」
「きか・・・・そ? なんだか名前、変じゃない?」
「鬼と人間を区別するためよ。鬼だと名前でわかるように、名字には゛鬼゛という字や、長く生きるという意味で゛永゛とか゛久゛という字を必ず使い、名前にも、この国ではあまり使われない、難しい漢字を使うようにしているそうなの。鬼が名字に、鬼や永、久の字を使うようになってからは、人間のほうがその字を使うことを避けるようになったそうよ」
「へえ! でも、勝手に国を造っちゃったら、本物のお殿様は怒ったんじゃないの?」
「もちろん、怒ったわ。南鬼国の御主様は――――御主というのは、この国のお殿様のことね。南鬼国の御主様は、自分こそが正当な後継者で、北鬼国のお殿様が、御主と名乗るのを認めないと仰っていらっしゃるわ。だから自分の国は南鬼国ではなく、鬼国だと主張しているの」
南鬼という国号を認めてしまったら、国の分裂まで認めてしまうことになる。だから当時の南鬼の御主は、分裂ではなく、不当な占拠であると言い張り、自分達の国こそ、正当な鬼国であると言い張っていた。
「・・・・ややこしいなあ」
「そうね。ややこしい話だわ。一つだった頃の鬼国は、今の鬼国と区別する形で、統一鬼国と呼ばれているわ。北鬼国と南鬼国は、もう何十年も争ってきたのよ。今は停戦条約が結ばれたけどね」
「どうして二つに分かれることになったの?」
「うーん・・・・そのあたりは複雑なのよ」
母親は面倒だったのか、適当な言葉で、説明を省いてしまった。
「とにかく、この国を支配しているのは、鬼なの」
「鬼は年をとらないんだよね? だったら、ずっと陛下が変わらないの?」
「そこがややこしいところなんだけど・・・・この国の陛下は変わってないんだけど、政(まつりごと)に関わっている人達は変わっていってるのよ」
女の子は、眉根を寄せた。
「どういうことなの?」
「統一鬼国が建国される以前、この場所には、和国という人間の国があったそうよ。だけど疫病と干ばつが立て続けに起こって、国は滅亡の危機に瀕していたの。――――そんな中、閻魔と呼ばれる、最初の鬼が現われた。するとたちどころに、病が消えて、雨が降ったそうなの」
「病気を治して、雨を降らせたってこと?」
「そういうことになるわね。とにかく、閻魔様が国を立て直したの。それで国民は、閻魔様こそ、この地を治める陛下になるべきだと考え、当時の陛下が、閻魔様に地位を譲ったのよ」
「最初の鬼って、どういうこと? 閻魔様よりも前の鬼は?」
「閻魔様は、歴史に最初に登場する鬼よ。それ以前には、鬼という存在はいなかったと考えられてるわ。今いる鬼は全員、閻魔の子孫なのよ。つまり、鬼の始祖というわけね」
「じゃ、誰が閻魔様を生んだの?」
「う、うーん、そのあたりは、よくわかってないの」
説明できない部分を、母親は笑って誤魔化す。
「今、閻魔様は何をしているの?」
「閻魔様は、統一鬼国の建国後に、長い眠りについてしまわれたそうよ。それから今まで、一度も目覚めていないらしいわ」
「ええ? じゃ、誰がこの国を治めてるの?」
「閻魔様の跡を継いだ一族が、閻魔様の代理をするという名目で、鬼国の代表になったの。それが鬼廻一族よ。閻魔様は目覚めないから、その人達が実質、この国の最高権力者ね」
「それじゃ今、閻魔様はどこにいらっしゃるの?」
「この北鬼にいらっしゃるわ。見て」
母親は通りの向こうに見える、建物を指さした。
そこには、この国の文化と西洋の文化が入りまじった、白い建築物が、堂々と門を構えている。
「正面に見えるあの立派な建物が、北鬼の政治の中心、御政堂よ。あの場所で、鬼廻一族と、長老と呼ばれる鬼達が、政を司っているの。御政堂の奥には、閻魔様が眠っている棺を納めた、閻魔堂があるそうよ。政が御政堂で行われているから、この国の人達は、政府のことを、御政堂と呼んでいるらしいわ」
「へえー・・・・」
――――この国の中心、御政堂。
御政堂の入口になっている立派な門は、御政門と呼ばれている。御政門から真っ直ぐ続く目抜き通りが、京月でもっとも賑わっている場所だった。
「鬼国の正当な君主は閻魔様だけだから、陛下と呼ばれるのも閻魔様だけなの」
「それじゃ、お殿様はなんて呼ばれてるの?」
「鬼廻一族の当主は、代々、大将軍と名乗っているわ。下の者達は、将軍ではなく御主様と呼んでいるそうよ。御政堂の中には、血液を補完する血の保管庫と呼ばれる場所があって、そこから国中の鬼達に、血を支給しているの」
「血は、誰から取るの? もしかして、誰かを襲うの?」
「そんなことはしないわ。鬼の数は少ないから、鬼のために人間の国民から血を取って、それを保管しているのよ」
「へえー。でも、どうして鬼は数が少ないの?」
「鬼には男しか生まれなくて、しかも子供が生まれにくい体質らしいわ。だからどうしても、数が少なくなってしまうの」
「男しか生まれないの? なんで?」
「はっきりした理由はわからないわ」
鬼の一族に、どうして女性が生まれないのか、その謎は、まだ誰にも解明されていない。
北鬼国の主都、京月は、今日も賑わっていた。
広い道の両側には、漆喰の壁に虫籠窓、紅殻格子の料亭や和菓子屋、呉服問屋などがずらりと並び、どの店も立派な看板を店先に掲げていた。
そんな垢抜けた街並みを、楽しそうに人々が闊歩していく。人々の声が寄り集まってざわめきとなり、街全体をくるんでいた。
季節は春になり、花々が咲き誇っている。道の先で桜の木々が、雪のように花弁を散らしていた。
でも、今の私には、町の賑わいが遠くの出来事のように、ぼんやりと聞こえている。まるで、自分だけが別の世界にいるような心地だ。
「ここが北鬼国の首都、京月なの? すごく賑わってるね!」
ぼんやりと桜を見上げていると、耳に女の子の高い声が飛び込んできた。
振り返ると、旅姿の母娘が立っていた。
「北鬼は栄えてるって聞いてたけど、本当だったのね。こんなに賑やかな都ははじめてだわ」
どうやらその母娘は、観光客のようだ。
「お母さん。なんでこの国は、北鬼なんていう変な名前なの?」
「それはね、この国が鬼に支配された国だからよ」
少女は、目をぱちくりさせた。
「鬼? 鬼って、何? 角が生えた、怖い怪物のこと?」
「鬼っていう言葉にはね、いろんな意味があるのよ。地獄の獄卒を鬼と呼ぶこともあるけれど、人間の姿をしているのに、人ならぬ力を持っている存在を、鬼と呼ぶこともあるの」
――――ここ、北鬼国は、その名の通り、鬼に支配された国だ。
支配といっても、人間が虐げられているわけじゃなく、人間と鬼がうまく共存している。
「鬼は、とても綺麗な顔をしているそうよ。一度見てみたいわね」
「角は生えてないの?」
「ないわよ」
「じゃ、手足の数が多いとか?」
「人間と同じよ。外見は、人間と見分けがつかないの」
「だったら、人間でしょ? どうして、鬼って呼ばれてるの?」
「人間は、何百年も生きないでしょう? 鬼は長く生きるし、身体がとっても頑丈なの。二百年、三百年、生きている鬼も珍しくないわ。それに、人間の血を吸うという邪悪な一面もあるわね」
「・・・・それ、本当?」
「本当よ。血は、鬼達の食料なの」
血を吸う、という部分に、恐怖を感じたのかもしれない。少女は、唇を噛みしめている。
「この島には、鬼が支配する国が二つあって、この国が北側にあるから、北鬼国と呼ばれているの。そして南側が、南鬼国と呼ばれるようになった」
「二つもあるの?」
「そう。数百年前に、二つに分かれたそうよ。分裂する前は、鬼国と呼ばれていたそうなの。鬼廻礎曳という人が北側の領土を奪い取り、この地に北鬼国を建国すると宣言したせいで、事実上、分裂状態になっちゃったのよ」
「きか・・・・そ? なんだか名前、変じゃない?」
「鬼と人間を区別するためよ。鬼だと名前でわかるように、名字には゛鬼゛という字や、長く生きるという意味で゛永゛とか゛久゛という字を必ず使い、名前にも、この国ではあまり使われない、難しい漢字を使うようにしているそうなの。鬼が名字に、鬼や永、久の字を使うようになってからは、人間のほうがその字を使うことを避けるようになったそうよ」
「へえ! でも、勝手に国を造っちゃったら、本物のお殿様は怒ったんじゃないの?」
「もちろん、怒ったわ。南鬼国の御主様は――――御主というのは、この国のお殿様のことね。南鬼国の御主様は、自分こそが正当な後継者で、北鬼国のお殿様が、御主と名乗るのを認めないと仰っていらっしゃるわ。だから自分の国は南鬼国ではなく、鬼国だと主張しているの」
南鬼という国号を認めてしまったら、国の分裂まで認めてしまうことになる。だから当時の南鬼の御主は、分裂ではなく、不当な占拠であると言い張り、自分達の国こそ、正当な鬼国であると言い張っていた。
「・・・・ややこしいなあ」
「そうね。ややこしい話だわ。一つだった頃の鬼国は、今の鬼国と区別する形で、統一鬼国と呼ばれているわ。北鬼国と南鬼国は、もう何十年も争ってきたのよ。今は停戦条約が結ばれたけどね」
「どうして二つに分かれることになったの?」
「うーん・・・・そのあたりは複雑なのよ」
母親は面倒だったのか、適当な言葉で、説明を省いてしまった。
「とにかく、この国を支配しているのは、鬼なの」
「鬼は年をとらないんだよね? だったら、ずっと陛下が変わらないの?」
「そこがややこしいところなんだけど・・・・この国の陛下は変わってないんだけど、政(まつりごと)に関わっている人達は変わっていってるのよ」
女の子は、眉根を寄せた。
「どういうことなの?」
「統一鬼国が建国される以前、この場所には、和国という人間の国があったそうよ。だけど疫病と干ばつが立て続けに起こって、国は滅亡の危機に瀕していたの。――――そんな中、閻魔と呼ばれる、最初の鬼が現われた。するとたちどころに、病が消えて、雨が降ったそうなの」
「病気を治して、雨を降らせたってこと?」
「そういうことになるわね。とにかく、閻魔様が国を立て直したの。それで国民は、閻魔様こそ、この地を治める陛下になるべきだと考え、当時の陛下が、閻魔様に地位を譲ったのよ」
「最初の鬼って、どういうこと? 閻魔様よりも前の鬼は?」
「閻魔様は、歴史に最初に登場する鬼よ。それ以前には、鬼という存在はいなかったと考えられてるわ。今いる鬼は全員、閻魔の子孫なのよ。つまり、鬼の始祖というわけね」
「じゃ、誰が閻魔様を生んだの?」
「う、うーん、そのあたりは、よくわかってないの」
説明できない部分を、母親は笑って誤魔化す。
「今、閻魔様は何をしているの?」
「閻魔様は、統一鬼国の建国後に、長い眠りについてしまわれたそうよ。それから今まで、一度も目覚めていないらしいわ」
「ええ? じゃ、誰がこの国を治めてるの?」
「閻魔様の跡を継いだ一族が、閻魔様の代理をするという名目で、鬼国の代表になったの。それが鬼廻一族よ。閻魔様は目覚めないから、その人達が実質、この国の最高権力者ね」
「それじゃ今、閻魔様はどこにいらっしゃるの?」
「この北鬼にいらっしゃるわ。見て」
母親は通りの向こうに見える、建物を指さした。
そこには、この国の文化と西洋の文化が入りまじった、白い建築物が、堂々と門を構えている。
「正面に見えるあの立派な建物が、北鬼の政治の中心、御政堂よ。あの場所で、鬼廻一族と、長老と呼ばれる鬼達が、政を司っているの。御政堂の奥には、閻魔様が眠っている棺を納めた、閻魔堂があるそうよ。政が御政堂で行われているから、この国の人達は、政府のことを、御政堂と呼んでいるらしいわ」
「へえー・・・・」
――――この国の中心、御政堂。
御政堂の入口になっている立派な門は、御政門と呼ばれている。御政門から真っ直ぐ続く目抜き通りが、京月でもっとも賑わっている場所だった。
「鬼国の正当な君主は閻魔様だけだから、陛下と呼ばれるのも閻魔様だけなの」
「それじゃ、お殿様はなんて呼ばれてるの?」
「鬼廻一族の当主は、代々、大将軍と名乗っているわ。下の者達は、将軍ではなく御主様と呼んでいるそうよ。御政堂の中には、血液を補完する血の保管庫と呼ばれる場所があって、そこから国中の鬼達に、血を支給しているの」
「血は、誰から取るの? もしかして、誰かを襲うの?」
「そんなことはしないわ。鬼の数は少ないから、鬼のために人間の国民から血を取って、それを保管しているのよ」
「へえー。でも、どうして鬼は数が少ないの?」
「鬼には男しか生まれなくて、しかも子供が生まれにくい体質らしいわ。だからどうしても、数が少なくなってしまうの」
「男しか生まれないの? なんで?」
「はっきりした理由はわからないわ」
鬼の一族に、どうして女性が生まれないのか、その謎は、まだ誰にも解明されていない。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる