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向日葵編
2.心が眠りにつく
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誰かが笑っている夢を見た。嘲け笑っている声ではなく、包み込むように優しい――愛おしさが溢れている笑顔だったように思えた。
目が覚めた時、温かい手が自分を撫でていた。涙で盛大にぼやけた視界に闇が入ってくる。
「アンタ……」
「あ、起きた?」
目を開けたエディスは、やはり目が痛くて閉じた。
押さえようとした手を握られ、代わりに右まぶたにかさついたものが触れてくる。離れたかと思うと、今度は左まぶたに感じられた。
「もう開けても痛くないよ」
そう言われ、おそるおそる開けてみる。すると、確かに痛みはなかった。
「なんで、こんなとこに……」
自分の頭を膝の上にのせ、大きな手で撫でてくれていたのは、フィンティア家で会った吸血鬼だった。
「君が泣いてる気がしたんだ」
暗い色を落とすのに、その優しさは変わらない。どうしてか会いたかった、傍にいたいと胸がざわつくもの。
「今日はどうしたの?」
柔らかな声色で訊ねられたエディスは言ってしまってもいいものかと悩んだが、どうにでもなれという気持ちが強く、つい口を薄く開いた。
「妹が、亡くなったんだ。あ、でも本当に妹かどうか分かんないんだけど」
そう言うと、彼は目を軽く開く。
「今日葬式で……でも、妹を好きだった奴に汚れるって追い出されたんだ」
「それは酷いね」
「ひ、人殺しって」
悔しいのか、誰かに聞いてもらえて安心したからか、涙が零れてくる。
「ずっと俺が苦しませたし、人が殺したことがあるから間違ってはないんだ。けどっ、」
「君が妹さんを殺すはずがないじゃない」
いとも簡単にそう言われ、涙を指の腹で拭われた。冷え切った体を包み込まれるような気持ちになったエディスは唇に手を当てる。
「うん、ありがとう」
そう言ったエディスの目に、手がのせられた。
「ほら、もう少し眠って。なにも怖がることも、哀しいことも今だけは起きることはないから。君の心も眠りにつくんだ」
「……うん」
エディスは目を閉じ、なにも感じるもののない世界へと沈みこんでいった。
*** *** *** *** ***
次に目を開けたら、ぐちゃぐちゃになったままの自室にいた。
汚れているはずの正装ではなく白いシャツとズボンに着替えている。
不思議に思ったエディスはベッドから下りていき、ベッド下のクローゼットを開けた。すると、そこには綺麗にクリーニングされている正装があった。
夢じゃなかったのかという気持ちよりも先に、こんなに丁寧にしてもらってよかったのかという驚きが出てくる。
「今度会えたらちゃんとお礼言わねえとな」
うん、と頷いたエディスは軍服を着て任務に出かけていった。
目が覚めた時、温かい手が自分を撫でていた。涙で盛大にぼやけた視界に闇が入ってくる。
「アンタ……」
「あ、起きた?」
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そう言われ、おそるおそる開けてみる。すると、確かに痛みはなかった。
「なんで、こんなとこに……」
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「妹が、亡くなったんだ。あ、でも本当に妹かどうか分かんないんだけど」
そう言うと、彼は目を軽く開く。
「今日葬式で……でも、妹を好きだった奴に汚れるって追い出されたんだ」
「それは酷いね」
「ひ、人殺しって」
悔しいのか、誰かに聞いてもらえて安心したからか、涙が零れてくる。
「ずっと俺が苦しませたし、人が殺したことがあるから間違ってはないんだ。けどっ、」
「君が妹さんを殺すはずがないじゃない」
いとも簡単にそう言われ、涙を指の腹で拭われた。冷え切った体を包み込まれるような気持ちになったエディスは唇に手を当てる。
「うん、ありがとう」
そう言ったエディスの目に、手がのせられた。
「ほら、もう少し眠って。なにも怖がることも、哀しいことも今だけは起きることはないから。君の心も眠りにつくんだ」
「……うん」
エディスは目を閉じ、なにも感じるもののない世界へと沈みこんでいった。
*** *** *** *** ***
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