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第三章 世界に降りかかる受難
第573話
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社会奉仕活動二件目です。
今回の監視役は僕が誘拐された時に隠密スキルで追いかけてくれた人と、真っ白なローブを羽織ったゴツイ魔法使いのおじさんだった。おじいさんじゃない、むさくるしい感じのおじさんです。
おかしい、モノ申したい。女神様から苦情来ます。
「神子様、お仕事の前におやつ食べますか?」
「お茶も美味いものを用意した」
着いた途端、すっごいちやほやされている!!
「出会い目的だろうなぁ」
『黒の子は傭兵の一人といい雰囲気よ』
「ママのご利益はランダムです」
なお本日はアー君は学園なので不在、代わりに昨日もお手伝いしてくれた農民の一部が来ております。
やらかす前提の派遣である。
そしてイネスはカンガルーの袋に入っている。
ちょう羨ましい。
「今日の仕事内容を教えてもらおうか」
『ママもお仕事しましょね』
「カンガルーが異変を察知しました! あっちです!」
うっかり目的を忘れそうになっていた所にイネスの声が響いたと思ったら、すでにカンガルーが走り出していたのです。
異世界のカンガルーは地球の三倍足が速かった。
「出遅れるとレイアさんに怒られます」
「いきましょう!」
「急ぐぞ!!」
傭兵のお二人もレイアさんは怖いみたい、素早くお茶セットを鞄に放り込むと、シーフ系のお兄さんが僕を横わきに抱きかかえてダッシュしました。
この視点、ちょっとおっかないね。
せめて縦に抱いて欲しかった。
「ママ、この麦さん病気です。ここ真っ黒」
『カンガルーさん、前世は農家だったんだ。アー君に見出されたのは運命ね』
「これ……うん、前の村の麦も同じ病気だった気がする。途中から忘れてたけど」
カンガルーさん曰く、これは「麦角菌」と呼ばれる毒性が強い菌だとか、異世界だから威力も未知数、うむ王道テンプレの一つだね。
「これを食べると病気になっちゃうみたいです」
『涼ちゃんが大活躍よ』
「っしゃぁ!!!!」
無双出来る絶好の機会に涼玉が大喜び、農民部隊は農具の手入れをしたり、ひよこ豆のスープを飲んだりと、これから始まる激務に備えている。
僕らの無茶に慣れてるなぁ。
「おっちゃーーん」
「ひよこ豆のスープを配って村の皆を回復させるのが先でしょうな、農作業は人手が揃ってからの方が効率が良いでしょう」
「分かった!」
呼ばれてこちらに近付いて来たのは、真っ黒に日に焼けた壮年の男性だった。
ウィンクがとても似合うダンディおじさま、なんで農民やっているんだろう?
「えっ、麦を選別する必要がある? ないです、ないない、大丈夫ですって」
『涼ちゃん無双タイムよ』
「良いですか涼玉様、麦は黄金も虹色もダメです。普通の品質でお願いします」
「ほあー? 難しい注文をするなぁ」
気合を入れて踊ろうとした涼玉に、おじさまが注意事項を伝えている。
農民の皆さんも「虹はダメだよなぁ」「あれ刈れる奴、今日は数人しかいねぇぞ」と話しています。
っは、ここは僕の出番。
「涼ちゃんのサポートします!」
子供たちに全部やってもらったら、奉仕活動にカウントされない可能性がある。それはいけない。
ようは涼玉の全開にされた能力をふわっとさせれば良いのです、ふわっとした感じは得意なのです!!
今回の監視役は僕が誘拐された時に隠密スキルで追いかけてくれた人と、真っ白なローブを羽織ったゴツイ魔法使いのおじさんだった。おじいさんじゃない、むさくるしい感じのおじさんです。
おかしい、モノ申したい。女神様から苦情来ます。
「神子様、お仕事の前におやつ食べますか?」
「お茶も美味いものを用意した」
着いた途端、すっごいちやほやされている!!
「出会い目的だろうなぁ」
『黒の子は傭兵の一人といい雰囲気よ』
「ママのご利益はランダムです」
なお本日はアー君は学園なので不在、代わりに昨日もお手伝いしてくれた農民の一部が来ております。
やらかす前提の派遣である。
そしてイネスはカンガルーの袋に入っている。
ちょう羨ましい。
「今日の仕事内容を教えてもらおうか」
『ママもお仕事しましょね』
「カンガルーが異変を察知しました! あっちです!」
うっかり目的を忘れそうになっていた所にイネスの声が響いたと思ったら、すでにカンガルーが走り出していたのです。
異世界のカンガルーは地球の三倍足が速かった。
「出遅れるとレイアさんに怒られます」
「いきましょう!」
「急ぐぞ!!」
傭兵のお二人もレイアさんは怖いみたい、素早くお茶セットを鞄に放り込むと、シーフ系のお兄さんが僕を横わきに抱きかかえてダッシュしました。
この視点、ちょっとおっかないね。
せめて縦に抱いて欲しかった。
「ママ、この麦さん病気です。ここ真っ黒」
『カンガルーさん、前世は農家だったんだ。アー君に見出されたのは運命ね』
「これ……うん、前の村の麦も同じ病気だった気がする。途中から忘れてたけど」
カンガルーさん曰く、これは「麦角菌」と呼ばれる毒性が強い菌だとか、異世界だから威力も未知数、うむ王道テンプレの一つだね。
「これを食べると病気になっちゃうみたいです」
『涼ちゃんが大活躍よ』
「っしゃぁ!!!!」
無双出来る絶好の機会に涼玉が大喜び、農民部隊は農具の手入れをしたり、ひよこ豆のスープを飲んだりと、これから始まる激務に備えている。
僕らの無茶に慣れてるなぁ。
「おっちゃーーん」
「ひよこ豆のスープを配って村の皆を回復させるのが先でしょうな、農作業は人手が揃ってからの方が効率が良いでしょう」
「分かった!」
呼ばれてこちらに近付いて来たのは、真っ黒に日に焼けた壮年の男性だった。
ウィンクがとても似合うダンディおじさま、なんで農民やっているんだろう?
「えっ、麦を選別する必要がある? ないです、ないない、大丈夫ですって」
『涼ちゃん無双タイムよ』
「良いですか涼玉様、麦は黄金も虹色もダメです。普通の品質でお願いします」
「ほあー? 難しい注文をするなぁ」
気合を入れて踊ろうとした涼玉に、おじさまが注意事項を伝えている。
農民の皆さんも「虹はダメだよなぁ」「あれ刈れる奴、今日は数人しかいねぇぞ」と話しています。
っは、ここは僕の出番。
「涼ちゃんのサポートします!」
子供たちに全部やってもらったら、奉仕活動にカウントされない可能性がある。それはいけない。
ようは涼玉の全開にされた能力をふわっとさせれば良いのです、ふわっとした感じは得意なのです!!
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