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最終章 性の行方(高校1年編)
5-20 決戦
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キックオフの瞬間俺らの応援席から大きな歓声が湧き上がる。試合開始直後はお互い緊張感を持って固い試合運びをしていたが、そんな均衡を開始20分過ぎに俺らが破った。
右サイドの俺が相手を引きつけてから対角にサイドチェンジをする。それを受けた左ウィングの選手がグラウンダーのクロスを上げると、中にいた裕翔がシュート。そのシュートは惜しくも相手キーパーに止められたが、そのこぼれ球を俺が押込み先制する。
客席は大喜びしていた。だが、試合は始まったばかり。全く油断はできない。
案の定すぐに同点に追いつかれてしまう。すると、試合はオープンな展開になり、お互いシュートシーンを作ったが、前半終了間際に逆転をされてしまった。
1-2でハーフタイムを迎えることになる。プレイ中は上の席で大声を張り上げていた翼だが、ハーフタイムはベンチにやってきた。今大会で右サイドバックをやっている子にアドバイスをしているようだ。その子はこの2週間ずっと練習の度に翼と話して、俺のサポートの仕方を翼に教わっていたらしい。
その翼のアドバイスの効果が後半すぐに発揮された。俺が一輝からの素晴らしい配球で右サイドでボールを受けると、右サイドバックのその子がピッタリなタイミングで上がってきた。前半俺がサイドでボールを持っても、必ず2,3人にマークされ、なかなか得意のドリブル突破はできていなかった。だが、この時その子が翼のようなインナーラップをしてくれたおかげで、相手の1人が完全にそっちに気を取られた。中にドリブルするコースが綺麗にあいた。俺は"これはナイス"と言わんばかりに、カットインの突破に成功。シュートコースも一見切られているかと思ったが、ボックス内で裕翔が相手のディフェンダーを引きつけ、理想通りにシュートが打てた。俺が蹴ったボールは綺麗にカーブを描いてゴール左隅に突き刺された。
右サイドのウィンガーにとって理想的なゴールだった。アリエン・ロッベンを彷彿とさせるミドルシュートだ。
これで2-2に追いつく。逆転されて以降トーンが落ちていた客席のテンションもこれで盛り返してきた。
その後は格上の相手から猛攻を喰らったが、守護神の藤田や、センターバックの蒼らを中心に粘り強く守ってくれた。後半アディショナルタイムとなり、これは延長になるかと思われた中、ペナルティエリアの外でファウルを獲得した。ゴール正面27,8mと少し距離があるが直接狙えなくはない。そもそもほとんど蹴る場面がなかったとはいえ、俺が公式戦で最後に直接FKを決めたのは中1の新人戦である。だが、それでも俺は自信があった。後半終了間際の絶好の勝ち越しのチャンスである。逆にこれを逃すと、選手層が厚く、レベルの高いベンチメンバーに交代することが出来る相手の方が延長戦では圧倒的に有利となる。
キッカーは俺だ。ボールをセットし左斜め後ろに長めの助走距離を取る。ピッチのメンバーもベンチメンバーも監督、コーチも観客席のみんなも固唾を飲んで見守ってるのがわかる。
俺はその緊張をパワーに変え、渾身の力をボールにこめて思いっきり蹴った。蹴った瞬間は少し強すぎたかなと思ったが、無回転で放たれたボールは最後急に軌道を落とし、右のサイドネットに吸い込まれていった。
俺はネットが揺れるのを見届けた瞬間思いっきり走った。試合終了間際とは思えない速度でベンチと客席に向かった。人生で最高のゴールである。圧倒的にだ。
決めた直後は頭が真白で何も分からなかったが、今まで感じたことのないような周りの盛り上がりがだんだん伝わってきた。
「壮太、何かやれよ」
そんな野次がどっかからか聞こえてきた。俺は普段ゴールパフォーマンスはしない。だが、この時は調子に乗っていた。俺は最近SNSで流行っているダンスを披露した。少し前に裕翔がゴールパフォーマンスの練習とか言ってやっていたのを俺が使わせてもらった。
「壮太かわいい」
そんな野次も気分がいい。大好きな涼介が跳ね上がって喜んでいるのも見える。兎に角最高の気分だ。
わずかに残っていた試合もリスタート後程なく終了する。ずっとみんなで目指していたこの大会は、不調だった俺の復活ハットトリックで目標のベスト4を達成するという最高の筋書きであった。
試合後ベンチだろうが客席だろうがどこに行っても俺はみんなから揉みくちゃにされんとばかりに讃えられた。もちろん今回の結果はみんなのお陰であると思っているし事実そうだ。今大会俺が不調の中勝ち上がってこれたのもみんなのお陰である。また、今日の俺の活躍は不調ゆえに、相手の警戒が多少緩んでいたのもあるかもしれない。だが、なにはともあれひたすら気持ちがよかった。まさに有頂天である。
試合後チームメイトと来てくれた皆さんへのお礼を終え、俺は着替えていた。そこへ一輝が涼介を連れてきた。
「しっかり仲直りしなよ」
一輝に俺らは言われる。
涼介は少し恥ずかしそうにしている。
「お前やるじゃん。カッコよかったよ。めっちゃ。来てやった甲斐があったわ」
「ありがと!試合前に涼介と久々に話せてうれしかったよ。それがなかったらこんな活躍できなかったかも。マジで」
ツンデレのところもかわいい。たとえ仲直りできても、今後はもう涼介にはそんな変な思いを持たないようになんて思っていたが、今日くらいはと自分を許した。
「じゃあ記念に写真撮るよ」
一輝がそういってスマホを構えた。
俺は着替え中で上半身裸だったため慌てて、服を着ようとしたが、涼介に「はやくしろ」と言われ、そのまま撮ることに。冬の時期でとても寒かったし、涼介の冷たい手に俺の脇あたりを触られツーンと来た。
あとで一輝から写真が送られてきたが、俺にとっては最高の1枚になった。大好きな人と仲直りし、大好きなサッカーでは自分の活躍で目標達成。今後の人生でも忘れることがないであろう、ブラボーな1日であった。
右サイドの俺が相手を引きつけてから対角にサイドチェンジをする。それを受けた左ウィングの選手がグラウンダーのクロスを上げると、中にいた裕翔がシュート。そのシュートは惜しくも相手キーパーに止められたが、そのこぼれ球を俺が押込み先制する。
客席は大喜びしていた。だが、試合は始まったばかり。全く油断はできない。
案の定すぐに同点に追いつかれてしまう。すると、試合はオープンな展開になり、お互いシュートシーンを作ったが、前半終了間際に逆転をされてしまった。
1-2でハーフタイムを迎えることになる。プレイ中は上の席で大声を張り上げていた翼だが、ハーフタイムはベンチにやってきた。今大会で右サイドバックをやっている子にアドバイスをしているようだ。その子はこの2週間ずっと練習の度に翼と話して、俺のサポートの仕方を翼に教わっていたらしい。
その翼のアドバイスの効果が後半すぐに発揮された。俺が一輝からの素晴らしい配球で右サイドでボールを受けると、右サイドバックのその子がピッタリなタイミングで上がってきた。前半俺がサイドでボールを持っても、必ず2,3人にマークされ、なかなか得意のドリブル突破はできていなかった。だが、この時その子が翼のようなインナーラップをしてくれたおかげで、相手の1人が完全にそっちに気を取られた。中にドリブルするコースが綺麗にあいた。俺は"これはナイス"と言わんばかりに、カットインの突破に成功。シュートコースも一見切られているかと思ったが、ボックス内で裕翔が相手のディフェンダーを引きつけ、理想通りにシュートが打てた。俺が蹴ったボールは綺麗にカーブを描いてゴール左隅に突き刺された。
右サイドのウィンガーにとって理想的なゴールだった。アリエン・ロッベンを彷彿とさせるミドルシュートだ。
これで2-2に追いつく。逆転されて以降トーンが落ちていた客席のテンションもこれで盛り返してきた。
その後は格上の相手から猛攻を喰らったが、守護神の藤田や、センターバックの蒼らを中心に粘り強く守ってくれた。後半アディショナルタイムとなり、これは延長になるかと思われた中、ペナルティエリアの外でファウルを獲得した。ゴール正面27,8mと少し距離があるが直接狙えなくはない。そもそもほとんど蹴る場面がなかったとはいえ、俺が公式戦で最後に直接FKを決めたのは中1の新人戦である。だが、それでも俺は自信があった。後半終了間際の絶好の勝ち越しのチャンスである。逆にこれを逃すと、選手層が厚く、レベルの高いベンチメンバーに交代することが出来る相手の方が延長戦では圧倒的に有利となる。
キッカーは俺だ。ボールをセットし左斜め後ろに長めの助走距離を取る。ピッチのメンバーもベンチメンバーも監督、コーチも観客席のみんなも固唾を飲んで見守ってるのがわかる。
俺はその緊張をパワーに変え、渾身の力をボールにこめて思いっきり蹴った。蹴った瞬間は少し強すぎたかなと思ったが、無回転で放たれたボールは最後急に軌道を落とし、右のサイドネットに吸い込まれていった。
俺はネットが揺れるのを見届けた瞬間思いっきり走った。試合終了間際とは思えない速度でベンチと客席に向かった。人生で最高のゴールである。圧倒的にだ。
決めた直後は頭が真白で何も分からなかったが、今まで感じたことのないような周りの盛り上がりがだんだん伝わってきた。
「壮太、何かやれよ」
そんな野次がどっかからか聞こえてきた。俺は普段ゴールパフォーマンスはしない。だが、この時は調子に乗っていた。俺は最近SNSで流行っているダンスを披露した。少し前に裕翔がゴールパフォーマンスの練習とか言ってやっていたのを俺が使わせてもらった。
「壮太かわいい」
そんな野次も気分がいい。大好きな涼介が跳ね上がって喜んでいるのも見える。兎に角最高の気分だ。
わずかに残っていた試合もリスタート後程なく終了する。ずっとみんなで目指していたこの大会は、不調だった俺の復活ハットトリックで目標のベスト4を達成するという最高の筋書きであった。
試合後ベンチだろうが客席だろうがどこに行っても俺はみんなから揉みくちゃにされんとばかりに讃えられた。もちろん今回の結果はみんなのお陰であると思っているし事実そうだ。今大会俺が不調の中勝ち上がってこれたのもみんなのお陰である。また、今日の俺の活躍は不調ゆえに、相手の警戒が多少緩んでいたのもあるかもしれない。だが、なにはともあれひたすら気持ちがよかった。まさに有頂天である。
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ツンデレのところもかわいい。たとえ仲直りできても、今後はもう涼介にはそんな変な思いを持たないようになんて思っていたが、今日くらいはと自分を許した。
「じゃあ記念に写真撮るよ」
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