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第三章 世界に降りかかる受難

第517話

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 今回のお悩み相談は某国の教会に派遣されている司祭さん。
 供物を先に食べさせて、強制的にお願い聞かされるのかと思いきや、あれは単に呼び出しに応じたことへのお礼だったことが判明。

 なんてこと、だったらあのまま帰宅しても別に構わなかった??
 カイちゃんに似たにっこり笑顔に騙された。
 でもせっかくなのでお仕事してから帰宅します、だからお土産にふんわりドーナツをください。

「ではこちらにどうぞ」
「あい」

 呼び出された祭壇から降ろしてもらい、扉から出たらお城がすぐそこにあった。
 国内にある教会ではなく、お城の敷地内にある教会だったとは……ヴィシュタル教の権力って大きいなぁ。

 お城から視線を下げ、扉前の階段を降りようとしたら、階段の下にずらーっと正装の権力者が勢揃いしていた。
 先頭のおじさんは王様だと断言する。頭に王冠かぶってるから間違いない。

「陛下、神子様が来てくださいました。くれぐれも、割とマジで迂闊な事を口に致しませんように」

 狡猾司祭、口が悪い。
 ちょっと本性漏れてます。

 土下座はさすがにしなかったけど、切々と語られたのはある一人の女性の魅了によって、次世代を担う子供達が次々と篭絡されこのままでは婚約破棄が多発、国がやばいと言う事だった。

「最近、女性が原因のご相談が多いのだけどなんでだろう?」
「女神様が休暇を利用して、女性が登場する物語を読み漁っているのやもしれません」
「迷惑」
「ええ本当に」

 女神様、信者の人にも迷惑がられていますよ。
 早く休暇を終えて帰ってきてください、それかゲームするとか、他にもあると思う。

「魅了は一発で解決する方法あるよ、それ以外だと……うーん、地道に魔道具開発頑張ってってなる」
「対価は被害者家族が払うと思います、ギルド経由でよろしいでしょうか」
「うん、アー君宛で預ければどうにかなると思う」

 ヴィシュタル教の司祭さんって女神様のダメさを理解して受け入れているよね、器の大きさが無限大。

「被害者はここにいる?」
「今頃は学園でしょう」
「んーと、じゃあ授業が終わって遊びに行く前に解決しちゃおう」
「講堂に集めればよろしいでしょうか?」
「ううん、学校丸ごとぺかぁってするから大丈夫」

 規模が大きければ大きいほどうちの子は張り切るから、威力がちょっと心配だけどきっと大丈夫。

「あ、でも元凶の子は事情聴くためにも確保しておいた方がいいかな?」
「そうですな、ではすぐにでも」
「イネスおいでー」
「はいです!!」

 活躍の機会を察知したイネスが、名前を呼んだ時点で闇から飛び出した。

「事情はえっちゃんの影絵で把握済みです! 派手にいきましょう、派手に!」

 最近、僕に振り回されてお疲れだったイネス、久々のぺかぁに張り切っている。
 これは威力ミスする可能性が高い。

 まぁ、イネスの信者になるだけだから特に問題ないかな?
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