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それは、もったりとした麝香のような香りだった。
崇仁は澪一のフェロモンの香りを知らない。だから、これが澪一が放つオメガフェロモンなのだと気づくのが遅れた。
そして気づいたときには崇仁は澪一のフェロモンに完全に捕らえられていた。
崇仁の肌が粟立つ。神経は鋭敏となり、体温が上がる。そしてどうしようもない快楽の端が見えていた。
「崇仁は小浦花織のことを『運命』だと思ってた?」
いつの間にやら澪一は白いシャツを脱ぎ捨てて、制服の黒いスラックスからベルトを引き抜いていた。
スラックスが澪一の足元に落ちると、白く細い妖艶なラインを持つ脚が露わになる。
崇仁はそれを見て――明確な欲情を覚えた。
そのことに崇仁はショックを受け、激しく動揺する。
相手は「あの」澪一なのだ。いつだって冷たく崇仁を見下していた、人形のような澪一。
そんな澪一に崇仁は明確な性欲を抱いた。
ありえない。
そんな言葉が崇仁の脳裏をよぎるが、次第にその強い拒絶反応も、ゆるゆると溶けて行く。
拒絶反応だけではない。強固な崇仁の理性までも、澪一が放つオメガフェロモンが溶かして行く。
「崇仁の『運命』はね――僕。小浦花織への感情は単なるひと目惚れ。一時の感情、ってやつだよ」
そう言いながら澪一は嘲笑った。
「物ごころつく前からいっしょにいたし、僕はフェロモン抑制剤を常用してるからわからなかったんだね。かわいそうに」
澪一は微塵も「かわいそう」などとは思っていない口ぶりで言うと、おもむろに下着を脱ぎ、大きく股を開いて見せた。
崇仁の眼前に、澪一のペニスとアナルが露わになる。きゅっと締まったアナルは、愛液にてらてらと輝いていた。
「崇仁のために誘発剤を飲んだんだ。ねえ、僕のフェロモン、わかるでしょう?」
澪一はアナルの近くに両の手をやると、ぐいと締まった穴を押し広げて見せる。
崇仁はいつの間にか呼吸を荒げていた。あられもない澪一の――オメガの痴態を見せつけられて、崇仁の中のアルファ性は大いに刺激を受け、性欲が本能を突き動かしていた。
ありえない。
崇仁の中に残ったわずかばかりの理性が、澪一を拒絶する。
しかしまるでまじないにでもかかったかのように、崇仁はソファに座す澪一の前に気がつけば立っていた。
「――おいで」
澪一の言葉は、甘く、優しく――どこまでも冷徹だった。
崇仁はその言葉のままにまず澪一の桃色の乳首にむしゃぶりついた。
乳輪は柔らかく、中心部の芯のあるところはぴんと立って、澪一の胸はまるで愛撫を喜ぶように震えた。
ぴちゃぴちゃと崇仁の唾液が音を立てる。崇仁の理性はそれを無性に嫌悪していると言うのに、耳に入るかすかな淫音と押し殺した澪一の声を聞くたびに、崇仁のペニスは固く勃起して行く。
澪一の乳首の辺りから垂れる唾液を追って、崇仁の下は腹からヘソへ、そして下腹部へと向かう。
「んっ……くすぐったい……」
澪一の力ないペニスをためらいもなくくわえると、ぬるりとした舌の感触におどろいたのか、澪一の腰が跳ねた。
崇仁の冷静な部分は、なぜ澪一のペニスを己がくわえているのか、まったく理解できないでいた。
あれほどこのようなまぐわいをすることなど、ありえないと考えていた澪一に、今、崇仁は性奉仕している。
それがまったく理解できない。
どうしようもない嫌悪感が胸の奥でうずく。かすかな吐き気を覚えながら、ストロークを駆使して澪一のペニスを勃起させようとフェラチオを加える自分。
愛する花織にすらしたことのない愛撫を、愛していない澪一に加える自分。
「あっ、ああっ……! いいよ崇仁……きもちいい……。その調子……」
うっとりとした声で荒い呼吸をする澪一は、崇仁を愛しているとは到底思えなかった。
ただ性欲処理のための便利な道具としてしか崇仁を見ていないことは、その目をうかがえば明らかだった。
道具でなければペット……いや、家畜か。
永宮家の面々同様、澪一も崇仁のことを種馬くらいにしか思っていないのだ。
「んっ、崇仁も勃起してるね」
崇仁の股間に澪一の足が触れる。澪一の足指はすりすりと崇仁のペニスを布越しに撫でた。
それだけで興奮し切った崇仁の勃起ペニスは暴発しそうになる。
思わず腰を引けば、それを察したのか澪一は足を引っこめた。
代わりに崇仁の頭を押してペニスから口を離させると、その眼前で再び愛液があふれるアナルを指で押し広げる。
「崇仁、僕を孕ませてごらん?」
挑発的な澪一の言葉に、崇仁は内心でいら立ちを覚えた。
なのにオメガフェロモンに支配された体は、澪一の言葉通りのことをしたくてたまらなかった。
震える手でジッパーを下げ、ボクサーの前から完勃起ペニスを露出させる。
先走りに濡れたペニスは頭上の電灯の明かりを受けて、てらてらと輝き、太い血管がグロテスクなほどに浮き出ていた。
「さすがアルファ。立派なもんだね」
笑う澪一をソファへ乱暴に押し倒す。
「いいよ。乱暴にして。……童貞に気づかいなんて要求しないから」
崇仁は眼下の澪一を見下ろしながら、明確な殺意を覚えた。
このまま首を絞めて、澪一を殺してやりたかった。
しかし崇仁のアルファ性はまったく逆のことを考えている。
すなわち崇仁の体の下にいる澪一を、押さえつけてペニスを挿入し、その子宮に種付けをしたいという欲求に絶えず晒されていた。
「なにを考えてるの? 永宮を捨てる度胸もない意気地なしが」
澪一は頬を上気させながらせせら笑う。そこには今までに感じていた人形のようだというような感想はない。
「所詮、小浦花織は君の自尊心を満たしてくれるだけの道具じゃない。自分を気持ちよくさせてくれるための道具。……崇仁を気持ちよくさせるなら、僕にだってできるよ」
「ふふふ」――嘲笑う澪一の口元を歪めてやりたくて、崇仁は彼の唇を奪うと同時に、予告もなくアナルを貫いてやった。
澪一の腸内はなんの引っかかりもなく崇仁の勃起ペニスを受け入れる。
「あうっ」……澪一が上げた余裕のない声に引きずられるようにして、崇仁は彼を殺してやりたいと思いながら腰を振った。
澪一の直腸に侵入した崇仁の勃起ペニスは、張ったカリでごりごりと腸壁をこすり上げる。
そのたびに澪一は体を震わせ、腰を跳ねさせ、喉から今までに聞いたことのない、甲高い嬌声を上げた。
「んっ、あっ、もう、これだから童貞は……」
そんな憎まれ口を叩きながらも、澪一のアナルは崇仁のペニスに甘えるようにしゃぶりつく。
直腸内を蠕動させて崇仁のペニスをしごき上げながら、子宮に向かって子種を吐き出してもらわんと、必死にむしゃぶりついている。
もとから興奮し切っていた崇仁の勃起ペニスは、最初の射精を呆気なく迎えた。
ぎゅっとペニスを抱きしめるような澪一の直腸内に、びゅーっと白濁液を発射する。
びくりびくりと震える崇仁のペニスの動きは澪一にも伝わり、彼はまたせせら笑うように口元へ笑みを浮かべる。
「あは、射精したんだね。まあでもこんな程度で妊娠するわけないけど……っ!?」
崇仁が一度射精しても硬度を残したペニスで、ピストン運動を再開すれば、不意を突かれた形になった澪一の口から、苦しそうな声が漏れ出る。
そのことに崇仁は気を良くした。
喘ぎ声を上げながら、内心で笑っている澪一の本心には気づかずに。
やがて澪一のオメガフェロモンに支配された崇仁が、彼のうなじを噛むまで、あと一時間。
澪一が崇仁の子を孕むまでの時間は……
崇仁は澪一のフェロモンの香りを知らない。だから、これが澪一が放つオメガフェロモンなのだと気づくのが遅れた。
そして気づいたときには崇仁は澪一のフェロモンに完全に捕らえられていた。
崇仁の肌が粟立つ。神経は鋭敏となり、体温が上がる。そしてどうしようもない快楽の端が見えていた。
「崇仁は小浦花織のことを『運命』だと思ってた?」
いつの間にやら澪一は白いシャツを脱ぎ捨てて、制服の黒いスラックスからベルトを引き抜いていた。
スラックスが澪一の足元に落ちると、白く細い妖艶なラインを持つ脚が露わになる。
崇仁はそれを見て――明確な欲情を覚えた。
そのことに崇仁はショックを受け、激しく動揺する。
相手は「あの」澪一なのだ。いつだって冷たく崇仁を見下していた、人形のような澪一。
そんな澪一に崇仁は明確な性欲を抱いた。
ありえない。
そんな言葉が崇仁の脳裏をよぎるが、次第にその強い拒絶反応も、ゆるゆると溶けて行く。
拒絶反応だけではない。強固な崇仁の理性までも、澪一が放つオメガフェロモンが溶かして行く。
「崇仁の『運命』はね――僕。小浦花織への感情は単なるひと目惚れ。一時の感情、ってやつだよ」
そう言いながら澪一は嘲笑った。
「物ごころつく前からいっしょにいたし、僕はフェロモン抑制剤を常用してるからわからなかったんだね。かわいそうに」
澪一は微塵も「かわいそう」などとは思っていない口ぶりで言うと、おもむろに下着を脱ぎ、大きく股を開いて見せた。
崇仁の眼前に、澪一のペニスとアナルが露わになる。きゅっと締まったアナルは、愛液にてらてらと輝いていた。
「崇仁のために誘発剤を飲んだんだ。ねえ、僕のフェロモン、わかるでしょう?」
澪一はアナルの近くに両の手をやると、ぐいと締まった穴を押し広げて見せる。
崇仁はいつの間にか呼吸を荒げていた。あられもない澪一の――オメガの痴態を見せつけられて、崇仁の中のアルファ性は大いに刺激を受け、性欲が本能を突き動かしていた。
ありえない。
崇仁の中に残ったわずかばかりの理性が、澪一を拒絶する。
しかしまるでまじないにでもかかったかのように、崇仁はソファに座す澪一の前に気がつけば立っていた。
「――おいで」
澪一の言葉は、甘く、優しく――どこまでも冷徹だった。
崇仁はその言葉のままにまず澪一の桃色の乳首にむしゃぶりついた。
乳輪は柔らかく、中心部の芯のあるところはぴんと立って、澪一の胸はまるで愛撫を喜ぶように震えた。
ぴちゃぴちゃと崇仁の唾液が音を立てる。崇仁の理性はそれを無性に嫌悪していると言うのに、耳に入るかすかな淫音と押し殺した澪一の声を聞くたびに、崇仁のペニスは固く勃起して行く。
澪一の乳首の辺りから垂れる唾液を追って、崇仁の下は腹からヘソへ、そして下腹部へと向かう。
「んっ……くすぐったい……」
澪一の力ないペニスをためらいもなくくわえると、ぬるりとした舌の感触におどろいたのか、澪一の腰が跳ねた。
崇仁の冷静な部分は、なぜ澪一のペニスを己がくわえているのか、まったく理解できないでいた。
あれほどこのようなまぐわいをすることなど、ありえないと考えていた澪一に、今、崇仁は性奉仕している。
それがまったく理解できない。
どうしようもない嫌悪感が胸の奥でうずく。かすかな吐き気を覚えながら、ストロークを駆使して澪一のペニスを勃起させようとフェラチオを加える自分。
愛する花織にすらしたことのない愛撫を、愛していない澪一に加える自分。
「あっ、ああっ……! いいよ崇仁……きもちいい……。その調子……」
うっとりとした声で荒い呼吸をする澪一は、崇仁を愛しているとは到底思えなかった。
ただ性欲処理のための便利な道具としてしか崇仁を見ていないことは、その目をうかがえば明らかだった。
道具でなければペット……いや、家畜か。
永宮家の面々同様、澪一も崇仁のことを種馬くらいにしか思っていないのだ。
「んっ、崇仁も勃起してるね」
崇仁の股間に澪一の足が触れる。澪一の足指はすりすりと崇仁のペニスを布越しに撫でた。
それだけで興奮し切った崇仁の勃起ペニスは暴発しそうになる。
思わず腰を引けば、それを察したのか澪一は足を引っこめた。
代わりに崇仁の頭を押してペニスから口を離させると、その眼前で再び愛液があふれるアナルを指で押し広げる。
「崇仁、僕を孕ませてごらん?」
挑発的な澪一の言葉に、崇仁は内心でいら立ちを覚えた。
なのにオメガフェロモンに支配された体は、澪一の言葉通りのことをしたくてたまらなかった。
震える手でジッパーを下げ、ボクサーの前から完勃起ペニスを露出させる。
先走りに濡れたペニスは頭上の電灯の明かりを受けて、てらてらと輝き、太い血管がグロテスクなほどに浮き出ていた。
「さすがアルファ。立派なもんだね」
笑う澪一をソファへ乱暴に押し倒す。
「いいよ。乱暴にして。……童貞に気づかいなんて要求しないから」
崇仁は眼下の澪一を見下ろしながら、明確な殺意を覚えた。
このまま首を絞めて、澪一を殺してやりたかった。
しかし崇仁のアルファ性はまったく逆のことを考えている。
すなわち崇仁の体の下にいる澪一を、押さえつけてペニスを挿入し、その子宮に種付けをしたいという欲求に絶えず晒されていた。
「なにを考えてるの? 永宮を捨てる度胸もない意気地なしが」
澪一は頬を上気させながらせせら笑う。そこには今までに感じていた人形のようだというような感想はない。
「所詮、小浦花織は君の自尊心を満たしてくれるだけの道具じゃない。自分を気持ちよくさせてくれるための道具。……崇仁を気持ちよくさせるなら、僕にだってできるよ」
「ふふふ」――嘲笑う澪一の口元を歪めてやりたくて、崇仁は彼の唇を奪うと同時に、予告もなくアナルを貫いてやった。
澪一の腸内はなんの引っかかりもなく崇仁の勃起ペニスを受け入れる。
「あうっ」……澪一が上げた余裕のない声に引きずられるようにして、崇仁は彼を殺してやりたいと思いながら腰を振った。
澪一の直腸に侵入した崇仁の勃起ペニスは、張ったカリでごりごりと腸壁をこすり上げる。
そのたびに澪一は体を震わせ、腰を跳ねさせ、喉から今までに聞いたことのない、甲高い嬌声を上げた。
「んっ、あっ、もう、これだから童貞は……」
そんな憎まれ口を叩きながらも、澪一のアナルは崇仁のペニスに甘えるようにしゃぶりつく。
直腸内を蠕動させて崇仁のペニスをしごき上げながら、子宮に向かって子種を吐き出してもらわんと、必死にむしゃぶりついている。
もとから興奮し切っていた崇仁の勃起ペニスは、最初の射精を呆気なく迎えた。
ぎゅっとペニスを抱きしめるような澪一の直腸内に、びゅーっと白濁液を発射する。
びくりびくりと震える崇仁のペニスの動きは澪一にも伝わり、彼はまたせせら笑うように口元へ笑みを浮かべる。
「あは、射精したんだね。まあでもこんな程度で妊娠するわけないけど……っ!?」
崇仁が一度射精しても硬度を残したペニスで、ピストン運動を再開すれば、不意を突かれた形になった澪一の口から、苦しそうな声が漏れ出る。
そのことに崇仁は気を良くした。
喘ぎ声を上げながら、内心で笑っている澪一の本心には気づかずに。
やがて澪一のオメガフェロモンに支配された崇仁が、彼のうなじを噛むまで、あと一時間。
澪一が崇仁の子を孕むまでの時間は……
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