新しい家族は保護犬きーちゃん

ゆきむらさり

文字の大きさ
25 / 37
保護犬きーちゃん・帰省編

22話 きーちゃんと餌付け・前

しおりを挟む
根気ある娘っ子。

彼女の此の根気こそが、かまくら型の寝床に閉じ籠るきーちゃんに、新たな一歩踏み出させた……と言うと大袈裟に聞こえるかもしれないが、本当にそうなのだから頭が下がる。

きーちゃんである。

人間を信用していないきーちゃんは、徹底して自分からは犬用ゲージからは出ない。そのきーちゃんの信頼を勝ち取る為には、かなりの根気と忍耐が必要だったことを娘っ子の行為から知り、覚悟の程を学ばされた私だよ。

子供は時に偉大。親も子から学ぶこともあるもんだと感心感嘆。



* * * * * * * *


今回、母のおかげで犬用ゲージからは出たきーちゃん。だが、お隣りのかまくら型の寝床へと移動しただけのことに過ぎない。

そう、結局は出てこない。

かまくら型の寝床から、上目遣いで外の様子を伺うきーちゃん。やっぱり、まだ警戒している様子。ただ、まん丸お目々で上目遣いをするきーちゃんの姿に「可愛い♪」と思ってしまう私もいたりと……まぁ、そんな話は置いといて。

さてさて。きーちゃんのご飯の食べが悪いのはいつものこと。実家に帰省してからは余計に食べない。お水もかろうじて飲むぐらい。今だに徹底抗戦のきーちゃん。ブレない態度には頭が下がる。

きーちゃんの日々のご飯は、保護団体のお姉さんが持たせてくれた特別なドックフード。きーちゃんが保護されてからは、それが主食。あとは、お芋とかお野菜入りの手作りおやつをもらっていたらしい。

警戒心もありありのきーちゃん。ただ、保護団体のお姉さん宅では盛り盛り食べていたらしいから、やっぱり羨ましいと思ってしまう。

「保護される以前の劣悪な環境では、食事も満足に与えてもらえず、常にひもじい環境に置かれていたきーちゃんです。だから、その反動でしょうね? 今のきーちゃんはよく食べますよ。食べることが大好きみたいです。ご飯を見せると喜んで来ますよ。おかげで体重も増えて、今ではむっちりなきーちゃんになってしまいました。でも、可愛いんですよ」

あははっ……と笑いながら告げる保護団体のお姉さん。

のちに、保護団体のブログに掲載されたきーちゃんのお写真だが、「ハッシュタグむっちりチワワ」と紹介されている。

ただね。きーちゃんには、ずっと食べていたご飯だろうが、美味かろうか不味かろうが……そんな事はどうでも良くて、大好きな保護団体のお姉さんから引き離されたことへの、きーちゃんなりの抵抗なんじゃないかとも思える。

きーちゃんのハンスト。それを見事にぶち破ったのが娘っ子というわけだ。

しおりを挟む
感想 156

あなたにおすすめの小説

【完結】初めてアルファポリスのHOTランキング1位になって起きた事

天田れおぽん
エッセイ・ノンフィクション
アルファポリスのHOTランキング一位になった記念のエッセイです。 なかなか経験できないことだろうし、初めてのことなので新鮮な気持ちを書き残しておこうと思って投稿します。 「イケオジ辺境伯に嫁げた私の素敵な婚約破棄」がHOTランキング一位になった2022/12/16の前日からの気持ちをつらつらと書き残してみます。

アルファポリスとカクヨムってどっちが稼げるの?

無責任
エッセイ・ノンフィクション
基本的にはアルファポリスとカクヨムで執筆活動をしています。 どっちが稼げるのだろう? いろんな方の想いがあるのかと・・・。 2021年4月からカクヨムで、2021年5月からアルファポリスで執筆を開始しました。 あくまで、僕の場合ですが、実データを元に・・・。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

投稿インセンティブで月額23万円を稼いだ方法。

克全
エッセイ・ノンフィクション
「カクヨム」にも投稿しています。

アルファポリスの禁止事項追加の件

黒いテレキャス
エッセイ・ノンフィクション
アルファポリスガイドライン禁止事項が追加されるんでガクブル

幼馴染みの君が言うには

六つ花えいこ
青春
「おかえりなさい」 「あぁ、いらっしゃい」 同じマンションに住む陽介と実里は幼馴染。 最近では話すことさえなくなった二人であったが、ひょんなことから、実里は陽介のために毎晩家に通っておさんどんをすることになった。 「いただきます」 「はい、どうぞ」 手と手を合わせて、心を繋いでいく二人の、のんびりとしたお話。

ある辺境伯の後悔

だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。 父親似だが目元が妻によく似た長女と 目元は自分譲りだが母親似の長男。 愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。 愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

処理中です...