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第三章 世界に降りかかる受難

第572話

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 レイアさんに指定された社会奉仕活動一件目、無事終了ですです。

「語尾が怪しい時点で後ろめたさが漏れてます」
「でもまぁ、病は解消されて、麦も元気になったから、クリアはしてる?」

 僕を監視するために派遣された手下二人の評価がなかなかからい。
 相手は子供、評価は緩めでお願いしたいのである。

 僕らが大人しくお昼を食べ終える頃には村人も復活、何せ黄金の小麦が過剰に採れたからね、ひよこ豆と混ぜてパンにして配ったら一瞬で元気になったそうです。
 麦に発生した病、黄金パワーには勝てなかった模様。
 原因究明する前に一掃されてしまったけど、ひよこ豆というチート豆が僕らにはあるのでまぁ大丈夫!

 でも農地回復したのは僕というより、涼玉を持ち上げられた元軍人の人のお手柄?
 いや、大丈夫よ、あの人拾ったの僕だもの、うむうむ。

 お昼が終わり、村人も回復したので麦刈りの人手が一気に増え、そのまま夕方まで延々と麦刈りループしてました。
 涼玉がいる限り終わらないんだよねー、あれ。

「いや、うん、ママから目を離した俺らが悪い」
「太陽が気持ちよくて昼寝しちったからなぁ」
『いいお天気だったのよ』
「だからと言って、また誰かを拾ってくるとは思いませんでしたー」

 子供たちが呆れた表情で僕を見つめている。
 そんな僕の背後には、優に2m越えのでっかくて黒いお兄さんがいる。
 拾いました。本日二人目です。

「おうちに連れて帰ります」

 出会いはついさっき、そうあれは子供たちがお昼寝タイムに入り、僕はちょっとお暇になったので周囲の探検に行ってきたのです。
 あとお隣の村は大丈夫かなーっていう好奇心もあって、えっちゃんに認識阻害をかけてもらってから、コソコソとお隣を訪問。
 どこにあるかも分からないから、ここで再びえっちゃんにお願いして転移した。

 そしたらね、そこの村、村長の家の地下に幽閉されている男の人がいたのです。
 幽閉されているのにめっちゃ腹筋がムキムキだったので、確実に人間ではないと分かった。僕ったら名探偵。

 お話を聞いたら、黒い髪、黒い瞳、黒い肌、黒い魔力を持って生まれたので、魔王の生まれ変わりだー!と忌み子として生まれた時からここに幽閉されていたらしい。
 テンプレざます。

「あー、だいたい展開読めた」
「ラノベあるあるが幻のお隣で行われてたのかぁ」
『肌以外はママとお揃い』
「あれ? 魔力が黒なら……私が近くにいて大丈夫です?」

 イネスの発言にハッと黒いお兄さんを見たら、純粋な瞳でこちらを見ていた。
 よく見たら体の表面をえっちゃんの魔力が覆っておりまする!! ふー、えっちゃんありがとう。

「そもそも、死んでない魔王がどうやって生まれ変わるんだ?」
「今日も元気に領主やってるよな」
『お城の魔物さん、城下のカフェでアルバイトしてるの』
『えっちゃん、えっちゃん、その某お隣はどうしました? えっ、存在ごと消滅させたんです!? この件はレイア様には内緒にしましょう、はい!』

 お家で美味しいものを与えたい、肉とかご飯とか丼から甘いものまで何でもあるよ。
 女神様帰還前に不憫系フラグを折るのです。

「ママそこまでだ!」
「我が家は無理だから! クリスタル林檎が原因で神々の加護があるラーシャでさえ敷地に入れないからな、そいつは絶対無理、消滅しちゃう!」
『ぱーんです』
「私のお店で雇うのも命が危ないですねー、邪神のお店にします?」

 協議の結果、とりあえず保留。
 レイアさんの下僕がちやほやしているので、身の振り方はどうにかなると思う。
 そういう世界なのです。
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