神様のポイント稼ぎに利用された3~過保護な神々と溺愛家族に囲われています~

ゆめ

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第三章 世界に降りかかる受難

第640話

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 連続するテンプレ事件を乗り越え、もう今日は帰ろうかなぁと適当に徘徊していたら畑を見つけました。
 ここは裏庭?
 むむ、適当に歩きすぎてどこだか分からない、興味あるものに片っ端から突撃したからね、僕ら。

「まだ何も植えてないな」
「種だけ植えてあるんでしょうか?」
『新しい土の匂いするね』
「ミミズ見つけたよ」

 土からずぼっと顔を出したので摘まみ上げたらいやんいやんされた。
 元気の良いミミズである。

「そこは私の畑ですよぉ~」

 窓から顔を出したのは眼鏡と白衣を装備した青年、学校に理科室とか化学室はないから保健室の先生かな?

「寝ている人いるから静かにねぇ」
「あい」

 僕ったら大正解。
 そして寝ている人って多分あの行き倒れの人だよね。

「学校で家庭菜園?」
「許可は取ってありますよぉ、薬草類も育てるなら多少は目をつぶってくれるそうです。今は薬草の入荷待ちなんですよ」

 ほわっとした見た目に反してちゃっかりしている。

「ひよこ豆オススメですよ」
「ひよこ豆? 確かに人気らしいですが、特に栄養が高いとか回復するという話は聞かないですよ?」
『今一番ホットなお豆なのよ』
「世の中には二種類のひよこ豆がある。誰でも手に入る普通のひよこ豆と、進化したひよこ豆だ!」
「僕持ってるよ」

 正確には僕じゃなくえっちゃんだけどね、いつでもどこでもばら撒けるように持ち歩いてもらってます。

「先生はお医者?」
「隣町で潰れかけの薬屋を営んでいたらギルドに勧誘されて、研修を受けたら何かここにいました」

 薬草でも野菜でも好きに育てていい、ポーションの研究も自由と言われて釣られて書類にサインしたら、大勢の人間と教員試験や適合試験を受ける羽目になり、その結果、保健室に配属されたそうです。
 ここしばらく騎士様を見てない気がしてたけど……もしやパーティーの準備に加え、学校設立の手伝いさせられてた?
 今度労りの差し入れを皆と持っていこう。

「元気がない奴が来るのが保健室だっけか? じゃあ元気になる系がいいな」
「鬼のパンツにします?」
『きのこもいいなぁ』
「元気が良すぎると周囲がジャングルになっちゃうよ」

 涼玉がノリノリで鬼のパンツを歌って踊ったら、オアシスがジャングルに激変した事例がある。
 水と緑が溢れる静かな空間だったのに、何か全体的にムキムキの植物になってたよね。
 あれは僕も驚いた。

「幾つもの村を飢饉から救ったひよこ豆の雄姿を拝むがいい! あっそーれ」
『みょんみょんみょん』
「みゃんみゃんみゃん」

 涼玉の掛け声に合わせ、シャムスとイネスが謎の動きをし始めた。
 あれは踊りなんだろうか?

 あとまだひよこ豆は僕の手の中で植えてないんだけどなぁ、って思ったら手の中にあるのに成長し始めたこれは一体どうすれば。怖い怖い、僕のおててがひよこ豆に取り込まれちゃう!
 プチパニックを起こしていたら、えっちゃんがぺぺっと地面に払ってくれました。ありがとー。

「ひーよこよこよこひよこ豆ぇー」
『大きくなぁれ、大きくなぁれ』
「みゃぁん、みゃぁん」

 地面に落ちたひよこ豆、芽が生えてある程度成長したかと思ったら、根っこをうごうごさせて各々適度に距離を開け始めた。
 うん、まぁぎっちり植えると栄養が行き渡らないとかあるかもしれないしね。
 僕はこの間に壁際に逃げます。

 三人の踊りに合わせて成長するひよこ豆、本日は先生への配慮からか大木にまでは育たず、大人の腰辺りぐらいまでの高さで成長を止めた模様。
 忖度のできる植物、それがひよこ豆なのである。

「保険医への就任おめでとうございます。これは私たちからのお祝いですよ」
「病人に食わせれば大抵は元気になるぞ!」
『元気モリモリよ』
「僕からのお祝いはひよこ豆のレシピです」

 炒っても生でも美味しいけれど、粉にしたりパンに混ぜたりしても美味しいです。
 このレシピ、ネヴォラの養父であるゴブリンが発行した食育レシピのサンプルなので、続きが気になったら商業ギルドの受付にお聞きください。

 行き倒れの人もひよこ豆で元気になってねー、ではさらば!
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