【第2部完結】悪役王女の跡継ぎはバッドエンドですか?

結月てでぃ

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デート編

6.夜のシーツ✦︎

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※軽い性描写あり。攻めフェラと素股のみで挿入なし。

「んっ、んん……レ、レウ」

 ちゅぷ、ぬちゅ、と水音が聞こえてくる。
 普段ほとんど自慰すら行わないエディスにとって、苦行ともいえる時間だった。
 手練手管――といっていいのだろう、レウから与えられる愛撫は刺激的すぎた。

 あまりにエディスが恥ずかしがったので、レウもシーツに潜ってやれというのかと苦い顔をした。
 けれど、あんまりではないだろうか。他人の手で擦り上げられ、亀頭を撫で回して先の鈴口を音を立てて指先でつつくだけでは飽きたらず、口の中に迎え入れるだなんて!

「で、でちゃう……出るから離せってば!」

 吸うなってと頭を押さえて引き剥がそうとしても、レウは嫌だと拒んでくる。それどころか、こんなに雫して可愛いと言って先端に口づけるのだ。

 視界の暴力に等しく、顔を背けたくなる。なのに、目が離せない。
 口元をよだれや先走りでべたべたにしながら先走りを啜って、右から左まで舌が唇を辿る。伏せられていた目が開き、視線がぶつかったエディスは背を引いた。

「嫌がる割に、しっかり見てるじゃないですか」

 手の甲で口を拭ったレウが、くっと口の片端を上げる。
 指摘され、どうしようもない欲を見つけだされたようで羞恥心が体の中から抜け出していく。

 体を合わせるだけなのにそんなに緊張してどうすると肩や脇腹を撫でられ、エディスはほうと息を吐き出す。

「手、熱いな……」

「アンタの肌が冷たいだけだ」

 なんでこんなに全身冷たいんだと言われるが、興奮していても表皮の温度が変わらないのは昔からだった。風邪で熱を出してもぬるい程度だ。
 幼少期の多くを石の床に座って過ごしたからか、魔力拒否症による体調不良のせいか、魔物だった時期が長かったからなのか、あるいは全てか。

「死体みたいで不気味か」

 問うてしまったのは、彼と初めて会った日の夜を思い出したからだ。部隊が崩壊し、大勢の死体や重傷者に囲まれた中でレウは人肌を求めてきた。
 後で人伝に聞けば、感傷を誰かと共有するのを拒んでいるように見えていたらしい。

 そうとは思えない程に彼は任務の後、自分の傍に来ることが多い。
 報告書を作っている時にやって来てわざわざコーヒーを淹れていったり、野営だって必ずエディスの隣を確保してくる。

「いいや、だが――なんて言えばいいんだろうな」

 唇の下に親指を押し当てて思案していたレウが、ああと一人ごちた。

「夜のシーツだ。綺麗に敷かれて、まだ誰も寝転がってない」

 アンタの肌はそんな感じすると腕を握ったレウに、胸元に口づけを落とされる。
 頭の後ろを手で覆われたかと思えばベッドにゆっくり押し倒されて、熱い体と重なり合う。

 胸に耳を押し当てているレウの頭を撫で、目を閉じる。
 そうすると、ゆったりとした波間に身を委ねているような心地になった。

「気持ちいい……」

「おい、寝るなよ」

 人の体温で寝そうになるなんて子どもかと鼻をつままれ、むうと目を開ける。
 もっとこうしていたいと足を使ってずり下がって胸元に忍び込んで背中に手を回して抱きつくと、「抱きつかれたらできないんですけど」と言いながらも抱きしめ返された。

 自分からキスすると、すぐに返礼とばかりに口づけられる。
 流石にこれは慣れたと自分から舌を出して唇を舐めると、出てきた舌をぺたりと合わされた。己のものよりも厚い舌を伝って口の中に潜り込む。

*** *** *** *** ***

 順調にいったのはそこまでだった。

 は、と息を吐いてそろそろだろうと恥ずかしいながらも足を開こうとしたのを、物凄い力で止められたのだ。
 膝を両側から押さえられ「止めてくれ」と、「商売女みたいなことをしなくていい」と……。

「あ~、まあそうだよな」

 尻の穴に挿れるのは抵抗感あるよなと体を起こそうとしたら、そうじゃないからと肩を押されて戻される。
 レウのように手か口でも使おうかと考えていたエディスが理由を訊ねると、彼は首を捻って顔を背けた。
 何度か口を開けては閉じて、唇を噛んでを繰り返した果てにようやく小さな小さな声を出す。

「……入らないから」

「拡げただろ。なんの為に準備してきたんだよ」

 今日までの俺の苦労はなんだったんだ? というか、お前がやってただろと睨むと、レウはそうだけどなと顔を手で覆う。
 エディスは出たよ、土壇場で怖気づく癖が……とため息を吐く。

「ちょっと拡げただけで入るわけねえから、よく見ろよ!」

 怒鳴られたエディスはベッドに両肘をついて体を起こし、そろそろと視線を下に向けていく。そして上に乗っかっている男の足の間を見て、目を丸くさせた。

「……わ、わかったか」

 自分で言っておいて気まずくなったのか、上体を起こしてベッドに座ったレウに、まあと首を動かす。
 うん、長い。黒々としていたり、やけに亀頭が膨らんでいたり真珠がはめ込まれているわけでもないので凶器には見えないが、女泣かせと言われる部類ではあるのだろう。

「西部でよく見る人型蛮族魔物の得物くらいはあるんじゃないか」

「あの腰巻きつけて謎の儀式ばっか繰り返してる奴ら?」

 一緒にするなと拳を落とされ、エディスはだってそうだろと涙を浮かべた。それに誰が棍棒だと言い返されるが、硬く屹立している姿はそれにしか見えない。
 まあでも奴隷市や裏路地で見せられたブツも色々あったなと淡々と思い出していると、レウに声を掛けられた。

「アンタ、今なに考えてた」

「え? や、べつに……」

 なにも、と言うが眉をきつく寄せて剣呑とした目をするレウは騙せなさそうな雰囲気だ。
 仕方なく考えていたことを口にすると、「あのクソ女」と舌を打つ。
 子どもに見せるもんじゃねえだろと怒りを露わにし、あっと目を見開いて頬に手を当ててくる。

「悪い、不快だったよな」

「……レウのだろ。そんなこと思うわけない」

 触ってもいいかと手を伸ばすと、握り締められる。眉を顰めると、アンタの手に触られたら暴発しそうだから駄目だと笑われた。

「とにかく、俺はヤりたいわけじゃない。アンタは奉仕される側なんだぞ」

「俺はレウにも気持ちよくなってほしい」

「元から優しくするつもりで、今日ここに誘ったんだ。これ以上は”優しくなれない”から駄目だな」

 聞き分けの悪い子どもに相対するかのように肩を竦めたレウに、じゃあどうすんだよと言いかけたが、名案を思いついて動きを止める。

「あ……なら、さ」

 いついかなる時もレウが傍にいるわけではないので、時たま人に呼ばれて席を外した時に部下が円をなして猥褻な話をして盛り上がっているのを聞いたことくらいはエディスにもあるのだ。

 ある部下がこう言っていた。足に挟んで擦られるのはいいぞと――……。

「足に挟んでやろうか? 気持ちいいって聞いたけど」

 なので内股に手を這わせて訊いてみたのだが、両肩を掴まれ「誰に言われたんだ」と凄まれた。
 神官服を着た時も足ばかり見ていたし、良い代替え案を出せたと思っていたエディスはなんで怒るんだとたじろいでしまう。

「ケ、ケイオス……」

 なので素直に口にしてしまったのだが、レウはアイツと拳を握ってベッドを殴り、こちらに向き直っては「叱っておく」と眉間に深い皺を刻んで言う。

「なにも怒らなくても」

「アンタにこういうことを教えるのは俺だけでいい」

「仲間内で盛り上がってただけだぞ、可哀想だろ」

「アンタの耳に入れるのが間違いだって話なんだ」

 そんな無茶苦茶なと言ってやりたいところだが、足を撫でながら「誰を見てそんなことを言ってたんだか」と吐き捨てているのを見てため息を吐く。

 これはエディスがなんと言っても怒られるだろう。
 すまん、ケイオス……とお調子者の部下の顔を思い浮かべながら謝った。
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