新しい家族は保護犬きーちゃん

ゆきむらさり

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保護犬きーちゃん・帰省編

〈閑話〉実家のワンコちゃんの話・前

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此の場を借りて、少し実家の保護犬ちゃんのお話。

実は、此のお話エッセイを書く時には、実家の保護犬ハッサクちゃんは天国へと旅立っている。今現在、両親と暮らしているのは保護犬ミカンちゃんだけ。

犬好きの両親のこと。本音を言えば、新たな保護犬ちゃんを引き取りたいみたいだけど年齢の壁に阻まれる。高齢になると年齢的にも譲渡はしてもらえない。保護犬ちゃんを引き取る場合、その時点の里親の年齢は重要な要素とされている。

健康であれば十数年は生きるワンコちゃん。だから、酷な言い方をすれば、高齢に差し掛かる夫婦には、保護犬ちゃんが生きる年数以上の歳月を健在でいられるかがわからず、途中で放棄されても困るとの思いからお断りされる。

ならば……と、今いる保護犬ミカンちゃんに、いっぱいの愛情を注いでは慈しんでいる両親。勿論、実家に帰省する度に一緒に帰るきーちゃんもね。とっても可愛がってくれている。きーちゃんも帰省が大好き。

無類の犬好きな両親。彼等にはワンコちゃんは家族。我が子も同じ。



* * * * * * * *


さてと、保護犬ハッサクちゃん&ミカンちゃんのお話に戻るね。

犬好きの両親の愛情をいっぱいに受けて、ハッピーライフを送る保護犬ハッサクちゃんとミカンちゃん。とっても幸せだと思う。ただ、いくら幸せな人生を送っても最期の時は分からない。

老衰で大往生するワンコちゃんもいれば、我が家のピースちゃんもそうだけど、最期は苦しんで亡くなる子も多い。

保護犬ちゃんてね、案外病気を持っている子も多かったりする。ウチのきーちゃんもそうだから。ただね、世の中もそう捨てたものじゃないと思えるのは、その全てを受け入れてくれる里親もいるということ。私の両親もそう。重病を抱えていても引き取り、毎日のように動物病院に通い、手術で治るのなら費用も惜しまず、どんな事をしてでも治してあげようと奮闘する。

エゴではなく、純粋に愛情からだと見ていて思える。

動物が好きな人には我が子も同然。その我が子が病気になったとしたら、なんとしてでも治そうと奔走するもの。両親もそんな人達。

保護犬ハッサクちゃんも大変な最期だった。両目共に失明し、腎臓も機能していないから、毎日の透析も欠かせない。ヨレヨレになりながらも、それでも生きようと頑張る保護犬ハッサクちゃん。それを見守る両親と保護犬ミカンちゃん。

ただね、どれだけ治療をしても、どうにもならない時もある。

死に向かう内臓機能のおかげで、次第に物が食べれなくなる保護犬ハッサクちゃん。徐々に痩せ細り、しまいには骨と皮だけの哀れな姿に成り果てた時には、両親は後悔したらしい。それは、以前にいたサクラちゃんというワンコもそうだった。

治療中は食事制限を守り、獣医師から指示された物だけしか食べさせない。ただ、その頃は多少なり、まだ食欲はあったの。それを我慢させた事を後悔したんだって……。

もし、もう助からない命だったとしたら?

命の終わりが見えていたとしたら?

例え僅かでも食べられる時に、好きな物や食べたい物を食べさせてあげれば良かった……そう言っては後悔の涙を零す母。

物凄く、物凄く後悔したらしい。

まさに、後悔先に立たずだよね。

私もサクラちゃんと保護犬ハッサクちゃんの痩せ細った亡骸を見た時には、居た堪れない気持ちだったことを覚えている。涙が溢れて止まらないの。抱っこをしてあげたら、あり得ない程に軽いの。それが余計に追い打ちをかける。胸が痛むの。

以前通っていた動物病院の獣医さんが言っていた。

「もし、自分だったら……と考えた時に、最期を迎える時ぐらいは美味しいものを食べて、好きな事をしたいと思わない? 僕はそう思う。だから、最期を迎える時に病気だからといって我慢させる必要はないと思うよ。あくまでも僕の主観だけどね……でも、そう思ってしまうんだよ」

其の言葉が胸に響く。今でも忘れられない私がいるよ。

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