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「先日、母がジークに詰め寄ったと宰相から聞きました。失礼な事をしませんでしたか?」
軍事学の授業が始まる前に神妙な顔で聞いてくるヴィーザル皇太子は先の陛下の執務室で宰相と皇后陛下に会った時のことを心配している様子だった。
「いや!詰め寄ったなんて…違いますよ!ただ、普段人々の前に立たれている皇后陛下とは雰囲気が違ったので少し驚きました。とても優しく声をかけていただきましたよ」
授業の為に過去の軍事記録が広げられた広い机に向かい合って座っていたが今日は授業をする雰囲気にはなりそうにない。俺は立ち上がると横に準備されていたお茶を淹れ殿下にお出しする。
「母は元々お転婆で落ち着きがない性格だそうで、父と母そして宰相は幼馴染だそうです。宰相からよく小さい頃の2人の話を聞かされたのですが、ほとんどが母に振り回されていたという話です。父との結婚も母が強行したと聞きました」
紅茶の入ったカップを美しい所作で飲むヴィーザルは両親のいいところをすべて受け継いだのでは?と思うほどの美しさだった。その洗練された姿に惚れない令嬢はいないだろう。あまりの美しさに見惚れてしまった。
「でも、ジークが嫌な気持ちにならなかったのならよかったです。母は社交界での姿は別として元々裏表のない性格なので何か言われたとしても深い意味はないはずです」
自分の分の紅茶を入れ席に着くと、目の前に座るヴィーザル殿下を見つめる。努力家で、周りがよく見えて、こうやって臣下への思いやりもある。完璧な彼はどんな素敵な王になるのだろう。
彼が統治する国はきっと国民が住みやすい素敵な国にきっとなる。軍事学など戦争がない世界では役に立たない。戦争が起こる前に…戦争起こらないような国を彼なら作れるだろう。
私の授業を1つとして聞き逃すまいと頑張っている殿下の姿にいつも胸が熱くなる。すべてにおいて全力で向かっていく。きっと彼は賢王と呼ばれる素晴らしい王になれるはずだ。
「皇帝陛下がヴィーザル殿下は皇后陛下によく似ていると仰っていました。お顔は皇帝陛下によく似ていらっしゃると私は思うのですが皇后陛下と似ているところもあるのですか?」
「そうですね…。宰相からは思い込んだら猪突猛進が過ぎるとよく言われます。母と一緒で止まることを知らないと」
少し頬を赤らめ母の話をする姿は年相応の青年に見えるヴィーザル殿下にしか見せない母親の姿や昔の陛下がたの話を聞く。
「本当の皇后陛下の姿を聞くと面白い方なのですね。普段の様子を聞くと先日の皇后陛下のあの表情の意味が分かりました。私の事を面白がっておられたのでしょう。そして皇后陛下が皇帝陛下のことをとても愛されているのを感じます」
俺の言葉を聞き、少し悩んだ様子を見せたヴィーザル殿下は俺のほうを見ると困った顔をした後、また話し出す。
「…両親の関係はどちらかといえば同志です。母はいつも言ってました。『皇帝陛下の力になりたい』と。力の無い皇子だった父が皇帝になれたのは強かったのもありますが、公爵家の母と結婚し後援者が出来たのもあります。そして、宰相となったミネルヴァが父を支持したことも大きいです。彼らは若い頃に約束したそうです。私たちが幸せになるために、まずは世の中から争いをなくし理不尽な悲しみが生まれないように。そして国民を皆を幸せにすると…」
俺をじっと見つめるヴィーザル殿下の瞳はキラキラしていた。未来への想いが、夢が、希望が、たくさん詰まった瞳。
「いつかそんな世界が見られると私は信じています」
彼の口から出たその言葉は迷いがない。
誰も国の争いで傷つかない。
無駄な争いで命を落とすことがない世界。
「はい。私も信じています。いつか争いのない世界が来ること。そしてそんな素敵な世界をヴィーザル殿下が長く統治してくださるのを期待します」
軍事学の授業が始まる前に神妙な顔で聞いてくるヴィーザル皇太子は先の陛下の執務室で宰相と皇后陛下に会った時のことを心配している様子だった。
「いや!詰め寄ったなんて…違いますよ!ただ、普段人々の前に立たれている皇后陛下とは雰囲気が違ったので少し驚きました。とても優しく声をかけていただきましたよ」
授業の為に過去の軍事記録が広げられた広い机に向かい合って座っていたが今日は授業をする雰囲気にはなりそうにない。俺は立ち上がると横に準備されていたお茶を淹れ殿下にお出しする。
「母は元々お転婆で落ち着きがない性格だそうで、父と母そして宰相は幼馴染だそうです。宰相からよく小さい頃の2人の話を聞かされたのですが、ほとんどが母に振り回されていたという話です。父との結婚も母が強行したと聞きました」
紅茶の入ったカップを美しい所作で飲むヴィーザルは両親のいいところをすべて受け継いだのでは?と思うほどの美しさだった。その洗練された姿に惚れない令嬢はいないだろう。あまりの美しさに見惚れてしまった。
「でも、ジークが嫌な気持ちにならなかったのならよかったです。母は社交界での姿は別として元々裏表のない性格なので何か言われたとしても深い意味はないはずです」
自分の分の紅茶を入れ席に着くと、目の前に座るヴィーザル殿下を見つめる。努力家で、周りがよく見えて、こうやって臣下への思いやりもある。完璧な彼はどんな素敵な王になるのだろう。
彼が統治する国はきっと国民が住みやすい素敵な国にきっとなる。軍事学など戦争がない世界では役に立たない。戦争が起こる前に…戦争起こらないような国を彼なら作れるだろう。
私の授業を1つとして聞き逃すまいと頑張っている殿下の姿にいつも胸が熱くなる。すべてにおいて全力で向かっていく。きっと彼は賢王と呼ばれる素晴らしい王になれるはずだ。
「皇帝陛下がヴィーザル殿下は皇后陛下によく似ていると仰っていました。お顔は皇帝陛下によく似ていらっしゃると私は思うのですが皇后陛下と似ているところもあるのですか?」
「そうですね…。宰相からは思い込んだら猪突猛進が過ぎるとよく言われます。母と一緒で止まることを知らないと」
少し頬を赤らめ母の話をする姿は年相応の青年に見えるヴィーザル殿下にしか見せない母親の姿や昔の陛下がたの話を聞く。
「本当の皇后陛下の姿を聞くと面白い方なのですね。普段の様子を聞くと先日の皇后陛下のあの表情の意味が分かりました。私の事を面白がっておられたのでしょう。そして皇后陛下が皇帝陛下のことをとても愛されているのを感じます」
俺の言葉を聞き、少し悩んだ様子を見せたヴィーザル殿下は俺のほうを見ると困った顔をした後、また話し出す。
「…両親の関係はどちらかといえば同志です。母はいつも言ってました。『皇帝陛下の力になりたい』と。力の無い皇子だった父が皇帝になれたのは強かったのもありますが、公爵家の母と結婚し後援者が出来たのもあります。そして、宰相となったミネルヴァが父を支持したことも大きいです。彼らは若い頃に約束したそうです。私たちが幸せになるために、まずは世の中から争いをなくし理不尽な悲しみが生まれないように。そして国民を皆を幸せにすると…」
俺をじっと見つめるヴィーザル殿下の瞳はキラキラしていた。未来への想いが、夢が、希望が、たくさん詰まった瞳。
「いつかそんな世界が見られると私は信じています」
彼の口から出たその言葉は迷いがない。
誰も国の争いで傷つかない。
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「はい。私も信じています。いつか争いのない世界が来ること。そしてそんな素敵な世界をヴィーザル殿下が長く統治してくださるのを期待します」
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