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第二章 聖杯にまつわるお話
第177話
しおりを挟むサイクロプスのサイちゃんと、炎を自在に操るドラゴンが仲間になった!
「そういう訳でこれから隣人として仲よくね!」
「……うっす」
戦士ウルガと仲間たちが真っ青な顔で頷いてくれた。
サイちゃん怖くないよ、手先が器用でこれから戦士の国を支える柱になってくれる大事な隣人だよ。
「あっ、そうだ! 鍛冶といえばドワーフ、アテナ元気かな」
「中級ダンジョンでボスアルバイトしたくて修行してるよ、ただまだ小さいから合った武器が無くて、自分で武器を作れないか悩んでた。うん、どこかの国でドワーフ勧誘してくるから」
答えてくれたアー君を期待した目で見つめたら、顔を片手で押さえられた。
そんなにグイグイ近寄ったつもりはなかったのだけど、ごめんよ! だけど肉球がぷにっと最高でした!
セティ曰く、生きるのが厳しい荒野で生き残っている魔物はどれもランクが高く、人間では扱えない可能性もあるとかなんとか、ならドワーフに頼ればいいじゃない。
ドワーフを統べるのは戦女神の養女アテナ、とかどうだろう!
「そうだ、ウルガの他にも部族がいるらしいから、珈琲豆やバナナを育ててもらおう」
『従わなかったら?』
「私のぺかぁでいちころ」
「楽勝だぜ」
「力でねじ伏せるより平和的だな」
兄弟の無茶を聞き流しながら、セティは白銀のジャッカルに何やら役割を与えている。
「我ら、イネスに、恩返す、出来ない」
「出来ますよー! 育てて貰いたいもの沢山あります!」
「我ら戦士、育てる、苦手と、長老言ってる」
大体部族に属する全員が戦える訳ではない、人にはそれぞれ役割というものがあるんです。とイネスがウルガの頭の上で力説している。
あの場所気に入ったのだろうか。
「スパイスを作って荒野カレー!」
「チョコレートも!」
『イネスと涼ちゃんの欲望駄々洩れなのよ』
「花も多少育てるといいだろう、アカーシャに売ればいい金になる」
兄弟の要望と部族の話を聞いてまとめるのはイグちゃん、聞いたら後でメモをアカーシャに渡して必要な苗を揃えてもらうらしい。
「うーん、とりあえず当面の食料は豆で補ってもらうとして、粉ものも育てないとな。熱い場所でも育つ作物って研究成果でてたっけ?」
「出てないな! 何でも育つから増やすのを面白がって、研究まで行きつかないんだよ、刀国の研究員」
『他国の絶滅危惧植物を増やすのが趣味なの』
「グラちゃんの背中に生えていませんかねー?」
「本人は寝てるが」
いつもこの時間帯は休憩を兼ねて子供達とお昼寝タイムだというグラちゃん、泉に尻尾を漬けて気持ち良さそうに寝ています。
力を使って疲れたからとかではなく、単に習慣として身についた眠気なら心配する事もないかな?
「水だ水、生活水!」
本日はこれまでと引き上げようとしたアー君がポンと肉球を打った。
とてもいい音でした。
あの肉球、スライムでも仕込まれているのだろうか。
「泉は人間以外も使うからな、独占は良くないしそんな事したらすぐ枯渇する」
『水魔法はー?』
「これから生まれる可能性はあるけど、環境的にいても少ないだろうな」
『うーん、サイちゃんに水魔法与えましょ!』
「与えましょう!」
「鍛冶でも使うしな、ここは一つ景気よく! にいちゃお願い!」
とりあえず本日はサイちゃんに水魔法を与えて終了しました。
二階建ての建物より大きな体躯をしているサイちゃん、魔法一つ取っても威力が大きい、ただのウォーターも滝のような水がドバーッと凄かったです。
突然使えるようになった魔法に、本人も驚いてました。
人間の天敵から一転、サイクロプスのボスであるサイちゃんは人間の救世主になりました。
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