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第二章 聖杯にまつわるお話

第124話

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 トルコライスの他、カレーにラーメンにと子供達が好きそうなものを作り、何とかお昼に間に合わせた。
 ありがとうドリちゃん、貴方が真の聖母です。

 大量に作った昼食も綺麗に売れ切れ、子供達と獣人達は再び好き勝手に遊び始めた。

 夕食もきっと食べていくだろう、お正月だしね。
 でも夕食は邪神一家も戻ってくるだろうから、こんな行き当たりばったりの対応じゃ間に合わない、今から食材調達と下拵えしないと!!

 遊ばずにダラダラお酒を飲んでいる獣人にカゴを持たせ、案内と指導にドリアン数体を付けて送り出し、ドリちゃんと夕食の打ち合わせ。
 もう一部の連中は酒と少々のおつまみを出せばいいってことにしておいて、問題は食べ盛りの子供達。

 揚げ物出すにもトルコライスで出しちゃったからな~。
 ピザはこの間、皇帝が手作りしてたでしょ、ラーメン出さなきゃ良かったなと思いながらドリちゃんとうんうん悩む。

 そして辿り着いた答えは――鉄板焼き。
 焼きそば、お好み焼き、肉、あとお餅も焼いたりすればいいだろう。

 麺と餅はメニュー画面で大量購入、お好み焼きは子供達と獣人を使おうかな、ドリアンにお願いしてお好み焼きの材料を机の上に並べてもらい、次にえっちゃんにお願いして皆を呼び寄せます。
 生地は力のある獣人に作ってもらい、キャベツはスラちゃん担当、具材選びと混ぜるのは子供達、その間にシャムにはイネスや朱と一緒にデザート用の果物の調達。

「樹ただいま~、今日は早く終わっ……」
「騎士様ナイスタイミング! ギレンの所に行って魚介類適当に買ってきてください!」
「あ、はい」

 よしこれで海鮮お好み焼きも出来る!
 
(女神様、神託!)
(野菜も食べさせてくれよ、うま辛たたききゅうり)

 生地の材料が切れたので一息付いている獣人にきゅうりとスラちゃんを渡し、後を任せる。
 帝国兄弟が遊びたいと駄々をこね始めたので、えっちゃん経由で届けられる果物をスラちゃんに渡してカットしてもらい、ホールケーキの飾りつけをお願いした。
 スポンジ部分はメニュー画面で購入したものだけど、生クリームを塗ったり好きに盛り付けるのは気に入っていただけたようで、キャッキャッしながら飾り付けを行っている。

「これ大作!」
「かあちゃんに一個持って帰っていい?」
「いいよー」

 帝国兄弟が持ち帰りたいと言い出したケーキは、生クリームと苺で飾ったシンプルなホールケーキだけど、中央にチョコレートソースや金粉を使って女神様が描かれていた。
 兄弟の中に芸術センスがタイガ並みの子がいる。

「かあちゃん何歳?」
「千年ぐらい生きてそー」
「じゃあロウソクは千本ぐらい? スペース足りるかな?」

 面白そうだから止めない。

「樹、魚買ってきたよ」
「ありがとうございます、スラちゃんお願い」
「ぷるる!」

 買ってきてもらった魚介類はスラちゃんに渡され、流れるように内臓処理と加工が始まる。
 手が空いた騎士様を次は寿司桶があるコーナーに座ってもらい、ボスと一緒にシャリ作り、最初からずっとシャリを作っているボスはすでに目が死んでいる。美味しいお酒を出すので許してほしい。

「母様、僕は次何やる?」
「お寿司のネタ乗せしてもらっていい?」
「うん分かった」

 朱は酢飯を使ってミニ海鮮丼を作っていたけれど、そちらの作業が終わったらしい。
 たまに本当に目が見えていないのか疑問に思う時もある、でも前世からの筋金入りの全盲だと騎士様も言ってるしなぁ。
 ……作ってもらった海鮮丼、僕より盛り付け上手なんです。
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