16 / 69
第5章:水底に響く歌
第16話:沈む都
しおりを挟む
川沿いの道を抜けた先に広がっていたのは、奇妙な光景だった。
湖のように広がる水面――だが、その下には確かに“街”が沈んでいる。
塔、屋根、石畳。
すべてが水底に眠り、揺れる波に歪んで見えた。
「……水に呑まれた街?」
ミナが呆然と呟く。
「どうしてこんな……」
リサも言葉を失う。
湖のほとりに立つ古びた祠には、古代文字が刻まれていた。
リオが指でなぞると、アウラが胸の奥で囁く。
『これは“封印の歌”。……ここに、炎の異形が眠っている』
「炎の異形……?」
リオの掌に小さな焔が揺れる。
その光は、水面に映る街の影を照らし――不気味に揺らした。
そのとき。
――響いた。
水底から、低く、長い歌声が。
まるで深海から浮かび上がるような旋律。
言葉にならない声が、水を震わせ、耳ではなく骨に響く。
「な、なに……これ……」
ミナが耳を塞ぐが、声は頭蓋の奥から抜けてこない。
リサも膝をつき、苦しげに胸を押さえた。
ただ一人、リオの炎だけがその歌に呼応するように揺れていた。
『……リオ。あれはイフリート――炎の精霊の“裏の姿”。力を失い、水底に封じられた存在。彼を解き放つかどうか……君が選ぶ時が来た』
湖の底から、赤黒い光が蠢き始める。
封じられた炎が、水を焦がすように滲み出してきた。
リオは拳を握りしめた。
「イフリート……」
その名を呼んだ瞬間、轟音と共に水面が裂けた。
巨大な炎の影が、歌声とともに姿を現す。
湖のように広がる水面――だが、その下には確かに“街”が沈んでいる。
塔、屋根、石畳。
すべてが水底に眠り、揺れる波に歪んで見えた。
「……水に呑まれた街?」
ミナが呆然と呟く。
「どうしてこんな……」
リサも言葉を失う。
湖のほとりに立つ古びた祠には、古代文字が刻まれていた。
リオが指でなぞると、アウラが胸の奥で囁く。
『これは“封印の歌”。……ここに、炎の異形が眠っている』
「炎の異形……?」
リオの掌に小さな焔が揺れる。
その光は、水面に映る街の影を照らし――不気味に揺らした。
そのとき。
――響いた。
水底から、低く、長い歌声が。
まるで深海から浮かび上がるような旋律。
言葉にならない声が、水を震わせ、耳ではなく骨に響く。
「な、なに……これ……」
ミナが耳を塞ぐが、声は頭蓋の奥から抜けてこない。
リサも膝をつき、苦しげに胸を押さえた。
ただ一人、リオの炎だけがその歌に呼応するように揺れていた。
『……リオ。あれはイフリート――炎の精霊の“裏の姿”。力を失い、水底に封じられた存在。彼を解き放つかどうか……君が選ぶ時が来た』
湖の底から、赤黒い光が蠢き始める。
封じられた炎が、水を焦がすように滲み出してきた。
リオは拳を握りしめた。
「イフリート……」
その名を呼んだ瞬間、轟音と共に水面が裂けた。
巨大な炎の影が、歌声とともに姿を現す。
2
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。
そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。
【魔物】を倒すと魔石を落とす。
魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。
世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる
家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。
召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。
多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。
しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。
何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。
チート魔力はお金のために使うもの~守銭奴転移を果たした俺にはチートな仲間が集まるらしい~
桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。
交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。
そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。
その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。
だが、それが不幸の始まりだった。
世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。
彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。
さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。
金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。
面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。
本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。
※小説家になろう・カクヨムでも更新中
※表紙:あニキさん
※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ
※月、水、金、更新予定!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる