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第二章 聖杯にまつわるお話

第474話

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 邪神の闇鍋、悪魔も参加したらしい。
 それ何てサバト?

 酔っぱらった邪神や悪魔、怨霊などのせいでアー君の領地に瘴気が漏れ出し、うっかりスタンピードが起こりそうになったけれど、アー君がイネスが暇つぶしに作った魔石を山の周囲に配置したので何とかなったそうです。
 イネスはお小遣いたっぷりでホクホク、アー君はスタンピードを事前に防げてほっと一安心、騎士様も光ったかいがあったと遠い目をしながら笑っておりました。

「でもまぁ凶悪な魔神は生まれたけどな」

 まぁそれだけで終わる訳もなく、現在我が家には北海道にいるというエゾヒグマぐらい大きな男性がいる。
 玄関ドアに激突してたから身長は2m以上というより3m近くあるんじゃない?
 座っててもでかい、褐色肌なのもあってもはやエゾヒグマにしか見えない。

『筋肉ムキムキ』
「うおー、とうちゃより腕ぶっとい」
「手首が私の胴体より太いです」
「すげぇいい男」

 結界を敷いて山に瘴気を閉じ込めたため、瘴気が濃くなって高ランクの魔物が食いあったみたいです。
 蟲毒かな?

 邪神一家の瘴気やら酔っぱらった悪魔の魔素やら怨霊の恨みやらを吸い取り生まれた魔物達、邪悪の頂点のごった煮のような集いに恐慌状態になって食い合って、その中で唯一生き残ったのがこちらの褐色肌のマッチョ。
 初期霧ちゃんのようなムッキムキなんだけど、あれって日焼けならぬ瘴気焼けかな?

 でもってエゾヒグマさんを見た時からパンドラちゃんの様子がおかしいのです。

「ねぇねぇアー君、あんな危険な魔神をうちに招いて大丈夫??」
「ママがいる時点で何の心配もない」

 ひやひやする騎士様、僕というより謎能力に全面の信頼を置くアー君、これは喜んでいいのだろうか。
 いやそれよりも何でその危険極まりないらしい魔神がここにいるの?

「あ、待ってなんかヤバい」
「アー君!?」

 何やら魔神が変化を始めたらしく、焦るアー君に騎士様が焦っている。

『ど、どうしよう』
「ここで下手にママを癒すとふんわり系魔神が生まれちゃいます!」
「もうそれでいくか?? にいちゃぁぁ!!」
「アー君、昼飯出来たがどうする?」
「刀雲パパ!! 最高のタイミング!」

 混乱する状況の中、座敷に現れたのは腰エプロンをした刀雲。
 ただし上半身裸なので僕のシックスパックが丸見え、エプロンの必要性はどこにあるんだろう。

「ママ、刀雲パパの腹筋カッコイイな!」
「シックスパックが輝いてます!」
「時代はマッチョだよな、筋肉が最高だと俺ら思うんだ!」
『ムキムキ!!』
「え、うん。刀雲の筋肉は最高だよね?」

 どうしたの突然?

「イネスどうだ!?」
「ぎゅっとなってパパより一回り大きなマッチョで安定です!」
「俺らいい仕事した!」
『ふぃー』

 子供達の視線の先にはエゾヒグマはもういなかった。
 気付いたらエゾヒグマが一回り小さくなって、2m以下のツキノワグマになっていた。
 しかも筋肉が引き締まってシックスパックがあるだと!?

 まぁどんなに外見が変化しようが熊には変わりない……いや魔神だった。
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