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2. ヒトを駄目にするダメ犬
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「ツバサぁ…なんでもっと会いに来てくんないの。こーじ、さびちぃ」
うるうるうる……いとやんのうるうる攻撃だ。鬱陶しい、チワワの面を被ったハイエナめ。
放課後、オレはこうして気まぐれに会いに行っていた。いとやんは逢瀬のつもりだろうが、オレとしてはお見舞いに近い。
「いとやん、仕事で忙しいだろ」
「ぜーんぜんっ、全く!」
んな、アホな。いとやんは懲りずに、オレの手をそーっと握ろうとしてくる。そんな変態を一喝すると、いとやんの胸元に奇妙なものが収まっていることに気がついた。
いとやんはいつも、カジュアルなジャケットを着ている。それがすごく格好良くて、真似してみたいと密かに思っていた。
「いとやん、胸に何入れてんの」
軽く指差すと、いとやんは急にデレデレとだらしない顔になって、「ツバサ」とだけ言い放った。
「うっ…わ」
「気持ち悪くない。この前の人形な。じゃじゃーん、ツバサっぽくしてみました~」
取り出して見せてくれたそれには…目と口、もじゃもじゃの髪の毛…ブレザーにチェックパンツ……
「あんた暇だねぇ」
「ひどいっ!渾身の作をそんな風にっ。ツバサのことを思いながら作ったんだからなぁ?
お前が全然構ってくれないから、こーじ 寂しくて、コイツと毎日おねんねしてんだぞ。ンーっ、ンーっ」
いとやんの唇攻撃に遭う、オレの分身……正直、全然似ていない。
「なんか、顔がムズムズしてきそう」
「えっ、まじぃ?じゃあここはどうかな」
「ギャッ!やめろバカ変態人形オナニー野郎がっ」
取り上げようとしたけど、「じゃあ、ツバサが毎日俺と一緒に寝てくれんの」って言われて黙るしかなかった。
はぁ~あ。みんな大好きいとやんの素顔が、あんな残念拗らせオヤジとは……世も末だ。
家に帰っても出迎えてくれるような奥さんもおらず、あの珍妙な人形と寂しく一緒にご飯…な、泣けてくる。哀れだ、あんまりにも……さっさとオレのことを忘れてもらおう。それで、とっとと結婚してもらおう。うん、そうだ、それがいい。
と思って、色々と嫌がらせをしているんだけど……
「ツバサぁ~~♡♡♡ほら、お前が欲しがっていたものだぞ。これでいいか?」
でれでれでれ……オレへの愛情を隠そうともしない いとやん。その手元には、高級ブランドのレア物スニーカーが収まっている。オレの顔は引き攣るばかりだ。
「よく…手に入ったな」
「ツバサが欲しがっているものだろ?当然だよ」
ダラダラダラ……滝汗が吹き出てきた。どうしよう、まずい、非常に。
これ…ウン十万円はするぞ、絶対。
「き、気が変わった、こんなもんいらねぇ」
どうか、心臓が止まりませんように。そう祈りながら、決死の覚悟で口にする。ごめんっ、いとやん……マジですまん。
けれど、いとやんは「そうか。じゃあ、他に何か欲しいもんはあるか?何でも言ってみろ」と。満面の笑みを浮かべている。
「っあ…っと、ぁっ、じっ、ジュースっ!ほらっ、売店のところの自販機っ、りんごジュースッ!!」
オレはわけがわからなかった。それと同時に、心配になった。いとやんは…ヒトを駄目にするダメ犬だ。
だって、オレが無茶苦茶を言ったってちっとも怒らない。何から何まで全部言いなり、尽くす尽くす尽くす…!
悪い人に引っかかりでもしたら、全部を搾り取られちゃいそうだ。どうしよう…うーん……か、かくなる上は…!
うるうるうる……いとやんのうるうる攻撃だ。鬱陶しい、チワワの面を被ったハイエナめ。
放課後、オレはこうして気まぐれに会いに行っていた。いとやんは逢瀬のつもりだろうが、オレとしてはお見舞いに近い。
「いとやん、仕事で忙しいだろ」
「ぜーんぜんっ、全く!」
んな、アホな。いとやんは懲りずに、オレの手をそーっと握ろうとしてくる。そんな変態を一喝すると、いとやんの胸元に奇妙なものが収まっていることに気がついた。
いとやんはいつも、カジュアルなジャケットを着ている。それがすごく格好良くて、真似してみたいと密かに思っていた。
「いとやん、胸に何入れてんの」
軽く指差すと、いとやんは急にデレデレとだらしない顔になって、「ツバサ」とだけ言い放った。
「うっ…わ」
「気持ち悪くない。この前の人形な。じゃじゃーん、ツバサっぽくしてみました~」
取り出して見せてくれたそれには…目と口、もじゃもじゃの髪の毛…ブレザーにチェックパンツ……
「あんた暇だねぇ」
「ひどいっ!渾身の作をそんな風にっ。ツバサのことを思いながら作ったんだからなぁ?
お前が全然構ってくれないから、こーじ 寂しくて、コイツと毎日おねんねしてんだぞ。ンーっ、ンーっ」
いとやんの唇攻撃に遭う、オレの分身……正直、全然似ていない。
「なんか、顔がムズムズしてきそう」
「えっ、まじぃ?じゃあここはどうかな」
「ギャッ!やめろバカ変態人形オナニー野郎がっ」
取り上げようとしたけど、「じゃあ、ツバサが毎日俺と一緒に寝てくれんの」って言われて黙るしかなかった。
はぁ~あ。みんな大好きいとやんの素顔が、あんな残念拗らせオヤジとは……世も末だ。
家に帰っても出迎えてくれるような奥さんもおらず、あの珍妙な人形と寂しく一緒にご飯…な、泣けてくる。哀れだ、あんまりにも……さっさとオレのことを忘れてもらおう。それで、とっとと結婚してもらおう。うん、そうだ、それがいい。
と思って、色々と嫌がらせをしているんだけど……
「ツバサぁ~~♡♡♡ほら、お前が欲しがっていたものだぞ。これでいいか?」
でれでれでれ……オレへの愛情を隠そうともしない いとやん。その手元には、高級ブランドのレア物スニーカーが収まっている。オレの顔は引き攣るばかりだ。
「よく…手に入ったな」
「ツバサが欲しがっているものだろ?当然だよ」
ダラダラダラ……滝汗が吹き出てきた。どうしよう、まずい、非常に。
これ…ウン十万円はするぞ、絶対。
「き、気が変わった、こんなもんいらねぇ」
どうか、心臓が止まりませんように。そう祈りながら、決死の覚悟で口にする。ごめんっ、いとやん……マジですまん。
けれど、いとやんは「そうか。じゃあ、他に何か欲しいもんはあるか?何でも言ってみろ」と。満面の笑みを浮かべている。
「っあ…っと、ぁっ、じっ、ジュースっ!ほらっ、売店のところの自販機っ、りんごジュースッ!!」
オレはわけがわからなかった。それと同時に、心配になった。いとやんは…ヒトを駄目にするダメ犬だ。
だって、オレが無茶苦茶を言ったってちっとも怒らない。何から何まで全部言いなり、尽くす尽くす尽くす…!
悪い人に引っかかりでもしたら、全部を搾り取られちゃいそうだ。どうしよう…うーん……か、かくなる上は…!
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