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道中編
5.田舎娘の衣装替え
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田舎娘の宝玉。実は、道中に衣装替えをしている。
「貧しい育ちで田舎者」とくれば、何となくは想像つくと思うが、これまでの宝玉が身に付けている衣装は……というよりは粗末なボロ着と言った方が早い。
ところどころが破れ、着古し、大自然の匂いまでしている。
さすがにこのままでは都入りはおろか、お天子様(皇帝陛下)が住まう王城へと入宮するのも憚られる。
それほどにボロを纏う宝玉。だが、当の本人はいたって平気。
「着飾る必要が? 畑仕事をするなら動きやすいのが一番だよ」
なにせ田舎の村での一人暮らし。気取る必要もない。誰に見せるわけでもなければ、畑仕事でどうせ汚れる。
「貧しい暮らしなら着る物があるだけマシです。これは親切な村の人が……息子が着れなくなったからと言って譲ってくれた物です。こればかりを着ているので、ところどころ破れておりますが、私にはこれでもれっきとした衣装です。それの何がいけないのです?」
憤然と告げる宝玉。
「言っておきますけど……こう見えても毎日湖水で水浴びはしておりますよ。意外と綺麗好きなのです」
冬場はさておき。そう、水浴びは欠かさない宝玉。一応、これでも女の子。そこらへんは気を遣う。
ただ、水浴びをしても身体を清める程度なので、どう頑張っても大自然の匂いは取れない。こんな田舎の村に鹸剤(※石鹸)などはない。
「綺麗な身体には綺麗な心と精神が宿る」と、得意げにうんちくまで披露する宝玉。
宝玉が言うように身に付けているボロは少年のもの。男装と言えば聞こえは良いが、腰ほどに伸びた長い髪がなければ、一見女とは気付かない。見えない。
「……胸もないゆえ、これでは男にしか見えない……」
「失礼ですよ、炫様! 一応は二つ付いております! ほらっ!」
と息巻く宝玉。
「どうだ!」と言わないばかりに胸を張って見せる。しかも得意げなところが「おまえは可愛いなぁ、宝玉」と高貴な貴人の心をくすぐる。まさに痘痕も靨。
憮然と言い返す宝玉はさておき、近臣の張武偉もサラリと告げる。
「確かに……これではあまりにも……」
「もうっ、武偉様まで! どうしてそんなに残念そうな顔をするのですか!」
ハハっ……ともう一人の護衛官の李暁明はただただ苦笑い。
◇
要は、少年のような出で立ち姿の宝玉では、とても後宮妃と呼ぶには程遠く、薄汚れたまま王城入りするのも憚られる。
端的に言えば不敬だ。
偉大な皇帝陛下の光王城に、外からの汚れや穢れを持ち込むことは許されない。入城前にも身奇麗にすることが望ましい。
そう、もはや失礼を通り越して無礼と言える宝玉の出で立ち。今は高貴な貴人の羽織で覆われているからまだマシなだけ。
そこで道中立ち寄った客舎(※宿)の一室を借り受け、この地方で一番有名な衣舗(※衣装店)から店の女店主と女中を呼びつける。
宝玉の為に、衣舗から店一番の上質な衣装一式を取り寄せ、衣装替えをすることに。
その姿には驚き桃の木……びっくり桃の木。
予想外の衣装で現れた宝玉に、高貴な貴人を始め、近臣の張武偉も驚嘆。
さて、どうなった?
「貧しい育ちで田舎者」とくれば、何となくは想像つくと思うが、これまでの宝玉が身に付けている衣装は……というよりは粗末なボロ着と言った方が早い。
ところどころが破れ、着古し、大自然の匂いまでしている。
さすがにこのままでは都入りはおろか、お天子様(皇帝陛下)が住まう王城へと入宮するのも憚られる。
それほどにボロを纏う宝玉。だが、当の本人はいたって平気。
「着飾る必要が? 畑仕事をするなら動きやすいのが一番だよ」
なにせ田舎の村での一人暮らし。気取る必要もない。誰に見せるわけでもなければ、畑仕事でどうせ汚れる。
「貧しい暮らしなら着る物があるだけマシです。これは親切な村の人が……息子が着れなくなったからと言って譲ってくれた物です。こればかりを着ているので、ところどころ破れておりますが、私にはこれでもれっきとした衣装です。それの何がいけないのです?」
憤然と告げる宝玉。
「言っておきますけど……こう見えても毎日湖水で水浴びはしておりますよ。意外と綺麗好きなのです」
冬場はさておき。そう、水浴びは欠かさない宝玉。一応、これでも女の子。そこらへんは気を遣う。
ただ、水浴びをしても身体を清める程度なので、どう頑張っても大自然の匂いは取れない。こんな田舎の村に鹸剤(※石鹸)などはない。
「綺麗な身体には綺麗な心と精神が宿る」と、得意げにうんちくまで披露する宝玉。
宝玉が言うように身に付けているボロは少年のもの。男装と言えば聞こえは良いが、腰ほどに伸びた長い髪がなければ、一見女とは気付かない。見えない。
「……胸もないゆえ、これでは男にしか見えない……」
「失礼ですよ、炫様! 一応は二つ付いております! ほらっ!」
と息巻く宝玉。
「どうだ!」と言わないばかりに胸を張って見せる。しかも得意げなところが「おまえは可愛いなぁ、宝玉」と高貴な貴人の心をくすぐる。まさに痘痕も靨。
憮然と言い返す宝玉はさておき、近臣の張武偉もサラリと告げる。
「確かに……これではあまりにも……」
「もうっ、武偉様まで! どうしてそんなに残念そうな顔をするのですか!」
ハハっ……ともう一人の護衛官の李暁明はただただ苦笑い。
◇
要は、少年のような出で立ち姿の宝玉では、とても後宮妃と呼ぶには程遠く、薄汚れたまま王城入りするのも憚られる。
端的に言えば不敬だ。
偉大な皇帝陛下の光王城に、外からの汚れや穢れを持ち込むことは許されない。入城前にも身奇麗にすることが望ましい。
そう、もはや失礼を通り越して無礼と言える宝玉の出で立ち。今は高貴な貴人の羽織で覆われているからまだマシなだけ。
そこで道中立ち寄った客舎(※宿)の一室を借り受け、この地方で一番有名な衣舗(※衣装店)から店の女店主と女中を呼びつける。
宝玉の為に、衣舗から店一番の上質な衣装一式を取り寄せ、衣装替えをすることに。
その姿には驚き桃の木……びっくり桃の木。
予想外の衣装で現れた宝玉に、高貴な貴人を始め、近臣の張武偉も驚嘆。
さて、どうなった?
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