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第二章 聖杯にまつわるお話

第494話

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 ハイダル君が生んだ子供達を連れ、やってまいりましたセティの都。
 えっちゃんが飛んだ先はセティの宮殿にあるオアシス、周囲では休日の悪魔や魔人が休暇を楽しんでいます。

 休日あるんですよこの職場。
 王侯貴族が天下を取っている国よりホワイトだよね、たまに神々から無茶ぶりされるけど。

「あくまぁ!」
「まんま!」
「にくたべたい」
「ひぃぃ」

 人の心を弄んで遊ぶ悪魔や魔人がうちの孫を見て悲鳴を上げた。
 視線が僕を見ている気がする。いや、きっと気のせい。

「俺らお休み!」
「今日はお休みなんです!」
「あっち、あっち、宮殿にお仕事中の奴らいるから!」
「せばちゅー」
「せばすちゃんはー?」
「だっこだっこ」

 さすが僕の血筋、相手の話聞いてない。

「いた、いたた、おひげ引っ張らないで」
「セバスチャンは今日雪山です、スノボーするって昨日からっ、あっやめて角触らないで」
「セティ様助けてぇぇ!」

 簡単に言ってカオス。
 ごつくて怖い顔の悪魔たちが半べそかきながらセティに助けを求めている。

 でもまぁセティが下僕の声に答えてくれるわけもなく、幼児によじ登られたりひげや角を好き勝手されてもただひたすらに我慢するしかないんだよね。
 それにしてもセティって普段何をしているんだろう?

「ああぁぁぁ待ってぇ、それ食べちゃダメなやつ!」
「ぺってして、お願いここにぺって!」
「べぇー」
「ちっちゃな舌が可愛いですねー、でも違うのぉ!」
「神子様、神子様! 食用じゃない花食べちゃった!」
「小さい子はなんでも口に入れたがるからね、毒じゃなければ大丈夫」
「これまじゅい」
「ですよね! まずいならお願いっぺって」

 マールスも霞むほど怖い顔をした魔人たちが幼児を囲んで慌てているのが面白い、他の子はオアシスに飛び込もうとして悪魔に捕獲されたり、ご機嫌を取るために肉を焼く用意をしたりと大忙しです。
 ん、焼肉?
 普通の炎は危ないからここはやっぱり涼玉に頼ろう。

「かあちゃ呼んだ?」
『呼ばれる気配がしたから来たの』

 呼ぼうと思った瞬間にえっちゃん経由で涼玉とシャムスが現れた。
 休日を楽しんでいただろう悪魔たちは全てを諦め、粛々と焼肉をするために網や材料を用意するために動き始めた。

「今日は買い食いするって意気込んでたのにどうしたんだ?」
『こんちゃー』
「こんちゃ!」
「シャムス!」
「買い食いする前に誘拐されて花嫁の身代わりにされたと思ったらカイちゃんが登場して、身の安全を確保するためにカイちゃんのおうちに行ってたけど、色々あってここに遊びに来た」
「いつも通りだなー」

 うんうんと頷く涼玉にお願いし、焼肉用のコンロに火をつけてもらう。
 これでうっかり孫たちが手を付いても火傷しない、肉も焦げないしみんな幸せ。

「神子様、肉が足りないっす」
「セティ様って肉より野菜とかを好むんで……」
「俺らも肉食べたい時はギルドの食堂使うから」

 えっちゃんにお願いしてドリちゃんに肉を送ってもらいました。
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