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第二章 聖杯にまつわるお話
第216話
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アー君が戻るまで散々作った串カツの山は、ネヴォラとイネスが自分達のお店で出す分を除いて全部我が家の夕食になります。
でもちょっと足りないかな。
「ネヴォラ、新作はもういいかな?」
「うん!」
「じゃあ本日の夕食とデザート作りに入っていいですかー?」
「その前にお昼食べるんよ!」
『ごはーん』
「ドリちゃんお願いしまっす」
涼玉が声を掛けるとすぐにドリアンらが昼食を運んで来てくれた。
本日のお昼はどうやらシチューパンらしい、手付きシチュー皿の中に大きなパンが鎮座し、こんがりと焼かれた表面がとても美味しそう。
「わぁ串カツより春っぽい!」
「完全に串カツメインで、本来の目的忘れてましたね!」
机の真ん中辺りにカゴに山盛りにされたパンが置かれ、それぞれに飲み物が配られた所でいただきます。
「!」
『ドリちゃんの完全勝利なの』
「これだけかって一瞬思った俺らの心理を逆に利用している」
添えられたスプーンでパンを破った子供たちが衝撃に震え、食べる前からドリちゃんに戦慄している。
一体このシチューパンにどんな秘密が?
スプーンを手に取り、蓋の部分を破ればふわりと鼻をくすぐるシチューの香り。
とろりと煮込まれたシチュー、ここまではそこまで驚くべきことじゃない、じゃあ味?
まずは一口とシチューにスプーンを入れて気づいた。
一番上にハンバーグが入ってる!! パンの蓋とシチューの白で気付かなかった!
さらに食べ進めたら一番下には白飯が入っていました!
これはシチューじゃない、ドリアだ!!
シチューにはタケノコやアスパラなど、春の野菜が子供でも食べやすいサイズに切って入っているし、ハンバーグにも野菜がたっぷり。
野菜をいやんいやん言ってなんとか回避しようとする子供達も、これは残せないだろう。
美味し過ぎて手が止まらない。
「うはー、俺のパンだけ毒々しい色してるねー!」
「私のは少し冷ましてあるね、ありがたい」
しかも個々に対するサービスも忘れていないようで、イグちゃんは毒が混ぜ込んだ毒シチュー、ヘラ母さんは熱いのが苦手なので熱々ではなく美味しく食べれる程度の熱さで出したようです。
気遣いが素晴らしいですね。
「こ、このパン、野菜が練りこまれた部分をさらにパンで覆い隠している!!」
「今日は僕らにとことん野菜を食べさせる気ですね!」
『クロワッサン美味しいーよ』
「俺のパンはカツサンドと見せかけて、白身魚のフライだった」
どうやらカゴに盛られたパンにも仕込みがしてあったようです、騙されたと悔しがる子供達、君らが楽しく野菜を取れるようにドリちゃんが工夫してくれているんだよ、感謝しなさい。
……ただの白飯だと思ったらほんのりカレーの味がしました。
今日のお昼、手が込んでます!
「たくさん食べちった」
「一番下に入ってたエビピラフが至高でしたぁ~」
『お腹まんまる』
「……」
「イツキ、どうやら涼玉は満腹で寝ちまったようだよ。私が手伝うからチビ達は寝かせてやりな」
「はぁい」
「俺も手伝うよ、毒パンが美味くてつい食べすぎた」
実は僕も食べ過ぎて動くの辛い。
眠気が来る前に動かないとダメだね、これは。
「まずは果樹園に行ってデザートの果物選ぼう」
そして動いて眠気を覚まそう。
なお、本日の刀雲のお弁当もシチューパン。
中身は地獄の激辛シチュー、色は白ではなく禍々しい赤。
匂いだけで甚大な被害が出そうなお弁当だけど、そこはホワイトで有名な刀国王宮、激辛好きな一部のマニアのために食堂の片隅にスペースが設けられ、匂いが漏れないように風の結界が張られたそこで食べたらしい。
服に匂いが染みついて、そこから出れば周囲に被害が出そうだと思ったけど、結界から出ると自動的にクリーンがかかる仕組みになっているんだって。
至れり尽くせり……。
激辛好きに優しいそのスペース、提案騎士様、魔導具製作者は春日さんだそうです。
騎士様、騎士様、激辛好きに優しいクリーン機能付きの魔道具、我が家にも欲しいです。
でもちょっと足りないかな。
「ネヴォラ、新作はもういいかな?」
「うん!」
「じゃあ本日の夕食とデザート作りに入っていいですかー?」
「その前にお昼食べるんよ!」
『ごはーん』
「ドリちゃんお願いしまっす」
涼玉が声を掛けるとすぐにドリアンらが昼食を運んで来てくれた。
本日のお昼はどうやらシチューパンらしい、手付きシチュー皿の中に大きなパンが鎮座し、こんがりと焼かれた表面がとても美味しそう。
「わぁ串カツより春っぽい!」
「完全に串カツメインで、本来の目的忘れてましたね!」
机の真ん中辺りにカゴに山盛りにされたパンが置かれ、それぞれに飲み物が配られた所でいただきます。
「!」
『ドリちゃんの完全勝利なの』
「これだけかって一瞬思った俺らの心理を逆に利用している」
添えられたスプーンでパンを破った子供たちが衝撃に震え、食べる前からドリちゃんに戦慄している。
一体このシチューパンにどんな秘密が?
スプーンを手に取り、蓋の部分を破ればふわりと鼻をくすぐるシチューの香り。
とろりと煮込まれたシチュー、ここまではそこまで驚くべきことじゃない、じゃあ味?
まずは一口とシチューにスプーンを入れて気づいた。
一番上にハンバーグが入ってる!! パンの蓋とシチューの白で気付かなかった!
さらに食べ進めたら一番下には白飯が入っていました!
これはシチューじゃない、ドリアだ!!
シチューにはタケノコやアスパラなど、春の野菜が子供でも食べやすいサイズに切って入っているし、ハンバーグにも野菜がたっぷり。
野菜をいやんいやん言ってなんとか回避しようとする子供達も、これは残せないだろう。
美味し過ぎて手が止まらない。
「うはー、俺のパンだけ毒々しい色してるねー!」
「私のは少し冷ましてあるね、ありがたい」
しかも個々に対するサービスも忘れていないようで、イグちゃんは毒が混ぜ込んだ毒シチュー、ヘラ母さんは熱いのが苦手なので熱々ではなく美味しく食べれる程度の熱さで出したようです。
気遣いが素晴らしいですね。
「こ、このパン、野菜が練りこまれた部分をさらにパンで覆い隠している!!」
「今日は僕らにとことん野菜を食べさせる気ですね!」
『クロワッサン美味しいーよ』
「俺のパンはカツサンドと見せかけて、白身魚のフライだった」
どうやらカゴに盛られたパンにも仕込みがしてあったようです、騙されたと悔しがる子供達、君らが楽しく野菜を取れるようにドリちゃんが工夫してくれているんだよ、感謝しなさい。
……ただの白飯だと思ったらほんのりカレーの味がしました。
今日のお昼、手が込んでます!
「たくさん食べちった」
「一番下に入ってたエビピラフが至高でしたぁ~」
『お腹まんまる』
「……」
「イツキ、どうやら涼玉は満腹で寝ちまったようだよ。私が手伝うからチビ達は寝かせてやりな」
「はぁい」
「俺も手伝うよ、毒パンが美味くてつい食べすぎた」
実は僕も食べ過ぎて動くの辛い。
眠気が来る前に動かないとダメだね、これは。
「まずは果樹園に行ってデザートの果物選ぼう」
そして動いて眠気を覚まそう。
なお、本日の刀雲のお弁当もシチューパン。
中身は地獄の激辛シチュー、色は白ではなく禍々しい赤。
匂いだけで甚大な被害が出そうなお弁当だけど、そこはホワイトで有名な刀国王宮、激辛好きな一部のマニアのために食堂の片隅にスペースが設けられ、匂いが漏れないように風の結界が張られたそこで食べたらしい。
服に匂いが染みついて、そこから出れば周囲に被害が出そうだと思ったけど、結界から出ると自動的にクリーンがかかる仕組みになっているんだって。
至れり尽くせり……。
激辛好きに優しいそのスペース、提案騎士様、魔導具製作者は春日さんだそうです。
騎士様、騎士様、激辛好きに優しいクリーン機能付きの魔道具、我が家にも欲しいです。
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