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第二章 聖杯にまつわるお話

第496話

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 ところで連日遊び歩いている僕ですが、女神様の代理は続行中です。
 孫と遊び倒した数日間は騎士様が代理をしてくれたけど、えっちゃんからの希望で再び交代です。

 騎士様この世界の持ち主だし、代理もなにもそれ本職なんじゃ……。

 慈愛の微笑みを浮かべるカイちゃんが孫を迎えに来て、帰る前にお子様大好きメニュー尽くしの夕食を振舞った昨日、今日は賑やかさが半減でちょっと寂しい。
 また砂漠の国に遊びに行こう。

 そして本日、一件目。
 目の前には闇落ち寸前の成人男性、「俺は愛されずに育った。不幸だ。世界を恨んでやるぜ」というたまに見かけるタイプです。

「愛されずに育ったならこれから愛されればいいんじゃない?」

 死んだ目で「それが出来たら世の中恨まない」と返された。
 えー、そうかなぁ、女神様は不憫系大好物だけど、その先にハッピーエンドがあるのが約束されてこそ不憫系が輝くとか言ってる人だから、不幸なままではないと思うんだけど……。

「とりあえず好み聞いてもいいですか?」
「は?」

 人を呼び出しておいて対応が塩すぎる。

「男女どちらがいいか、筋肉の有り無しとか、自分を虐めてくれる人がいいとか、そういうの」
「虐める相手を求める訳ないだろ」
「えっ、そういう性癖もあるって聞いたけど? 虐待受けているうちに何かそれが気持ち良くなって戻れなくなるとか聞いた」
「ねぇよ」

 そちらの扉は開いていなかったようだ。女神様残念。

「俺を愛してくれるなら誰でもいい……」
「何でもいいが一番困るんだよね、我が家でそれ言うと謝るまで野菜尽くしになるよ」

 ヘラ母さんが手伝いに来てくれた日にアー君がそのセリフを言ってしまい、泣いて謝るまで数日間本当に野菜しか出てこなかった。
 ハンバーグすらひき肉なしの豆腐ハンバーグだった。

 今回の場合は脂ぎったおっさんオンリーかな?
 いやそれは最早罰ゲームな気がする。でも誰でもいいって言ったのこの人だし、じゃあいいか。

「女は嫌だ!!」
「おおー」
「俺を死ぬほど追い詰めたのはそもそも女!」
「ふむふむ」

 不穏な空気を察知したのか、大声で主張を始めた。
 その調子で頑張ってください。

「俺はずっと監禁されていたので読み書きが出来ない、できればそれを馬鹿にしない相手がよい、です」

 じゃあ刀国民なら誰でもいいかもしれない、人を馬鹿にしたり虐げたりすると、人間を食べたくて粗探ししてる邪神に狙われるから……。

「ショタボーイと筋肉だるまどっちがいい?」
「なんでその二択?」
「知っている独身者がその二択なの」

 ショタはシヴァさんが他国から次々連れて来るため、常に新しい子がいます。
 他国なので当然言葉が通じない場合もあるけれど、そこは刀国民、神様にお願いしてどうにかしてるらしい。

 筋肉だるまは冒険者の皆さんです、日頃から神薙さんやアー君に嫁が欲しいと叫んでいるし、一人ぐらいなら不憫系を受け止める器のあるおっちゃんいるだろう。
 あー、でも、監禁されてたなら家事全般出来ない?
 練習すればいいか。いざとなったらヘラ母さんの所で花嫁修業だ!

「よし、じゃあ行き当たりばったりでいこう」
「……は?」

 すっごい低い声で返されたけど気にしない、ではえっちゃん刀国の冒険者ギルドまでお願いします。
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