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保護犬きーちゃん・帰省編
23話 きーちゃんと餌付け・後
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親の私でも知らなかった娘っ子の根気強さ。
称賛に値する彼女の忍耐は半端なかったよ。
私の実家へと帰省中のきーちゃん。引き籠るのは、かまくら型の寝床。その前へと陣取る娘っ子。
きーちゃんのご飯であるドックフードを1粒だけ手の平へと乗せる娘っ子は、きーちゃんが食べてに出て来るのを期待して、そっと手を差し出す。そのままの姿勢を保つ。じっと我慢。じーっと我慢しては、その姿勢を崩さない娘っ子。
たった一粒のドックフードをきーちゃんの目の前へそっと差し出す。ただ、それだけの行為。
一見、簡単そうに見える。ただね、想像以上の長い時間をそのままの姿勢を保ち、ずっと遣り続けるとなれば、これが意外と骨が折れる。それに、きーちゃんが自分から食べに出て来る保証もない。それでも諦めない娘っ子。負担にも思っていな様子にも驚く。
長い長い時間が経過。
遂には、その時が来たよ。娘っ子の根気勝ち。
「ママっー! きーちゃんが食べたよ!」
娘っ子が叫ぶ。
かまくら型の寝床から顔を出すきーちゃん。娘っ子の手の平に置かれたドックフードを自分から食べたよ。きーちゃんにしてみれば、危害を加えるわけでもなく、ドックフードを手にしたまま動かない娘っ子に「この娘なら大丈夫かも……虐めないかも……」と安心したのかもしれない。
「本当?! 凄ーっい……!」
嬉しくて、思わず拍手する私。でも、本当に凄いのは此処から。
娘っ子は全てのドックフードを1粒ずつ、1粒ずつ、食べ切るまであげ続けのだ。その間、きーちゃんには一切触れることなく、ただ見守りながらの餌付け。きーちゃんが全てを食べ切るまで根気良く粘り強く、時間が掛かっても餌付け行為をやめない娘っ子。そして側に寄り添い続けた結果、きーちゃんは娘っ子を信頼した。
* * * * * * * *
あれだけ警戒心の強かったきーちゃんが、この日を境に娘っ子を母親の如く慕う。2人の間に絆が出来たのか、きーちゃんは娘っ子にベッタリ。娘っ子がいないと意気消沈するほどに、きーちゃんには彼女が全て。
日々、学校へと通う娘っ子。お留守番のきーちゃん。専業主婦の私がいてもきーちゃんには関係ない。きーちゃんには娘っ子が全てだから、彼女が居ない間はご飯も喉を通らず、水も一切口にしない。ただ、ワンコ用ミルクだけは飲むから助かった。
娘っ子が帰宅した途端、きーちゃんは大喜び。尻尾を全力で振り続け、玄関までお出迎えは当たり前。娘っ子がお風呂やトイレに入れば、彼女が出て来るまで扉前でお座りをしてずっと待つ。一歩も動かない。
忠犬ハ◯公ならぬ忠犬きーちゃん。
何処に行くにも離れない。
特に娘っ子が外泊の時は大変。
きーちゃんは娘っ子の姿が見えないことにショック。ご飯も水も一切食べない飲まない。家中を探し回り、娘っ子の部屋がある2階へと続く階段を見つめては、「……いつか降りて来るよね?」と、ずっと階段下で待っている。ずっとずっと待っているのだ。引き戻しても、すぐに階段下へと行ってしまう。
これには参った私。
そういう時は、母のアドバイスが功を成す。
「きーちゃんをウチに連れていらっしゃい。ミカンちゃんもいるし、楽しい犬社会も時には必要だよ。遠慮なく、連れておいでね」
ワンコが大好きな私の両親は、きーちゃんも我が子のように可愛がってくれる。それに、実家にはきーちゃんが慕う姐御肌のミカンちゃんがいる。そうと決まれば、早速実家へと預かりよろしく……お泊まりに行くきーちゃん。
すぐさま、母へと電話を掛ける私。
「きーちゃん……大丈夫?」
「全然大丈夫だから安心してね。きーちゃんもミカンちゃんがいるから落ち着いているよ」
母の言葉に安心。皆が皆、きーちゃんを大事にしてくれるのが嬉しい。
きーちゃんも犬社会は楽しいらしく、ミカンちゃんの後を付かず離れず、一緒にお布団で寝ては娘っ子の帰りを待ち侘びる。
* * * * * * * *
あの日以来、娘っ子に全幅の信頼を寄せたきーちゃん。
駆け寄る程に懐いたのだから分からないものだ。それに比べ、私達夫婦はきーちゃんからは格下扱い。軽くあしらわれる日々。それでも、きーちゃんが自由に歩き回る姿を見れたことが何よりも嬉しい。
だから、「良し」としよう。
ちなみに、きーちゃんが階段を登らないのは、一度目で転げ落ちたせい。痛い思いしたきーちゃんは学習したらしい。それに、保護以前に痛い思いを味わったせいかもしれない。
何故って?
振り上げられた手を見ると、耳を下げては震えるきーちゃんがいる。その哀れな様子がまさにそう。辛い記憶。切ない事情だね。
ワンコちゃんは賢い生きものだから、同じ目に遭わないように学習する。ワンコちゃんだって痛い思いは嫌だ。人の怒りにも敏感。それを忘れてはいけないよね。
称賛に値する彼女の忍耐は半端なかったよ。
私の実家へと帰省中のきーちゃん。引き籠るのは、かまくら型の寝床。その前へと陣取る娘っ子。
きーちゃんのご飯であるドックフードを1粒だけ手の平へと乗せる娘っ子は、きーちゃんが食べてに出て来るのを期待して、そっと手を差し出す。そのままの姿勢を保つ。じっと我慢。じーっと我慢しては、その姿勢を崩さない娘っ子。
たった一粒のドックフードをきーちゃんの目の前へそっと差し出す。ただ、それだけの行為。
一見、簡単そうに見える。ただね、想像以上の長い時間をそのままの姿勢を保ち、ずっと遣り続けるとなれば、これが意外と骨が折れる。それに、きーちゃんが自分から食べに出て来る保証もない。それでも諦めない娘っ子。負担にも思っていな様子にも驚く。
長い長い時間が経過。
遂には、その時が来たよ。娘っ子の根気勝ち。
「ママっー! きーちゃんが食べたよ!」
娘っ子が叫ぶ。
かまくら型の寝床から顔を出すきーちゃん。娘っ子の手の平に置かれたドックフードを自分から食べたよ。きーちゃんにしてみれば、危害を加えるわけでもなく、ドックフードを手にしたまま動かない娘っ子に「この娘なら大丈夫かも……虐めないかも……」と安心したのかもしれない。
「本当?! 凄ーっい……!」
嬉しくて、思わず拍手する私。でも、本当に凄いのは此処から。
娘っ子は全てのドックフードを1粒ずつ、1粒ずつ、食べ切るまであげ続けのだ。その間、きーちゃんには一切触れることなく、ただ見守りながらの餌付け。きーちゃんが全てを食べ切るまで根気良く粘り強く、時間が掛かっても餌付け行為をやめない娘っ子。そして側に寄り添い続けた結果、きーちゃんは娘っ子を信頼した。
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あれだけ警戒心の強かったきーちゃんが、この日を境に娘っ子を母親の如く慕う。2人の間に絆が出来たのか、きーちゃんは娘っ子にベッタリ。娘っ子がいないと意気消沈するほどに、きーちゃんには彼女が全て。
日々、学校へと通う娘っ子。お留守番のきーちゃん。専業主婦の私がいてもきーちゃんには関係ない。きーちゃんには娘っ子が全てだから、彼女が居ない間はご飯も喉を通らず、水も一切口にしない。ただ、ワンコ用ミルクだけは飲むから助かった。
娘っ子が帰宅した途端、きーちゃんは大喜び。尻尾を全力で振り続け、玄関までお出迎えは当たり前。娘っ子がお風呂やトイレに入れば、彼女が出て来るまで扉前でお座りをしてずっと待つ。一歩も動かない。
忠犬ハ◯公ならぬ忠犬きーちゃん。
何処に行くにも離れない。
特に娘っ子が外泊の時は大変。
きーちゃんは娘っ子の姿が見えないことにショック。ご飯も水も一切食べない飲まない。家中を探し回り、娘っ子の部屋がある2階へと続く階段を見つめては、「……いつか降りて来るよね?」と、ずっと階段下で待っている。ずっとずっと待っているのだ。引き戻しても、すぐに階段下へと行ってしまう。
これには参った私。
そういう時は、母のアドバイスが功を成す。
「きーちゃんをウチに連れていらっしゃい。ミカンちゃんもいるし、楽しい犬社会も時には必要だよ。遠慮なく、連れておいでね」
ワンコが大好きな私の両親は、きーちゃんも我が子のように可愛がってくれる。それに、実家にはきーちゃんが慕う姐御肌のミカンちゃんがいる。そうと決まれば、早速実家へと預かりよろしく……お泊まりに行くきーちゃん。
すぐさま、母へと電話を掛ける私。
「きーちゃん……大丈夫?」
「全然大丈夫だから安心してね。きーちゃんもミカンちゃんがいるから落ち着いているよ」
母の言葉に安心。皆が皆、きーちゃんを大事にしてくれるのが嬉しい。
きーちゃんも犬社会は楽しいらしく、ミカンちゃんの後を付かず離れず、一緒にお布団で寝ては娘っ子の帰りを待ち侘びる。
* * * * * * * *
あの日以来、娘っ子に全幅の信頼を寄せたきーちゃん。
駆け寄る程に懐いたのだから分からないものだ。それに比べ、私達夫婦はきーちゃんからは格下扱い。軽くあしらわれる日々。それでも、きーちゃんが自由に歩き回る姿を見れたことが何よりも嬉しい。
だから、「良し」としよう。
ちなみに、きーちゃんが階段を登らないのは、一度目で転げ落ちたせい。痛い思いしたきーちゃんは学習したらしい。それに、保護以前に痛い思いを味わったせいかもしれない。
何故って?
振り上げられた手を見ると、耳を下げては震えるきーちゃんがいる。その哀れな様子がまさにそう。辛い記憶。切ない事情だね。
ワンコちゃんは賢い生きものだから、同じ目に遭わないように学習する。ワンコちゃんだって痛い思いは嫌だ。人の怒りにも敏感。それを忘れてはいけないよね。
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