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しおりを挟むさて……放課後にえっちの約束は出来たものの、現在進行形でむらむらしているこの身体はどうしたものか。こんな状態で授業に出るのも難しいし、フラフラしていて変な相手に目を付けられても困る。
「とりあえず、保健室にでも逃げ込もうかな……」
気分が優れない(発情)なのは嘘じゃないし、サボりじゃないよ!
ここで保健室の先生も目当てのイケメンだったりすれば最高だったんだけど、残念ながら保健医のエリオット先生はちょっと苦手なタイプなんだよなぁ。なんていうか同類?
見た目は優しそうで儚げな美人って感じなんだけど、僕を見る目が笑ってないというか……。一度偶然ドミニクとイチャイチャしている時に出くわしたことがあるんだけど、その時は視線だけで人を殺せそうだったもんなぁ。怖い怖い。
僕のタイプも美人系より格好いい人が好きだから、エリオット先生は対象外なのが救いかな。好みの相手にあんな目で見られたら泣いちゃうもん。
そんな事を考えながら歩いていたら、いつの間にか保健室まで辿り着いていた。僕は少しだけ具合の悪そうな演技を心がけて、保健室の扉をノックした。
――― コンコンコン。ガチャッ…
「失礼します。あのエリオット先生、体調が悪いので少し寝かせて……」
そう言って部屋の中に入った僕が目にしたのは、とんでもない光景だった。
「……え、ドミニク……?」
「っ、ユーリ⁈」
「わぁっ! グ、グレンジャーくん……!」
綺麗に整えられたベッドの上で、上半身だけ起こしたドミニクの上に跨るようにして乗り上げているエリオット先生。先生の白衣は乱れて胸元も大きく開いているし、ドミニクなんて上半身裸だ。
何をしていたのか、いや、しようとしていたのかは一目瞭然で。僕はその現実が受け入れられずに、ぽかんと呆気にとられてしまっていた。
「ユーリ、これは違くて……エリオット先生が無理やり乗ってきて……!」
「ちょ、無理やりじゃないだろっ! さっきまでノリノリだったクセに!」
「いいからっ、先生は黙ってろよ!」
二人からしたら突然の乱入者である僕に、さぞ驚いた事だろう。ドミニクは自分の上に乗っているエリオット先生を突き飛ばし、僕に対して言い訳を始めていた。
この際どっちが誘ったとかなんでも良いけど、他の生徒が来るかもしれない場所でことに及ぼうとするなら、最低限鍵をかけるとかそこら辺の自衛はちゃんとして欲しいんだけど……。
それにしてもドミニクは一体どういうつもりなんだ?僕も複数のイケメンと関係を持とうとしているので、相手に貞操観念を求めるつもりはないけれど、物事には順序というものがあるはずだ。男相手に勃つんなら、エリオット先生よりまず僕に手を出すべきなんじゃないの⁈
「……エリオット先生。申し訳ありませんが、ドミニクと二人にしてくれませんか? 彼とゆっくり話がしたいんです」
「えっ? う、うん……わかったよ……」
ふつふつと湧き上がる怒りに、僕の口から出た言葉は平常時よりも随分と低い。その声色にびくりと身体を震わせるドミニクの事は一旦無視をして、エリオット先生に退室を願い出る。
いざこれから、というところで出て行かなくてはいけないのは大層辛いことだろう。僕もその気持ち、すごい分かります……。しかし、今回は状況が状況なので分(ぶ)が悪いと思ったのか、エリオット先生は特に文句を言うこともなく、ただ名残惜しそうにドミニクを見ながら出て行った。
パタン。と、扉の閉まる音が響く。
居心地の悪い沈黙が室内を満たしていたが、その空気を壊すように僕からドミニクに問いかけた。
「ねぇドミニク……。エリオット先生と付き合ってるの?」
「い、いやっ! 付き合ってないよ……っ」
「でも、先生の事が好きなんだよね? えっちなこと、しようとしてたんだもん」
それならそうと、早く言ってくれたらよかったのに。そうしたら僕だって、もっと早く諦めがついたはずだ。
正直ドミニクはめちゃくちゃタイプだから、セックスできないのは物凄く残念だけど。もし他に好きな人がいるから僕に手が出せないって言うのなら、それはもうしょうがないと我慢するしかないのだ。
「……いつもお尻触ったりしてきたのは、僕のこと、揶揄ってたんだね……」
思わず恨みがましいような台詞が溢れてしまったのは、許してほしい。だって期待しちゃってたんだもん!
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