4 / 21
4
しおりを挟む
俺の両腕にはまだ魔導具がついている。
行動制限と魔法の制限がかかった魔導具があの日からついているが、それ以外の制限は無い。城の外には出られないが城の中なら自由に動き回れる。監視もない。体力の回復のためにも少しずつ運動量を増やしていこうと言われ、俺は毎朝、昼、夕の1時間ほど散歩がてらに城の中を探索している。
謁見室で皇帝から何がしたいかと問われ俺はすぐには返事ができなかった。
伯爵家の四男だった俺が生きていくには文官になるか騎士になるかしかなかった。騎士になり戦い方を学び、国のために人々の為になるならと出来ることを精一杯続けてきた。
それはやりたいから続けてきたわけではなかった。
作戦を考えるのは楽しかったが生き残るため仲間を守るため家族友人たちを守るためにしてきたこと。
俺は本当は何がしたいのだろうか…。
散歩から戻ると部屋にはロキがいた。
奈落から助け出された後、ずっと俺の治療にあたってくれた少年ロキは今でも俺の様子を見に顔を出してくれる。
「城内を歩いてきたんですか?」
「あぁ、1時間ほど歩き回っても息が切れなくなった。少しずつ体力が戻ってきてる。走り込みをしてもいいかロキに確認しようと思っていたんだ」
俺の脈を取り体調確認していくロキに聞くと呆れた顔をされ、ため息をつかれた。どうやら時期尚早だったらしい。
「いや…まぁ、無理をしなければ構いません。ただ負荷のかかる事はまだしないでください。あなたは死にかけたんです。自覚してくださいね!」
「ありがとう!1時間では回れる範囲が限られていたんだ。食事が届く時間やロキが来ることを考えると時間がなくてな!走って回れるとなればもう少し範囲を広げられる!」
ライスドリュー城内はとても広く迷路のようになっていて子供の頃に戻ったようで見て回るだけで楽しかった。
庭園の門の奥まで進みたかったが時間が足りず何度も引き返していたが今度からは奥まで探索ができそうだ。
「ロキは若いのに手際がいいよな?いつからこの仕事で働いているんだ?」
採血後ロキがカルテを記入している姿を見てあまりに手慣れた様子にふと疑問が浮かんだ。15、6歳に見えるロキは手慣れた様子で俺の処置をしてくれている。何十年とこなしてきたかのようなベテランの動きだ。ずっと違和感を感じていた。
「…私の年齢は100歳を超えています。正確に言うと134歳です。もういい加減、自分の歳を数えるのをやめようかと思っていますよ」
「ひゃ…百…歳?」
「エルフの中では生まれたてと言われるくらい若造ですがあなた達人間に比べたら長生きしてますよ?」
エルフ特有の長い耳ではないロキを見ると信じられないがロキがそんな冗談を言うとは思えない。
「私は人間とのハーフなのでエルフ特有の耳はついていません。人間の父が亡くなり1人で彷徨っている所をアレクサンドロス陛下に拾われました。その頃の陛下はまだ皇太子で自分には敵が多いから絶対に裏切らないと誓うなら拾ってやると…」
俺は無意識にロキの耳を凝視していたのだろう。恥ずかしそうに耳を触りながら話してくれた。
「医者だった父の仕事の手伝いを昔からしていたのもあって医療には元々詳しかったので殿下に何がしたいか聞かれ医療を極めたいと答えました。少しでも父との思い出を残しておきたかったので…そして殿下の力になると誓いました」
ロキは俺のほうを見ると優しく微笑む。
「陛下に問われて何がしたいのか…悩んでるんでしょう?ジークは今まで精一杯頑張ってきたんですからゆっくり見つければいいと思いますよ。貴方が嬉しく感じた時、心から望んだ時に自ずとやりたいことは見つけられると思います。ジークが幸せを感じられる何かが見つかることを祈っています」
ロキに握られた両手は温かく、その温かさは心にまで広がった。
行動制限と魔法の制限がかかった魔導具があの日からついているが、それ以外の制限は無い。城の外には出られないが城の中なら自由に動き回れる。監視もない。体力の回復のためにも少しずつ運動量を増やしていこうと言われ、俺は毎朝、昼、夕の1時間ほど散歩がてらに城の中を探索している。
謁見室で皇帝から何がしたいかと問われ俺はすぐには返事ができなかった。
伯爵家の四男だった俺が生きていくには文官になるか騎士になるかしかなかった。騎士になり戦い方を学び、国のために人々の為になるならと出来ることを精一杯続けてきた。
それはやりたいから続けてきたわけではなかった。
作戦を考えるのは楽しかったが生き残るため仲間を守るため家族友人たちを守るためにしてきたこと。
俺は本当は何がしたいのだろうか…。
散歩から戻ると部屋にはロキがいた。
奈落から助け出された後、ずっと俺の治療にあたってくれた少年ロキは今でも俺の様子を見に顔を出してくれる。
「城内を歩いてきたんですか?」
「あぁ、1時間ほど歩き回っても息が切れなくなった。少しずつ体力が戻ってきてる。走り込みをしてもいいかロキに確認しようと思っていたんだ」
俺の脈を取り体調確認していくロキに聞くと呆れた顔をされ、ため息をつかれた。どうやら時期尚早だったらしい。
「いや…まぁ、無理をしなければ構いません。ただ負荷のかかる事はまだしないでください。あなたは死にかけたんです。自覚してくださいね!」
「ありがとう!1時間では回れる範囲が限られていたんだ。食事が届く時間やロキが来ることを考えると時間がなくてな!走って回れるとなればもう少し範囲を広げられる!」
ライスドリュー城内はとても広く迷路のようになっていて子供の頃に戻ったようで見て回るだけで楽しかった。
庭園の門の奥まで進みたかったが時間が足りず何度も引き返していたが今度からは奥まで探索ができそうだ。
「ロキは若いのに手際がいいよな?いつからこの仕事で働いているんだ?」
採血後ロキがカルテを記入している姿を見てあまりに手慣れた様子にふと疑問が浮かんだ。15、6歳に見えるロキは手慣れた様子で俺の処置をしてくれている。何十年とこなしてきたかのようなベテランの動きだ。ずっと違和感を感じていた。
「…私の年齢は100歳を超えています。正確に言うと134歳です。もういい加減、自分の歳を数えるのをやめようかと思っていますよ」
「ひゃ…百…歳?」
「エルフの中では生まれたてと言われるくらい若造ですがあなた達人間に比べたら長生きしてますよ?」
エルフ特有の長い耳ではないロキを見ると信じられないがロキがそんな冗談を言うとは思えない。
「私は人間とのハーフなのでエルフ特有の耳はついていません。人間の父が亡くなり1人で彷徨っている所をアレクサンドロス陛下に拾われました。その頃の陛下はまだ皇太子で自分には敵が多いから絶対に裏切らないと誓うなら拾ってやると…」
俺は無意識にロキの耳を凝視していたのだろう。恥ずかしそうに耳を触りながら話してくれた。
「医者だった父の仕事の手伝いを昔からしていたのもあって医療には元々詳しかったので殿下に何がしたいか聞かれ医療を極めたいと答えました。少しでも父との思い出を残しておきたかったので…そして殿下の力になると誓いました」
ロキは俺のほうを見ると優しく微笑む。
「陛下に問われて何がしたいのか…悩んでるんでしょう?ジークは今まで精一杯頑張ってきたんですからゆっくり見つければいいと思いますよ。貴方が嬉しく感じた時、心から望んだ時に自ずとやりたいことは見つけられると思います。ジークが幸せを感じられる何かが見つかることを祈っています」
ロキに握られた両手は温かく、その温かさは心にまで広がった。
20
あなたにおすすめの小説
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
【完結】冷酷騎士団長を助けたら口移しでしか薬を飲まなくなりました
ざっしゅ
BL
異世界に転移してから一年、透(トオル)は、ゲームの知識を活かし、薬師としてのんびり暮らしていた。ある日、突然現れた洞窟を覗いてみると、そこにいたのは冷酷と噂される騎士団長・グレイド。毒に侵された彼を透は助けたが、その毒は、キスをしたり体を重ねないと完全に解毒できないらしい。
タイトルに※印がついている話はR描写が含まれています。
「大人扱いしていい?」〜純情当主、執務室で策士な従兄の『相性確認』にハメられる〜
中山(ほ)
BL
「ルイン、少し口開けてみて」
仕事終わりの静かな執務室。
差し入れの食事と、ポーションの瓶。
信頼していた従兄のトロンに誘われるまま、
ルインは「大人の相性確認」を始めることになる。
【完結】《BL》溺愛しないで下さい!僕はあなたの弟殿下ではありません!
白雨 音
BL
早くに両親を亡くし、孤児院で育ったテオは、勉強が好きだった為、修道院に入った。
現在二十歳、修道士となり、修道院で静かに暮らしていたが、
ある時、強制的に、第三王子クリストフの影武者にされてしまう。
クリストフは、テオに全てを丸投げし、「世界を見て来る!」と旅に出てしまった。
正体がバレたら、処刑されるかもしれない…必死でクリストフを演じるテオ。
そんなテオに、何かと構って来る、兄殿下の王太子ランベール。
どうやら、兄殿下と弟殿下は、密な関係の様で…??
BL異世界恋愛:短編(全24話) ※魔法要素ありません。※一部18禁(☆印です)
《完結しました》
身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される
秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました!
最終17位でした!応援ありがとうございます!
あらすじ
魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。
ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。
死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――?
傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。
天上の果実
曙なつき
BL
大きな果実の実が頭に当たったことにより、記憶を失った婚約者のルシス。
目を覚ました彼に、私はこう言った。
「愛しい人。あなたと私は愛し合っていました。来年には式を挙げる予定なのですよ」
それは少しの真実と多くの嘘を織り交ぜた言葉だった。
ルシスは私を嫌い、厭うていた。
記憶を無くした少年と、彼を囲いこむ王子の物語です。
※なお、ルシスの兄と弟の物語も併せて掲載します。完結まで予約済みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる