【第2部完結】悪役王女の跡継ぎはバッドエンドですか?

結月てでぃ

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デート編

7.官能小説か!?✦︎

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レウ視点。
※軽い性描写あり。乳首責めのみ。

 カーテン越しに柔らかな陽の光が入ってくる。
 目を開けると、水を含んだように淡く青みを帯びた銀白色の髪が見えた。石膏かシルクか、白くなだらかな曲線を描く頬に血が透ける。

 無粋だとは分かっていても、この人よりも早く起きた時はこうして寝顔を堪能するのが常になっていた。

 閉じられた花唇を指で辿って、頬を指の腹で撫でる。
 落ちてきた髪を耳にかけて抱き寄せると、清らかな匂いが漂ってきた。例えるなら、初夏に咲く花に弾けた朝露を集めて香水にした――そんな匂いだ。

「綺麗だな……」

 神様や妖精に攫われるから、美しい子どもは夭逝しやすいなんて迷信がある。
 寝ているこの人を見ていると、今にもどこかに消えていってしまうのではないかと不安に駆られてしまう。先日の話を聞けば尚のことだ。

 生贄なんて時代錯誤だと笑ってしまえればいいが、冗談ではない。なにかを隠しているのは分かっていたが、まさかこんなに重大なことだとは。
 断頭台に付き合うどころか、主人を失うかもしれない未来が用意されてるとは思いもよらなかった。

 額に口づけ、目を伏せる。
 失う気などこちらには毛頭ない。それはバスティスグランも、フレイアムも同じだろう。
 神だろうと、どこの馬の骨と知らない輩にも、渡すなど断じて許すものか。

 (昨日は可愛かったな……)

 暗にデートに行くと言えば自分が買い与えた服を着てくると宣言したので、どうしてやろうかと思っていた。

 慣れぬ風なのが一層可愛らしい人なので、一からすべて教えこみたいという欲求を持ってしまったのがよくない。何かにつけて嫉妬してみっともない姿を見せてしまう。

 軍なんて男だらけで猥雑な所で、純粋培養できるなんざいくらなんでも思っていない。
 けれど、手を引いて浴室に連れ込もうとしたら恥じらって逃げるくらいだ。
 白い肌を桃色に染めて俯く姿を見たら、そのままベッドに引き倒されてもおかしくないだろう? 自分の忍耐力に感心するよ。

 絶対に星空が見える部屋がいい! と豪語するフレイアムとバスティスグラン妹に言われ、エドワード様がそれならここだと予約を入れたホテル。
 まさかスイートルームを予約されているとは思わず、部屋に入った途端冷や汗を掻きそうになった。

「お礼はどんな夜を過ごしたのか報告してくれるだけでいいよ」

 などと、とんでもないことを言っていたが、これでは報告するしかなさそうだ。

 壁一面を埋める大窓に手をついて空を見上げる横顔が、あまりに美しくて息を呑んだ。
 この人は嫌煙するが、白もよく似合う。だが、月に照らされている顔に浮かんでいる憂いに眉が寄る。

 嫌いだなんて口にしたこと、一回もないのに未だに疑われている。
 こっちは五歳も年下の男に一目惚れして困ってるってのに、この人ときたら。

 俺も疑ったことはあったが、今となってはとんでもない。
 ただ――愛人の枠を抜けるのは骨を折りそうだが。

 腕の中に囲ったと思ったらするりと抜けだしていく。猫の耳と尻尾でも生えてるんじゃないかと笑ってしまうくらいに素早い。

 カーテンを閉め、エドワード様に教えてもらった壁にある仕掛けを押す。ベッドに腰かけて浴場の方を見ると、壁が透けて中の様子が見えるようになった。

 ――実はこのホテル、浴場の壁がガラスになっててね。中にいる人に見られてるって知られずに観察できるんだ。

 本当にとんでもない部屋だな、と口元を手で押さえる。
 当人に知られれば怒って出ていかれるだろうが、ストリップショーを始めたのだから気付かれていない。

 後ろに蹴り上げた足からパンツがするんっと抜き取られる。
 なにも身に着けていない状態をこんなにまじまじと見るのは初めてだが、改めて均整の取れた体だと思う。筋肉がつきにくい体だが痩せぎすというわけではないし、腰のくびれ方もなだらかだ。

 小さくて丸い尻に触ってみたいと思うし、上にのせて腰を揺さぶってやりたい。
 淡い色の乳首は吸ったらどういう反応をするんだろうかとかという下世話な考えが頭を過る。
 ふぅ、と息を吐く姿の艶めかしさはつい先日成人したばかりだとは思えないくらいだ。

 あまり見すぎてもいけないなと仕掛けを元に戻して、浴場に背を向ける。気を紛れさせるために煙草を手にした。
 ――さて、どうしたものか。恥ずかしがりで初心なあの人をその気にさせるには、と考え込んでいる内に風呂からあがってくる。

 シルベリア・レストリエッジ。
 軍事学校時代の知り合いから渡してもいいかと事前に許可を貰っていた香油は実際嗅いでみるとこの人が纏う雰囲気に合いすぎていた。一人勝手に盛り上がってしまいそうで、自制しなければと言い聞かせようとしたのに。

「やさしく、してほしい」とガウンの袖を引かれて、なにかがぷつりと切れた。

 シーツの上に広がる銀糸を見下ろして、やめろと叫ぶ。
 無理矢理抱けばこの人はきっと恐れる。搾取するだけの行為では傷つけてしまう。

 胸に額を押し付けて熱を取ってもらってから体を起こす。
 よし、少しは余裕が出たはずだ。いや無理だ、上擦った声かっわいいな……。口を塞がれてなければそう言ってしまっていたくらいに翻弄されている。適当なことを言って誤魔化せたが、正直苦し紛れだ。

 触られたくないなーって顔をしてるってことは、ちょっと触ってやれば感じれるようになるんじゃないか? 敏感でもない限り、乳首なんて吸われても声は出ないだろ。
 なにやってんだコイツという目で見られるだろうという思いはあったが、この可能性は考えていなかった。

(これは、もしかして)

 試しに触れてみると、ものの数分で甘い吐息混じりの声が出て、足がすり合わされる。指紋を感じさせるように指全体で愛撫すると、堪らないとばかりに目が伏せられた。

 すっかり粒だった突起のくにくにと刺激し、感触を楽しんでいるともう片方もと強請ってくる。不安になるほど敏感じゃないか? と見下ろす。

(まさか、他のところも――ってことはないよな……?)

そんな官能小説みたいなことがあってたまるかと、口の片端を引く。

「足に挟んでやろうか」と言って、鹿のようになだらかな曲線を描く内股を白い手が撫でる。淫美さに頭がクラクラとしてきそうだ。

 エディス様は普段猥談で騒いだりなんかしない。時折奴隷市で見聞きしたとこちらを仰天させるがそのくらいだ。
 だからなにをこの清廉な人の耳に入れてるんだと同輩に怒るくらいは許してほしい。職務中であってもなかろうと、うちの隊で猥褻な話は全面的に禁止されているからな。

 とはいえ、恥じらいながら見つめてくる視線を断るのもどうかと思うし、喜んで据え膳くらいは食べさせてもらうことにする。

 腰の下に枕を差し込み、浮いて開こうとする膝を掴む。下生えの量が少ない上に色素が薄いせいでほとんど無毛に見えるそこを見ながら挟み込む。

「なんか、恥ずかしいな……」

 自分から許可を出したくせに、生娘のように唇に緩く握った手を押し当てて照れた笑いを向けてくる。それはまあ、そっちから見たらアンタのに俺のが乗っかってて、多分間抜けなことになってるんだろうけどな。

 腰を引く前に、手を伸ばしてきたエディス様の手のひらが俺の性器の亀頭に押し付けられた。
 呻きそうになり、慌てて下を見ると「わ……すげぇ、全然俺のと違う」と感心しているのだから頭を抱えたくなる。

 撫でられ、指先で突かれるとぷくりと先走りが雫になった。なのに、目が合うとへへと笑いかけられるのだから――本当に困った人だ。
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