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7. 陥落
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今まで一体何があったのか。リンユゥの口から余す事なく聞かされる驚愕の事実に、わたしはしばらくの間、動くことが出来なかった。
最終的にはポポイの屋敷から脱走し、命からがら逃げてきたというが…わたしは怒りのあまりワナワナと震え、感情という感情が押し合いへし合いし、わたしという人格を保つのにやっとであった。
あんの…クソッタレが!!手塩にかけて育てたひとの息子をっ…わたしでさえも手を出さずにいたというのに…アアッ!アアッ!
鬼にでも悪魔にでも成り変わりそうなわたしを押し鎮めたのは、リンユゥからの熱い抱擁であった。
「ミングォさん…私のことを見捨てないで下さいますか…?」
恥じらいの強いリンユゥは、自分からは決してそのようなことはしない。わたしとてそうだ。
しかし、どうしようもない時だけは天に許しを請い彼にすがり付いた。父という最後の防波堤が、それより先へ行くことを拒ませているようだった。
「何を言うんだい…わたしがリンユゥのことを…見捨てるはずがないだろう」
「ですが…ですが…私という人間は…卑しい身体となってしまいました。こんな私のことを受け入れて下さる方がどこに…おりましょうか」
ほろり、ほろりと流す涙は真珠そのもの。頼りない唇はほんのり紅く色付き、湿った目元がわたしをとらえて離さない。思わず息を呑む…なんたる美しさだ。
「リンユゥ…どうか自分を責めないでおくれ。君はわたしの大切な息子だ…わたしの可愛い息子…」
そう、愛おしくてどうしようもない。あぁ 君が欲しい、欲しくて堪らない。
口にした言葉とは裏腹に、わたしの手は彼の服の隙間へと震えながらも入り込もうとしていた。駄目だ…リンユゥ、頼む…わたしを拒んでおくれ。
「ミングォさん…私は間違っておりました。心のどこかで、貴方とは本当の親子にはなれないのだと嘆いていました。ですが…貴方は本当の親以上に深い愛情を…私に注いで下さっていた…ずっとおそばにいてもよろしいでしょうか」
ところがどうだ、彼の身体はわたしから離れてゆこうとはしないではないか。「もちろんだ…わたしの方が乞いていたことだろう…?」それに甘んじた手は歓喜の声を上げ貪欲に堕ちてゆく。
リンユゥの、これがリンユゥの素肌…温かい…っ…わたしの手に吸い付いてくる…!
ずっと手に入ることはないと諦めていたのだ。そんなものに一度でも触れてしまえば、タガはいとも簡単に外れてしまう。
わたしは愛しいその小さな身体を味わうようにまさぐり、「わたしが君の身体に…心に愛を与えよう。それで全てが元通りになる…わたしは君のたった一人の…父親なんだ」呪いの言葉を吐いてゆく。リンユゥ…あぁっ、君とずっとこうなりたかった…愛している、わたしだけを見ておくれっ!
ずるい人間だ、わたしは。その証拠に、殺してやろうと決めていた相手に、一抹の感謝の念まで抱き始めているではないか。
「ミングォさん…ミングォさん…私はずっと甘えたかったのでございます。でも、どうすればよいのかわからない…」
「おぉ、おぉ、それはいけない。わたしが存分に甘やかしてあげよう…寂しい思いをさせてすまなかったね」
リンユゥは淫乱に成り変わってしまったのであろうか。はたまた心からそう口にしているのか。どちらにせよわたしの無骨な手は、彼の双丘の割れ目へと辿り着いていた。
「リンユゥ…愛しているよ、愛しているんだ、心の底から。いや、愛させて欲しい…っ…いいね?」
それは確認の言葉というにはあまりにも綺麗すぎる。はい、以外は求めていなかった。
しかしリンユゥは、「ミングォさん…ずっと身体が疼いて仕方がないのです。助けて下さい…」とわたしを綺麗な父親のままでいさせてくれるらしい。願ったり叶ったりとはこのことか。
貪欲な手は彼のことが愛おしくて堪らないとばかりにぬぷりと音を立て、その小さな蕾をもいでいった。「ぁっ…」すでに緩く、可愛らしい悲鳴を上げ指に吸い付いてくる蕾に、男としての嫉妬の業火が煌々と燃え盛る。
それでもなお、わたしを抱きしめ離さぬ小さな腕のおかげで、ほほえむことができたのであった。
最終的にはポポイの屋敷から脱走し、命からがら逃げてきたというが…わたしは怒りのあまりワナワナと震え、感情という感情が押し合いへし合いし、わたしという人格を保つのにやっとであった。
あんの…クソッタレが!!手塩にかけて育てたひとの息子をっ…わたしでさえも手を出さずにいたというのに…アアッ!アアッ!
鬼にでも悪魔にでも成り変わりそうなわたしを押し鎮めたのは、リンユゥからの熱い抱擁であった。
「ミングォさん…私のことを見捨てないで下さいますか…?」
恥じらいの強いリンユゥは、自分からは決してそのようなことはしない。わたしとてそうだ。
しかし、どうしようもない時だけは天に許しを請い彼にすがり付いた。父という最後の防波堤が、それより先へ行くことを拒ませているようだった。
「何を言うんだい…わたしがリンユゥのことを…見捨てるはずがないだろう」
「ですが…ですが…私という人間は…卑しい身体となってしまいました。こんな私のことを受け入れて下さる方がどこに…おりましょうか」
ほろり、ほろりと流す涙は真珠そのもの。頼りない唇はほんのり紅く色付き、湿った目元がわたしをとらえて離さない。思わず息を呑む…なんたる美しさだ。
「リンユゥ…どうか自分を責めないでおくれ。君はわたしの大切な息子だ…わたしの可愛い息子…」
そう、愛おしくてどうしようもない。あぁ 君が欲しい、欲しくて堪らない。
口にした言葉とは裏腹に、わたしの手は彼の服の隙間へと震えながらも入り込もうとしていた。駄目だ…リンユゥ、頼む…わたしを拒んでおくれ。
「ミングォさん…私は間違っておりました。心のどこかで、貴方とは本当の親子にはなれないのだと嘆いていました。ですが…貴方は本当の親以上に深い愛情を…私に注いで下さっていた…ずっとおそばにいてもよろしいでしょうか」
ところがどうだ、彼の身体はわたしから離れてゆこうとはしないではないか。「もちろんだ…わたしの方が乞いていたことだろう…?」それに甘んじた手は歓喜の声を上げ貪欲に堕ちてゆく。
リンユゥの、これがリンユゥの素肌…温かい…っ…わたしの手に吸い付いてくる…!
ずっと手に入ることはないと諦めていたのだ。そんなものに一度でも触れてしまえば、タガはいとも簡単に外れてしまう。
わたしは愛しいその小さな身体を味わうようにまさぐり、「わたしが君の身体に…心に愛を与えよう。それで全てが元通りになる…わたしは君のたった一人の…父親なんだ」呪いの言葉を吐いてゆく。リンユゥ…あぁっ、君とずっとこうなりたかった…愛している、わたしだけを見ておくれっ!
ずるい人間だ、わたしは。その証拠に、殺してやろうと決めていた相手に、一抹の感謝の念まで抱き始めているではないか。
「ミングォさん…ミングォさん…私はずっと甘えたかったのでございます。でも、どうすればよいのかわからない…」
「おぉ、おぉ、それはいけない。わたしが存分に甘やかしてあげよう…寂しい思いをさせてすまなかったね」
リンユゥは淫乱に成り変わってしまったのであろうか。はたまた心からそう口にしているのか。どちらにせよわたしの無骨な手は、彼の双丘の割れ目へと辿り着いていた。
「リンユゥ…愛しているよ、愛しているんだ、心の底から。いや、愛させて欲しい…っ…いいね?」
それは確認の言葉というにはあまりにも綺麗すぎる。はい、以外は求めていなかった。
しかしリンユゥは、「ミングォさん…ずっと身体が疼いて仕方がないのです。助けて下さい…」とわたしを綺麗な父親のままでいさせてくれるらしい。願ったり叶ったりとはこのことか。
貪欲な手は彼のことが愛おしくて堪らないとばかりにぬぷりと音を立て、その小さな蕾をもいでいった。「ぁっ…」すでに緩く、可愛らしい悲鳴を上げ指に吸い付いてくる蕾に、男としての嫉妬の業火が煌々と燃え盛る。
それでもなお、わたしを抱きしめ離さぬ小さな腕のおかげで、ほほえむことができたのであった。
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