17 / 40
囚われの花姫と無情な宣告
しおりを挟む
「姫様、姫様ー、どうかお願いです……少しでも何か召し上がって下さい……!」
花姫に仕える側仕えが必死に訴えるも、絶望の淵に沈む花姫アリーシアからは、何の言葉も零れない。
黄金造りの美しい宮殿。
花の宮の最奥には、花姫と呼ばれる最高位の美しい姫が座している。
艶やかな紅色の髪に、若葉のような生き生きとした緑翠の瞳を併せ持つ今代の花姫は、今は酷くやつれて、精彩を欠いている。
ーしかし、今は花の宮の最奥、更にその地下に存在する花の牢獄へと繋がれている花姫アリーシア。
代々の花姫が過ちを犯した際に、閉じ籠める為に造られた花の牢獄。
花姫を外界から護る意味をも持つ花の牢獄には、今は憔悴した花姫アリーシアが、もう幾日も繋がれては涙に暮れている。
美しい緑の蔦に覆われ、郷長による特殊な保護術が施されている所為で、今の憔悴した花姫アリーシアには、簡単には抜け出すには無理がある。
花姫アリーシアの足には、牢獄を覆う緑の蔦が伸びては、その細い足首に絡まり、自由を奪っている。
今の花姫アリーシアは、その身の使い道故か、大切に保護されている事は間違いはない。
花姫としての額の力が失われようともー、その清らかな純潔が失われようともー、次代の花姫は花姫からしか産まれない。
どう足掻こうとも花姫の身は、尊き身である事には変わりはない。
そうー、花姫アリーシアが、今もこうして大切に花の牢獄へと保護されているのは、当初の予定通りに、花姫アリーシアを花の民の男と番わせ、次代の花姫をその胎に、確実に孕ませる事に他ならない。
竜帝の元からひっそりと立ち去り、逃れようと樹々の隠れ屋から出た花姫アリーシア。
その目の前に佇む郷長ら。
逃げた花姫を迎えにー、云うなれば捉えに現れた郷長とその側仕え。
「……あっ! いやっ!……ああっー……」
花姫アリーシアを捉えた郷長は、すぐさま花姫アリーシアを眠らせると瞬時に立ち去り、花の民が暮らす隠れ郷へと連れ戻す。
そして郷長は、花姫アリーシアに無情にも告げる。
「姫様ー、この郷から外界へと出られた事は、あえて罪には問いませぬ。花姫であられる姫様は、その身が穢されようともやはり尊き身。ーならば、その身に次代の花姫を宿してもらいます。当初の予定通りに、花の民の男と番い、その尊き身には、必ずや御子を孕んで頂きます……その日までは、此処からは出しませぬ。ゆるりと此処で、静かに日々をお過ごし下さい、我らの姫様ー」
事実上の監禁と呼べる措置。
「御子を孕めー」と、無情な宣告。
その日から涙に暮れる花姫アリーシア。
(ああっ、嫌よ!……あの方以外の民と番うぐらいなら、いっそうのこと死んでしまいたいー……!)
もはや食す事もせずに、打ちひしがれる花姫アリーシア。
もう幾日かー、刻の概念さえわからず、花の牢獄にて繋がれたままの花姫アリーシア。
花の牢獄に置かれた簡素な寝台にて、眠れない夜を過ごす花姫アリーシアは、絶望の淵に落ち入る。
花姫に仕える側仕えが必死に訴えるも、絶望の淵に沈む花姫アリーシアからは、何の言葉も零れない。
黄金造りの美しい宮殿。
花の宮の最奥には、花姫と呼ばれる最高位の美しい姫が座している。
艶やかな紅色の髪に、若葉のような生き生きとした緑翠の瞳を併せ持つ今代の花姫は、今は酷くやつれて、精彩を欠いている。
ーしかし、今は花の宮の最奥、更にその地下に存在する花の牢獄へと繋がれている花姫アリーシア。
代々の花姫が過ちを犯した際に、閉じ籠める為に造られた花の牢獄。
花姫を外界から護る意味をも持つ花の牢獄には、今は憔悴した花姫アリーシアが、もう幾日も繋がれては涙に暮れている。
美しい緑の蔦に覆われ、郷長による特殊な保護術が施されている所為で、今の憔悴した花姫アリーシアには、簡単には抜け出すには無理がある。
花姫アリーシアの足には、牢獄を覆う緑の蔦が伸びては、その細い足首に絡まり、自由を奪っている。
今の花姫アリーシアは、その身の使い道故か、大切に保護されている事は間違いはない。
花姫としての額の力が失われようともー、その清らかな純潔が失われようともー、次代の花姫は花姫からしか産まれない。
どう足掻こうとも花姫の身は、尊き身である事には変わりはない。
そうー、花姫アリーシアが、今もこうして大切に花の牢獄へと保護されているのは、当初の予定通りに、花姫アリーシアを花の民の男と番わせ、次代の花姫をその胎に、確実に孕ませる事に他ならない。
竜帝の元からひっそりと立ち去り、逃れようと樹々の隠れ屋から出た花姫アリーシア。
その目の前に佇む郷長ら。
逃げた花姫を迎えにー、云うなれば捉えに現れた郷長とその側仕え。
「……あっ! いやっ!……ああっー……」
花姫アリーシアを捉えた郷長は、すぐさま花姫アリーシアを眠らせると瞬時に立ち去り、花の民が暮らす隠れ郷へと連れ戻す。
そして郷長は、花姫アリーシアに無情にも告げる。
「姫様ー、この郷から外界へと出られた事は、あえて罪には問いませぬ。花姫であられる姫様は、その身が穢されようともやはり尊き身。ーならば、その身に次代の花姫を宿してもらいます。当初の予定通りに、花の民の男と番い、その尊き身には、必ずや御子を孕んで頂きます……その日までは、此処からは出しませぬ。ゆるりと此処で、静かに日々をお過ごし下さい、我らの姫様ー」
事実上の監禁と呼べる措置。
「御子を孕めー」と、無情な宣告。
その日から涙に暮れる花姫アリーシア。
(ああっ、嫌よ!……あの方以外の民と番うぐらいなら、いっそうのこと死んでしまいたいー……!)
もはや食す事もせずに、打ちひしがれる花姫アリーシア。
もう幾日かー、刻の概念さえわからず、花の牢獄にて繋がれたままの花姫アリーシア。
花の牢獄に置かれた簡素な寝台にて、眠れない夜を過ごす花姫アリーシアは、絶望の淵に落ち入る。
応援ありがとうございます!
10
お気に入りに追加
173
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる