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第一章 赤い炎は優しい雨に打たれる
第11話
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拓哉は写真の裏に手紙がないことに気付き、驚きの声をあげた。
「手紙?」
颯希がその言葉に声を出す。
「あぁ……。兄のお嫁さんである三和子さんが私に送った手紙だ。その手紙を読んで……」
拓哉の声は震えていた。その様子からいい内容の手紙ではないことが伺われる。
「どんな内容の手紙だったのですか?」
颯希の問いに拓哉は話すべきかどうか悩んだ。でも、その手紙が原因だとしたら、静也のことを心配して何とかしようとしている颯希たちに話さないわけにもいかない。拓哉はゆっくりと話し始めた。
「――――と、いうことなんだ……」
話し終えて息を深く吐く。その表情は苦悶に満ちていた。
「てことは静也くん、その内容を誤解しているかもしれないね。その相手が拓哉さんだと勘違いしているかもしれない……」
「確かにそんだけしか書かれていないならその可能性はあるわな……」
「明日、静也くんと話をしましょう!」
颯希の言葉で明日、静也を捕まえて話をしようということになった。拓哉は静也が帰って来た時に話すと言ったのだが、聞く耳を持たない可能性があるからみんなが集まってから話そうということになる。拓哉もそれを了承する。明日はちょうど学校が創立記念日でお休みということがあり、朝の十時にまた来る約束をしてそれぞれ家に帰っていった。
その頃、静也は浜辺で幸雄と並んで座っていた。
「俺……すげぇ怖いんだ。自分の思っていることが本当だったら父さんとこれからどうやって過ごしていけばいいんだろうって……。もし、それが本当だった場合、俺はきっと今までのようには暮らせなくなる。家を出ていくと思う。でも、どこにも行けないから場合によっては施設とかになるのかなぁとか考えてしまうんだ……。でも、それ以前の問題でさ……。今まで父さんが優しかったのって、そのことの後ろめたさがあったからなのかな?とか考えてしまうんだ……。あの優しさは本物ではなくて偽りだったのかなって……」
静也は目に大粒の涙を溜めながら話す。悲しい瞳で涙が流れるのを必死で堪える。
「静也はお父さんのことが大好きなんだな……」
幸雄がそう言って頭を軽く叩く。
「俺……父さんの作るハンバーグとエビフライが好きなんだ……。めっちゃ美味いんだよ……。でも……家を出たらそれも食べれなくなるし……。出来る事なら俺も前みたいに父さんと仲良く過ごしたいよ……。でも……だけど……」
嗚咽を漏らしながら言葉を綴る。
静也の中で楽しかったことが次々と溢れ出す……。
それと同時に悲しみも込み上げてくる……。
「まずは話してみることだな。きっと大丈夫さ……」
幸雄は静也の頭を優しく撫でながら言葉を綴った。
あの後、静也は夜になってから家に帰ってきた。
「静也……」
拓哉が玄関に顔を出す。
「静也……、明日は家にいて欲しい。話をしたいんだ……。来斗くんたちも来る。頼む……、一度ちゃんと話をしよう……」
静也はその問いに何も言わずに拓哉の横を通り過ぎて部屋に入っていった。
部屋に入り、ベッドに潜り込む。まさかあの説教女まで来るのかと思うと気が気じゃない。唇をかみしめて、暗闇を睨みつけるように視線を鋭くする。
「……あいつらに俺の何が分かるっていうんだよ……」
そう小さく呟くと、何もかもから逃れるように目を瞑った。
次の日になり、颯希は制服に身を包み、髪を綺麗にまとめてポニーテールを作ると、首から笛を下げて、胸にパトロール隊員のバッジをし、腰にピコピコハンマーをセットした。
完成した自分の姿を姿見で確認する。
「……よし!」
颯希の目には強い光が宿っていた。何が何でも静也を救うんだという強い意志が漲っている。
「……絶対に救うのです」
姿見に映る自分に問いかけるように言葉を発する。
「中学生パトロール隊員、結城颯希!いざ出動なのです!!」
家を飛び出し、静也の家に向かう。
家の前まで着くと来斗と雄太がすでに到着していた。
そして、三人で手を合わせて気合を入れる。
「絶対に静也くんを救いましょう!!」
「うん!前の静也くんに戻ってもらおう!!」
「静也!俺たちがお前の苦しみから解放してやるからな!!」
「「「えいっ!えいっ!おー!!!」」」
三人で一緒に掛け声をあげる。
そして、代表して来斗がインターフォンを鳴らした。
――――ピンポーン!
しばらく待つが返事がない。
――――ピンポーン!
もう一度インターフォンを鳴らす。
その時だった。
「……おーい!!」
遠くから声が聞こえた。三人が声のした方に顔を向けると、拓哉がこちらに向って走ってくる姿が見える。
「拓哉さん!!」
三人が拓哉に駆け寄り、颯希が声をあげた。拓哉は走ったからか息が荒い。
「す……すまない……。実は静也が朝早くに家を出たみたいなんだ……」
「「「家を出た?!!」」」
「手紙?」
颯希がその言葉に声を出す。
「あぁ……。兄のお嫁さんである三和子さんが私に送った手紙だ。その手紙を読んで……」
拓哉の声は震えていた。その様子からいい内容の手紙ではないことが伺われる。
「どんな内容の手紙だったのですか?」
颯希の問いに拓哉は話すべきかどうか悩んだ。でも、その手紙が原因だとしたら、静也のことを心配して何とかしようとしている颯希たちに話さないわけにもいかない。拓哉はゆっくりと話し始めた。
「――――と、いうことなんだ……」
話し終えて息を深く吐く。その表情は苦悶に満ちていた。
「てことは静也くん、その内容を誤解しているかもしれないね。その相手が拓哉さんだと勘違いしているかもしれない……」
「確かにそんだけしか書かれていないならその可能性はあるわな……」
「明日、静也くんと話をしましょう!」
颯希の言葉で明日、静也を捕まえて話をしようということになった。拓哉は静也が帰って来た時に話すと言ったのだが、聞く耳を持たない可能性があるからみんなが集まってから話そうということになる。拓哉もそれを了承する。明日はちょうど学校が創立記念日でお休みということがあり、朝の十時にまた来る約束をしてそれぞれ家に帰っていった。
その頃、静也は浜辺で幸雄と並んで座っていた。
「俺……すげぇ怖いんだ。自分の思っていることが本当だったら父さんとこれからどうやって過ごしていけばいいんだろうって……。もし、それが本当だった場合、俺はきっと今までのようには暮らせなくなる。家を出ていくと思う。でも、どこにも行けないから場合によっては施設とかになるのかなぁとか考えてしまうんだ……。でも、それ以前の問題でさ……。今まで父さんが優しかったのって、そのことの後ろめたさがあったからなのかな?とか考えてしまうんだ……。あの優しさは本物ではなくて偽りだったのかなって……」
静也は目に大粒の涙を溜めながら話す。悲しい瞳で涙が流れるのを必死で堪える。
「静也はお父さんのことが大好きなんだな……」
幸雄がそう言って頭を軽く叩く。
「俺……父さんの作るハンバーグとエビフライが好きなんだ……。めっちゃ美味いんだよ……。でも……家を出たらそれも食べれなくなるし……。出来る事なら俺も前みたいに父さんと仲良く過ごしたいよ……。でも……だけど……」
嗚咽を漏らしながら言葉を綴る。
静也の中で楽しかったことが次々と溢れ出す……。
それと同時に悲しみも込み上げてくる……。
「まずは話してみることだな。きっと大丈夫さ……」
幸雄は静也の頭を優しく撫でながら言葉を綴った。
あの後、静也は夜になってから家に帰ってきた。
「静也……」
拓哉が玄関に顔を出す。
「静也……、明日は家にいて欲しい。話をしたいんだ……。来斗くんたちも来る。頼む……、一度ちゃんと話をしよう……」
静也はその問いに何も言わずに拓哉の横を通り過ぎて部屋に入っていった。
部屋に入り、ベッドに潜り込む。まさかあの説教女まで来るのかと思うと気が気じゃない。唇をかみしめて、暗闇を睨みつけるように視線を鋭くする。
「……あいつらに俺の何が分かるっていうんだよ……」
そう小さく呟くと、何もかもから逃れるように目を瞑った。
次の日になり、颯希は制服に身を包み、髪を綺麗にまとめてポニーテールを作ると、首から笛を下げて、胸にパトロール隊員のバッジをし、腰にピコピコハンマーをセットした。
完成した自分の姿を姿見で確認する。
「……よし!」
颯希の目には強い光が宿っていた。何が何でも静也を救うんだという強い意志が漲っている。
「……絶対に救うのです」
姿見に映る自分に問いかけるように言葉を発する。
「中学生パトロール隊員、結城颯希!いざ出動なのです!!」
家を飛び出し、静也の家に向かう。
家の前まで着くと来斗と雄太がすでに到着していた。
そして、三人で手を合わせて気合を入れる。
「絶対に静也くんを救いましょう!!」
「うん!前の静也くんに戻ってもらおう!!」
「静也!俺たちがお前の苦しみから解放してやるからな!!」
「「「えいっ!えいっ!おー!!!」」」
三人で一緒に掛け声をあげる。
そして、代表して来斗がインターフォンを鳴らした。
――――ピンポーン!
しばらく待つが返事がない。
――――ピンポーン!
もう一度インターフォンを鳴らす。
その時だった。
「……おーい!!」
遠くから声が聞こえた。三人が声のした方に顔を向けると、拓哉がこちらに向って走ってくる姿が見える。
「拓哉さん!!」
三人が拓哉に駆け寄り、颯希が声をあげた。拓哉は走ったからか息が荒い。
「す……すまない……。実は静也が朝早くに家を出たみたいなんだ……」
「「「家を出た?!!」」」
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