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1. 義父の温情
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私はこの国で一番の璃伴士だ。璃伴というのは将棋のような類のもので、私はこれで生計を立てている。どのようにか。
それは賞金で、たびたび開催される大会には18歳から出場が可能となっている。数ヶ月前にそれを満たした私は欠かすことなく参加しており、いずれも負け知らずであった。ゆえに、私がこの国で一番というわけである。
「リンユゥはすごいな。好きこそ物の上手なれだ」
周りはそう言うがとんだ勘違いだ。別に私は璃伴がそれほど好きなわけではない。学のない私が、学のある者と同等の暮らしをするためにはどうすればよいのか。
そう考えた時、育ての親であるミングォさんから教わった璃伴しかないと思った。これなら苦手な肉体労働をせずに済むし、それよりも稼ぐことができてミングォさんに恩返しができる。
ミングォさんは私のような孤児達の面倒を見ている人の良い方だ。40は過ぎているかと思う。私を含め八人の孤児を養うミングォさん自身は決して裕福ではないが、それでも毎日の食事に事欠かさず、温かい布団で私達は眠ることができた。
「リンユゥ、璃伴はずっと座りっぱなしで大変だろう。お金のことは気にしなくていいから、もう少し参加を控えておくれ。君の身体が心配だ」
ミングォさんの大きな身体で包み込まれた私は、己の身体のなんと小さいことか、とひっそり顔を歪める。18にもなったというのにこの見かけの頼りなさときたら…「意外とジジくさい喋り方をするのね、あなた」などと初対面の相手に言われたことをフッと思い出し、芽吹いてきた小さな怒りを鎮めるべく私は深呼吸をした。
「ミングォさん、私があなたのためにできることといえばこれくらいです。大丈夫ですよ」
「いやいや、何を言ってるんだい。君は家のこともよくやってくれるし、他の子達の面倒だって見てくれている。君がいるだけで家の中が明るくなって、みんなの心の支えになっているんだ。
璃伴は気晴らしにでもと思って教えたんだよ。お願いだからわたしのそばにいておくれ」
そこまで言われてしまっては頷くほかない。ミングォさんは愛情深い人で、私は自分のことを幸せな人間だと思う。
しかし、明日の大会はすでに申し込んであるのだ。それに参加したらしばらくは休むことにするよ、という旨をミングォさんに伝えると、「ありがとう、リンユゥ。今夜は君の大好きなシチューにしよう。ゆっくり休んで明日は頑張っておいで」と心底嬉しそうな笑顔が私の目には印象的であった。
それは賞金で、たびたび開催される大会には18歳から出場が可能となっている。数ヶ月前にそれを満たした私は欠かすことなく参加しており、いずれも負け知らずであった。ゆえに、私がこの国で一番というわけである。
「リンユゥはすごいな。好きこそ物の上手なれだ」
周りはそう言うがとんだ勘違いだ。別に私は璃伴がそれほど好きなわけではない。学のない私が、学のある者と同等の暮らしをするためにはどうすればよいのか。
そう考えた時、育ての親であるミングォさんから教わった璃伴しかないと思った。これなら苦手な肉体労働をせずに済むし、それよりも稼ぐことができてミングォさんに恩返しができる。
ミングォさんは私のような孤児達の面倒を見ている人の良い方だ。40は過ぎているかと思う。私を含め八人の孤児を養うミングォさん自身は決して裕福ではないが、それでも毎日の食事に事欠かさず、温かい布団で私達は眠ることができた。
「リンユゥ、璃伴はずっと座りっぱなしで大変だろう。お金のことは気にしなくていいから、もう少し参加を控えておくれ。君の身体が心配だ」
ミングォさんの大きな身体で包み込まれた私は、己の身体のなんと小さいことか、とひっそり顔を歪める。18にもなったというのにこの見かけの頼りなさときたら…「意外とジジくさい喋り方をするのね、あなた」などと初対面の相手に言われたことをフッと思い出し、芽吹いてきた小さな怒りを鎮めるべく私は深呼吸をした。
「ミングォさん、私があなたのためにできることといえばこれくらいです。大丈夫ですよ」
「いやいや、何を言ってるんだい。君は家のこともよくやってくれるし、他の子達の面倒だって見てくれている。君がいるだけで家の中が明るくなって、みんなの心の支えになっているんだ。
璃伴は気晴らしにでもと思って教えたんだよ。お願いだからわたしのそばにいておくれ」
そこまで言われてしまっては頷くほかない。ミングォさんは愛情深い人で、私は自分のことを幸せな人間だと思う。
しかし、明日の大会はすでに申し込んであるのだ。それに参加したらしばらくは休むことにするよ、という旨をミングォさんに伝えると、「ありがとう、リンユゥ。今夜は君の大好きなシチューにしよう。ゆっくり休んで明日は頑張っておいで」と心底嬉しそうな笑顔が私の目には印象的であった。
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