【ピュア青春BL】筋トレするふたりが結ばれる日まで~今日も輪島はあたたかい。

立坂雪花

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第3話*輪島の異変

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「では、新しい部員となった矢萩くんに自己紹介をしよう。俺は部長の森だ、よろしく!」

 優等生な雰囲気の大きな男が、メガネを光らせながら自己紹介をする。続いて他の部員も。 

 筋肉部の部員はこんな感じだ。主に活動しているメンバーは五人。他の部員は何人いるか知らんが、たまに来る感じ。

 まずは、高校一年生のメンバー。高校生なのにイケオジな雰囲気漂う、全てが完璧でかっこよく、俺のことを気にしてくれる男。そして筋肉部のトップで、Lサイズの筋肉、略してエルキンの輪島。俺の中では輪島が一番光っている。

 同じく一年生の、髪の毛もさもさしていて野生のクマのようで少女マンガが大好きな、エルキンの秦(はた)。

 俺と同じ二年生の可愛い系イケメン。細くて長身、色素が薄く部の中で唯一金髪。サイズも俺と同じなエスキンの中谷(なかや)。

 三年生で、優等生な雰囲気が漂い、制服が似合う顔。雰囲気が全く筋肉もりもりだとは予想できないのに、実は脱ぐとすごいんです系な部長。エムキンの森。

 最後、五人目は三年生の、運動神経抜群なしょうゆ顔な男。中学生の時はサッカー部のエースだったが、筋トレに目覚めてサッカーを辞め、今は筋トレばかりをしているエムキンの青木。

 サイズは一年がL、二年はS、三年はMな感じだな。ちなみに三年生は一ヶ月後の〝秋の全国高校生筋肉バトル〟が終われば引退らしい。

 筋肉部の活動は筋肉を休めるために、週に三、四回の休みがあり、平日は二時間ぐらい、休日は三時間から四時間ぐらい休憩時間も含めてやるという説明も受けた。

「じゃあ、早速エスキン同士でエスキンの筋トレを始めようか? まずはランニングマシンで身体を温めるよ!」

 言われるがまま、細いイケメン中谷についていき、ふたり並んで、走る機械でゆっくり走った。それが終わるとマットの上で中谷と並んで座り、ストレッチをする。

「サイズによって、筋トレ方法は違うのか?」
「あとでコピーして渡す予定の、エスキン用の基本トレーニングの紙にも書いてあるんだけど。僕たちは、他のサイズよりも筋トレ量と、食事量は少ない感じかな? あと、全部を鍛えるんだけど、特に腹筋を中心に鍛えていくよ!」
「そうなのか。トレーニング、とりあえずついていく!」
「ちなみにこれ、見て?」

 中谷は自分の白Tシャツをめくりお腹を見せてきた。俺は中谷の腹筋を触ってみた。

「すっげー!! 割れてるのか? 俺もこんな風になりてぇ」

 ふとチクッとする視線を感じた。視線を感じる方向を見ると、輪島と目が合う。輪島は俺を睨むようにじっとみてきた。普段見たことのない表情で心臓がビクッとした。

――俺、何か輪島にとって嫌なこととか、した?

 いや、一切していないと思う。見つめあっていると、今度は勢いよく輪島は視線をそらしてきた。そらし方が荒くて、今度は心臓の辺りがズキっと傷んだ。

「矢萩くん、どうかした?」
「いや、何も……」

 輪島の動きが気になりすぎながらも、身体を動かし続ける。

「僕はね、外見を整えたくて、さらに力持ちにもなりたいなって思って筋トレをしてるんだけど、矢萩くんは何で筋トレしようって思ったの?」
「輪島を、お姫様抱っこしたいんだ……」
「わぁ、すごい目標だ! 矢萩くんが輪島くんをお姫様抱っこしているところ、みてみたい!」
「そっか、俺、がんばるわ!」
「がんばって! 応援してる!」

 中谷は話しやすいな。
 そんなこんなで初日の筋肉部での活動は、あっという間に終わった。

 輪島と学校を出て、寮に戻る。

「昼飯前にシャワーで汗を流したいな」
「そうだな」
「筋肉部、楽しいな! 俺、続けられそうだわ。中谷も教え方が上手いし」
「……そっか」

 いつもは筋肉関係の話をすると、もっと反応してくれるのに、今は目を合わせてもくれない。なんか寂しいな――。

「どうした輪島? 体調悪いのか?」
「いや、別に……」

――いや、あきらかにいつもと何かが違う。

そういえばさっきのトレーニングの時も、俺と目が合った瞬間、いつもと違う表情をしていたし。気になるけど、本当に何もないのか? しつこく聞きたいけど、ふたりの間に見えない壁が……。

「そっか、調子悪いとか、何かあれば言えよ? 俺の出来ることなら何でもするから!」
「……なんでも、か」
「あぁ! 何でもだ!」
 
 俺は微笑んだ。
 輪島は無表情で俺の顔をじっと見る。

 気がつけば、輪島には色々してもらっている。何もやる気がなくて、怒られることばかりしていた俺に、輪島は筋トレという楽しみをくれた。誰にも気にしてもらえなかった俺を、すごく気にしてくれている。

 輪島のお陰で、最近は毎日が楽しい。

俺も輪島に何かしてあげたい。人に対してそんな気持ちになったのは、初めてだ――。
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