男の性春

はりお

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最終章 性の行方(高校1年編)

5-19 サプライズ

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決戦の日曜日の朝はきわめて良い目覚めであった。ここ2週間はあの件以降で最も調子が良い。完全に復調した。やはりメンタル状態って体にも大きな影響があるのだなと感じた。
試合会場につくと早くも応援席に多くの人が来ている。選手より早いなんて張り切りすぎだ。真司や耀司も来てくれている。あとは角田なんかも来てくれていて、会ってそうそうに「あの子可愛い」って翼のことを指差して言っていた。翼は応援のために鉢巻をつけて派手な格好をしており、確かにそれが可愛らしかった。
みんな期待してくれているようだ。昨日は例の先輩からもラインが来た。
「大学の部活の試合被っちゃって見に行けないけど応援してる。壮太の活躍で勝って、母校のことと壮太のことを自慢させて笑」
後輩たちも応援を張り切っている。翼が"応援団長"とか自分で言って、ウォームアップのときから盛り上げていた。翼はベンチに座ることがないため普段はずっと応援される側にいるが、今日は応援団としてやる気に満ち溢れている。
過去一の観衆だ。この観衆が来るきっかけとなる紹介をしてくれた校長も来ている。
ウォームアップも好調だった。当然翼はいないため、今日は一輝と組んでいたが、体のキレも良いのに加え、彼の鋭いパスも完璧にトラップできていた。
アップを終えてキックオフまでに少し時間があったため、俺は一旦観客席に上がり間食でもしようと自分のバッグを漁っていた。すると、背後から急に誰かに股間を揉まれた。"どうせ真司あたりであろう。試合前くらいやめてくれ"俺はそう思い、股間をつかむその手を払いながら後に振り返った。
「よっ!久しぶり。久しぶりって言っても、ずっと近くにはいたけどね」
そう言いながらそこに立っていた人物をみて俺の鼓動が猛烈に上がる。試合前でもあまり緊張せず、リラックスしていたが俺の心臓のバクバクは止まらなかった。夢としか思えなかった。冷静に考えたらそこまてま驚くようなことではないはずなのに。
「何でそんなに驚いてるんだよ。ずっと前から約束してただろ」
「涼介!」
俺は思わず抱きついてしまいそうになった。久々に心の底から笑えた気がする。
「喜びすぎだろ」
「まさか来てくれると思ってなかった」
「俺が約束破るわけねーだろ」
「だって、彼女とデートなんじゃないの?」
「あ?彼女?もう別れたわ。別に向こうからグイグイ来ただけで俺は好きじゃなかったし」
その言葉を聞いて何日も続いた曇り空が一気に晴れ渡るような気分になった。あまりに我を忘れて喜んでしまったため、少し冷静になり周囲を見渡したが、そこには笑顔の一輝がいただけだった。
涼介と久しぶりにもう少し会話をしたかったが、
「壮太、もう行くよ」
と一輝に諭され俺はグラウンドに戻ることになった。
涼介は一言、
「頑張れよ」
と言葉をかけてくれた。

下につくとみんなで円陣を組む。スタメン組もベンチ組もベンチ外の子も高1全員で肩を組んだ。見ている周りからは"何で新人戦でこんなに気合が入っているのか?"と不思議られたかもしれない。だが、高2の冬に引退する俺らはすでに引退まで10カ月足らずで、しかも自分たちの学年だけで公式戦に試合に出られる最初で最後の機会だ。実際この試合のために、中学の地方大会で悔しい思いをした1年半前からみんな目標にして頑張ってきた。実際あの日から個々人が意識を変えて練習に取り組んでくれたのは明らかだった。
俺は部長の健太からこの日はキャプテンマークを渡された。この大会に向けて努力するのは俺の一言から始まったということをみんな認識している。
「みんながあれから一生懸命練習してくれたのをみて嬉しかった。本当にありがとう。今日絶対勝って新しい歴史を作りましょう」
俺の冴えない号令だったが、みんなは真剣に聞いてくれた。みんなの表情が緊張で引き締まっている。
相手は過去に何度も全国に出ている県内屈指の強豪校である。しかももちろん高2主体だし、明らかな格上である。だが、きちんと事前に分析もしたし負ける気は一切していなかった。
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