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次の日の朝、執務室に入ると魔法部の職員が立っていた。
「…失礼しました。魔法部の方々とのお話中でしたら私は外で終わるまで待機してます」
「こいつらはお前に用がある。腕の魔導具を取ってもらえ」
陛下が手を挙げて魔法部の職員達に指示を出すと彼らは俺の腕に付いた魔導具を外していく。
「え?!いや…これを取ってしまったら私は自由になってしまいます。魔法も使えてしまいますし、逃走だって簡単にできてしまいますよ?」
俺の両腕の魔導具を外す魔法部の職員に伝えると彼らは困った顔をした。
「私もそうお伝えしたのですが…陛下が外すと判断をされましたので…」
「な?!陛下!魔導具の制限がなければ私は陛下に襲いかかる事も可能です。そんな危険なことしないでください」
執務椅子に座ったまま魔導具を外すのを見ていた陛下に向かい抗議するが陛下は目を細め笑う。
「私に襲いかかるやつがそんな心配はしないだろう?それに私は襲いかかられても負けるつもりはない。そしてお前を逃走させるつもりもない」
魔法部の職員は俺の魔導具を外すと執務室を出ていった。
陛下は何事もないように仕事をしている。
「陛下…私は捕虜です。陛下の護衛任務もありえないと言うのに行動制限の魔導具を外してしまうなんて正気の沙汰ではありません」
「何度も言わせるな。魔道具がなくても私はお前に負けるほど弱くない。それに護衛騎士が万全の状態でない方がおかしいだろう。魔法が使えないでどうやって私の護衛をするのだ?」
「剣があれば大体の襲撃には対応できます。いざとなったら体を張ってでも陛下をお守りしますよ」
腕を組み、怪訝そうな顔をする陛下に返事をすると眉がピクリと動き、不穏な空気が流れる。
「私の目の前で体を張って怪我などするそんなこと許さない。自分の命を大事にしないやつは絶対に許さん」
陛下の真っ赤な目が俺をじっと見つめる。
燃えるような瞳で見つめられると俺の心の中まで覗き込まれているようで落ち着かない。
「申し訳ございません。しかし目の前に危険が迫っていたら自分自身を止めることはできません。それが陛下であろうと誰であろうと守ります」
「ふ…ハハッ!その返事はお前らしくていいな。ではまずこれから来る宰相から私を守ってくれ。アイツらは怖くてたまらん」
…部屋の扉がノックされる。
部屋に入ってきたのは皇后アフロディーテ陛下と宰相のミネルヴァだった。
「陛下失礼します。今期の軍事費について…」
「あら…貴方がジークフリードかしら?」
書類を手に話すミネルヴァの声を遮り俺に話しかけてきたのはアフロディーテだ。俺は皇后陛下の方を向き、頭を下げる。
「皇后陛下にご挨拶させていただきます。皇帝陛下の護衛を務めます。ジークフリードです」
皇后は俺に頭を上げるように言うと、微笑みかけてくる。
「ヴィーザルがとても世話になっていると聞きました。あの子は完璧を求めてしまうので相手をするのも大変でしょう。でも軍事記録を見て生き生きした表情を見せられると、私もなかなか止められなくて…もうしばらく付き合ってくれることを願うわ」
普段のキリッとした表情ではなく母の顔を見せた皇后は優しく笑う。
「私に出来ることであれば力を尽くします」
「それより陛下。軍事費についてご相談です。先日の遠征費が…」
宰相が皇帝に詰め寄って話をしている横で、皇后が俺に話しかけてくる。
「陛下とはどのくらい仲良くなったのですか?」
「仲良く…ですか?まだ護衛についてからそれほど日も経っていないのでこれから陛下の力になれるよう力を尽くしてまいります」
きょとんとした顔で俺を見つめた後、拗ねたように詰め寄ってくる。
「もう!そうじゃなくって!もっとトキメク話もあるのでしょ?どんなに提案しても近くに誰もおきたがらなかった陛下が自ら護衛騎士を選んだのよ!しかも元敵国の騎士というじゃない!何か運命的なものがあったんだと思ったんだけど?」
「運命的なもの…ですか?いえ…特には…。護衛につく前、陛下に会ったのは謁見で2回だけですし…これと言った話もしていません」
押し倒されんばかりに詰め寄られていた俺を助け出してくれたのは皇帝陛下だった。皇后を片手で制止し俺を後ろから抱きかかえるように持ち上げる。
「ジークを虐めるな。まだ何もない。何かあればちゃんと報告をする」
皇后に向かってそう言うと皇帝は俺を抱えていた手を離し、宰相が待っている執務机に戻る。
助けてくれた…のだろうか?離れていく陛下をじっと眺めていると横から皇后が小さくつぶやいた。
「本気…だね」
「…失礼しました。魔法部の方々とのお話中でしたら私は外で終わるまで待機してます」
「こいつらはお前に用がある。腕の魔導具を取ってもらえ」
陛下が手を挙げて魔法部の職員達に指示を出すと彼らは俺の腕に付いた魔導具を外していく。
「え?!いや…これを取ってしまったら私は自由になってしまいます。魔法も使えてしまいますし、逃走だって簡単にできてしまいますよ?」
俺の両腕の魔導具を外す魔法部の職員に伝えると彼らは困った顔をした。
「私もそうお伝えしたのですが…陛下が外すと判断をされましたので…」
「な?!陛下!魔導具の制限がなければ私は陛下に襲いかかる事も可能です。そんな危険なことしないでください」
執務椅子に座ったまま魔導具を外すのを見ていた陛下に向かい抗議するが陛下は目を細め笑う。
「私に襲いかかるやつがそんな心配はしないだろう?それに私は襲いかかられても負けるつもりはない。そしてお前を逃走させるつもりもない」
魔法部の職員は俺の魔導具を外すと執務室を出ていった。
陛下は何事もないように仕事をしている。
「陛下…私は捕虜です。陛下の護衛任務もありえないと言うのに行動制限の魔導具を外してしまうなんて正気の沙汰ではありません」
「何度も言わせるな。魔道具がなくても私はお前に負けるほど弱くない。それに護衛騎士が万全の状態でない方がおかしいだろう。魔法が使えないでどうやって私の護衛をするのだ?」
「剣があれば大体の襲撃には対応できます。いざとなったら体を張ってでも陛下をお守りしますよ」
腕を組み、怪訝そうな顔をする陛下に返事をすると眉がピクリと動き、不穏な空気が流れる。
「私の目の前で体を張って怪我などするそんなこと許さない。自分の命を大事にしないやつは絶対に許さん」
陛下の真っ赤な目が俺をじっと見つめる。
燃えるような瞳で見つめられると俺の心の中まで覗き込まれているようで落ち着かない。
「申し訳ございません。しかし目の前に危険が迫っていたら自分自身を止めることはできません。それが陛下であろうと誰であろうと守ります」
「ふ…ハハッ!その返事はお前らしくていいな。ではまずこれから来る宰相から私を守ってくれ。アイツらは怖くてたまらん」
…部屋の扉がノックされる。
部屋に入ってきたのは皇后アフロディーテ陛下と宰相のミネルヴァだった。
「陛下失礼します。今期の軍事費について…」
「あら…貴方がジークフリードかしら?」
書類を手に話すミネルヴァの声を遮り俺に話しかけてきたのはアフロディーテだ。俺は皇后陛下の方を向き、頭を下げる。
「皇后陛下にご挨拶させていただきます。皇帝陛下の護衛を務めます。ジークフリードです」
皇后は俺に頭を上げるように言うと、微笑みかけてくる。
「ヴィーザルがとても世話になっていると聞きました。あの子は完璧を求めてしまうので相手をするのも大変でしょう。でも軍事記録を見て生き生きした表情を見せられると、私もなかなか止められなくて…もうしばらく付き合ってくれることを願うわ」
普段のキリッとした表情ではなく母の顔を見せた皇后は優しく笑う。
「私に出来ることであれば力を尽くします」
「それより陛下。軍事費についてご相談です。先日の遠征費が…」
宰相が皇帝に詰め寄って話をしている横で、皇后が俺に話しかけてくる。
「陛下とはどのくらい仲良くなったのですか?」
「仲良く…ですか?まだ護衛についてからそれほど日も経っていないのでこれから陛下の力になれるよう力を尽くしてまいります」
きょとんとした顔で俺を見つめた後、拗ねたように詰め寄ってくる。
「もう!そうじゃなくって!もっとトキメク話もあるのでしょ?どんなに提案しても近くに誰もおきたがらなかった陛下が自ら護衛騎士を選んだのよ!しかも元敵国の騎士というじゃない!何か運命的なものがあったんだと思ったんだけど?」
「運命的なもの…ですか?いえ…特には…。護衛につく前、陛下に会ったのは謁見で2回だけですし…これと言った話もしていません」
押し倒されんばかりに詰め寄られていた俺を助け出してくれたのは皇帝陛下だった。皇后を片手で制止し俺を後ろから抱きかかえるように持ち上げる。
「ジークを虐めるな。まだ何もない。何かあればちゃんと報告をする」
皇后に向かってそう言うと皇帝は俺を抱えていた手を離し、宰相が待っている執務机に戻る。
助けてくれた…のだろうか?離れていく陛下をじっと眺めていると横から皇后が小さくつぶやいた。
「本気…だね」
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