神様のポイント稼ぎに利用された3~過保護な神々と溺愛家族に囲われています~

ゆめ

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第四章 新たな使命は特にない

第1113話

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 高台は僕が思っていた場所とは違っていた。
 イネスがひよこ豆を植えたのは、なんとオークキングの背中だったのです。

「そこで植物を育てられるのは、涼玉とグラちゃんだけだと思う」
「世の中、気合です!」

 イネスがひよこ豆に無理難題を吹っ掛けている。

「森の主は全身に春の山菜を生やしてました! いけるいける!」
「ブモォォ」

 さすがのオークキングも困惑しているようだ。
 うちの子が無茶ぶりしてごめんね。

「食料が足りないなら生やせばいい! そう、キングの体に!!」
「イネスがごめんね?」

 どんな物語を読んだらその発想に至るんだろうか。
 いや、身内や知り合いの体に植物が生えているから、オークキングも出来ると思ったのかもしれない。

 さすがに無理だと思うよ。
 ――オークキングのままでは。

 そう僕が思った次の瞬間、オークキングの体からミシリと音がした。

「偉いです、さすがキング! 頑張れ、頑張れ!」

 突如始まったオークキングの進化に、周囲のオークたちはパニック寸前。

「お食事中にごめんね! シャムス!」
『あーい!』

 巨大肉まんを両手に抱えたシャムスが現れた!
 誰だシャムスにこんな大きな肉まんを持たせたのは! 大きすぎて持つのが精一杯じゃないか!
 いや、今はそんな場合じゃない。

「シャムス、オークの皆に少し離れるよう伝えて」
『ここから少しだけ離れるのよ!』

 獣神・獅皇さんの息子であるシャムスの言葉の威力は絶大だった。
 パニック寸前だったオークが、まるで統率された軍隊のようにキッチリと距離をとったのだ。
 さすがシャムス、獣族に愛されし最強のもふもふ!

 ずしん

 シャムスを称賛している間に進化が終わったようだ。
 目の前に現れたのは、常識外れの巨大な猪。
 牙は木の幹みたいに太く、突進すればその辺の城壁なら紙のように吹き飛ばしそう。魔境に城壁がないから試しに突撃できないのが残念です。

 それにしても一回りどころか二回り以上大きくなったなー。
 しかも背中に緑が芽吹いちゃったし、イネスの望み通りに進化したねぇ。

 いや、違う……あの緑は、ひよこ豆だ!

「そぉれ!」

 オークキングが謎の巨大猪に進化したことで、イネスの声が遠く聞こえる。
 でもテンション高いのは間違いなさそう。

 ぽんっ! ぽこぽこぽこっ!

 軽い音が連続して鳴り響き、ひよこ豆が空へと舞う。
 もう何でもありだな、あの豆。

「祭りじゃーーー!」
「涼玉!?」
「ひよこ豆に無双させるなら、やっぱり涼ちゃんの力が必要かなって思いました」

 巨大猪の上で天高く吠えたのは、さっきまでパーティー会場で肉を食べていたはずの涼玉。
 イネスは僕のポンチョの中からひょこっと顔を出しました。

 驚いている隙に涼玉を乗せた巨大猪が走り出した。
 背中からひよこ豆を噴出させながら。

 よし、ほぼ計画通り!
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