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第三章 世界に降りかかる受難
第935話
しおりを挟むリザードマンの集落の近くにこっそり温泉を作りに来たら、野生のドラゴンが現れて、なんやかんやでグルメリポーターとしてデビューする事になった。
今までで一番の珍事じゃない?
「いやぁ私もなぜこんな事になったのか」
「肉が美味かったから?」
「この森自体が謎能力と涼ちゃんの力の結晶ですからね」
『一歩踏み入れた瞬間から影響受けまくりなのよ』
ドラゴンは語る。
本当は、本当は――ダンジョンの地下で眠る偉大なる何かになりたかったと。
それただのダンジョン警備員。
ボスですらない。
宝を守る振りして一年中寝ているつもりだったのか、このドラゴン!
「かあちゃが許してもアー君は許さないと思うぞ」
「ママも流石に呆れてますよ」
『大人しく人化覚えてグルメリポーターとして成功しようね』
「腹減った!」
「減ったのじゃ!!」
腹ペコお子様が増えたけど料理の手が足らない、仕方がないので僕が出よう。
えっちゃん、ゴブリンの集落まで一っ走りお願い!
転移でぴょいんとゴブリンの集落まで来ました!
人間を拒む森の中で暮らすゴブリンだから、なんていうか、顔が、穏やか?
ネヴォラの養父のゴブリンのように雰囲気がほんわかである。
突然現れた僕が料理の手伝いしてほしいとお願いすると、警戒する事もなく「ええよ、ええよ」という感じで引き受けてくれました。
ありがとう、お礼は必ずするからね!
「ただいまー!」
「かあちゃお帰り」
「ぴゅって消えたのでびっくりしました!」
『ゴブリン勧誘してきたの?』
「ゴブリン!!」
「腹減ったのじゃぁ」
ニコニコするゴブリン集団をみてテンションを上げるネヴォラ、一方のじゃ幼女は空腹から明らかにテンションが落ちていますね。
これはいけない、ではゴブリンたちよよろしくお願いします。
「切るものはあるか? なければ貸すんよ、キャンプ飯にはこのナイフで、平べったいもの焼くならこっちのフライパンで――」
ネヴォラが生き生きとゴブリンを案内している。
そして何より、僕がゴブリンを連れてきた理由を何も言わずに理解していますね、もしやネヴォラの中ではかの種族は料理する事に特化した種族って認識されてる?
よくよく考えたらネヴォラの周りにいるゴブリン、大体が料理か菜園してるね、これは認識が間違っても仕方がない。
あっ、でも野生のゴブリンに遭遇したら危ないかな?
ショタ守護神の加護と呪いと謎能力の影響もあるし大丈夫か。
「塩? あるよ、これなんよ」
とても自然な感じでネヴォラがゴブリンの中に馴染んでいる。
さすがゴブリンに愛されしダークエルフ。
「一個目出来たよー、どうする?」
「ドラゴンに食べさせよう」
「グルメリポートしている間にのじゃちゃんに食べさせましょう」
『柴ちゃんもおいでー』
采配を振るううちの子と、手伝うチビリザードマン、大人のリザードマンは酔っぱらって宴会しています。
お酒を飲むとダメになるのはリザードマンの特徴なんだろうか?
「この香ばしさ、絶妙な塩加減……まさに職人の技。これには星――六つだ!!」
感動に打ち震えるドラゴン。
刀国は屋台でさえレベルが違うのだけど、今からこの調子で大丈夫なんだろうか。
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